2018 Fiscal Year Annual Research Report
Scaffold-free artificial trachea for tracheal deiseases
Project/Area Number |
18H02895
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80404268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 智史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30437884)
李 桃生 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50379997)
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
田浦 康明 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60437887)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 気道再生 / バイオ3Dプリンター / 難治性気道疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性気道疾患に対する自己細胞のみからなる代替再生臓器の確立は、画期的な再生医療への新たなアプローチとなり得る。この研究では、バイオ3Dプリンターを用いて、再生医療に用いる自己細胞および幹細胞のみからなる、免疫抑制剤を必要としない人工気管の作製と、移植による再生医療の確立を目指す。自家移植を目指したラット自己細胞を用いた人工気管の構築と自家移植。ヒト細胞データを元に、近交系であるFischer344ラットより抽出し培養したprimary細胞にて作製した人工気管が、自家移植可能かを明らかにすることを目的に行った。 ①実際の気管に近い構造体の作製を目指す実験では、軟骨組織と基本構造である線維芽細胞主体の構造体を交互積層さらには馬蹄形の軟骨輪を積層し、気管を模した構造体を作製した。基本構造として、これまでのデータを元に、ヒト細胞株を用いて、線維芽細胞+血管内皮細胞+骨髄幹細胞と軟骨細胞+血管内皮細胞+骨髄幹細胞を階段状に構成。この組み合わせの中に平滑筋細胞を混入し、強度、弾性を考慮し、最も良い組み合わせを決定した。交互積層の気管は、強度もつよく、理想的な人工器官であることが証明された。②ラットより採取した自己細胞による人工気管の自家移植については、Fischer344ラットに自家移植し、中期の生着に成功した。つまり、自己細胞からなる人工気管が、生体への移植、生着が可能であること、それが中期的に維持可能であることが証明された。また、内腔の上皮化もみられ、人工気管が生体で使用できることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.複雑な気管構造体および高強度の構造体の作製;これまでの研究で作製した上記気管様構造体を、さらに生体に近い構造の人工気管を作製し、強度の向上(ステント不要移植)を達成するために、ヒト細胞株を用いて、基礎実験を行った。① 軟骨輪を持つ気管構造体の作製;実際の気管に近い構造体の作製を目指す。上記の軟骨組織と基本構造である線維芽細胞主体の構造体を交互積層さらには馬蹄形の軟骨輪を積層し、気管を模した構造体を作製する。基本構造として、これまでのデータを元に、ヒト細胞株を用いて、線維芽細胞+血管内皮細胞+骨髄幹細胞と軟骨細胞+血管内皮細胞+骨髄幹細胞を階段状に構成。この組み合わせの中に平滑筋細胞を混入し、強度、弾性を考慮し、最も良い組み合わせを評価した。② 軟骨細胞シートで包んだ構造体のラット皮下移植による軟骨組織の熟成;強度に重要な軟骨の熟成のために、生体内での軟骨組織環境を作製することで、より質の高い軟骨組織の作製方法の検討を行った。軟骨への分化は、予想を下回り、実験方法の変更を模索している。③ 気道上皮細胞層および神経細胞の付与およびiPS 細胞由来軟骨細胞、血管内皮細胞の使用と評価;気道上皮、神経細胞の混入には、様々な問題が存在し、その解決を行っている。細胞ソース検討では、血管内皮細胞、軟骨細胞をiPS由来細胞へ代替し、構造体の作製に成功した。 2.自家移植を目指したラット自己細胞を用いた人工気管の構築と自家移植;上記のヒト細胞データを元に、近交系であるFischer344 ラットより抽出し培養したprimary 細胞にて作製した人工気管が、自家移植に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点での人工臓器(気管)作製の問題点は、強度、品質が安定しないことである。そのため、時間とコストを要することが最大の問題点と言える。これを解決するために、より効率的な培養方法を検討する。 それと同時に、元来予定していた気道上皮細胞層および神経細胞の付与およびiPS細胞由来軟骨細胞、血管内皮細胞の使用と評価として、生体に近い構造体として、ヒト気道上皮細胞の内層及びヒト神経細胞株を基本構造内へ混入させ、移植後の上皮、神経再生を容易にする。また、臨床応用を目指し、より採取が容易で、増殖が効果的な細胞ソース検討のため、血管内皮細胞、軟骨細胞をiPS由来細胞へ代替する(ヒト細胞での購入可能な既成細胞を用いる)。また、組織学的に構造体を評価する研究を行う。 また、ラットより採取した自己細胞による人工気管の自家移植として、Fischer344ラットに自家移植し、長期の生着評価を行う。 さらには、大動物への応用にむけて、大きなサイズの構造体を作製する方法の開発を進めていく。
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Research Products
(5 results)