2018 Fiscal Year Annual Research Report
抗老化因子Δ133p53による軟骨細胞への分化誘導と増殖の分子機構解明とその応用
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18H02925
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 香里 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (10633092)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | p53 isoform / delta133p53 / 細胞老化 / 老化 / 間葉系幹細胞 / 軟骨細胞 / 分化誘導 / 増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の全体構想はΔ133p53を用いて高齢患者の老化間葉系幹細胞から効率よく移植用軟骨細胞を得る方法と老化軟骨細胞増殖促進の方法確立のための分子機構を解明し実際の培養方法確立へ繋げることである。具体的には①抗老化因子Δ133p53がどのように老化を制御して軟骨細胞に分化誘導するかについてΔ133p53過剰発現老化間葉系幹細胞から軟骨細胞に分化誘導後、及び②老化軟骨細胞をどのように若返らせ増殖促進させるかについてΔ133p53過剰発現老化軟骨細胞を使用しRNAシーケンスとクロマチン免疫沈降シーケンス(ChIP-Seq)を行い明らかにする、③内在性Δ133p53や見出された分子を増加させる低分子化合物をスクリーニングするための細胞評価系をゲノム編集技術による内在性タンパク質の可視化で構築する、の3つを行う。 継代培養を繰り返して細胞老化した(=senescent)ヒト間葉系幹細胞にdelta133p53を過剰発現させ、ベクターコントロール細胞(=senescent)と比較してlife spanの延長とsenescent-associated beta galactosidase活性の減少を確認した。ベクターコントロール細胞とdelta133p53過剰発現細胞を軟骨細胞に分化誘導し、継時的にサンプリングした。これらの軟骨細胞分化マーカーのチェックとChIP-Seq条件検討を行っている。また、臨床応用を踏まえ、delta133p53の遺伝子を導入せずに老化間葉系幹細胞から効率よく軟骨細胞を分化誘導させるため、ドラッグスクリーニングを検討している。その細胞評価系の構築の第一歩として、delta133p53が発現すると蛍光タンパク質が同時に発現するように、delta133p53のプロモーター領域に蛍光タンパク質遺伝子をゲノム編集によりノックインさせるベクターの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分化誘導した軟骨細胞パーティクルを使用したクロマチン免疫沈降シーケンスのサンプル調整の条件検討に時間がかかってるため。また、間葉系幹細胞を老化させるのための培養が2~3ヶ月かかり、そこから実験が開始されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
軟骨細胞パーティクルを使用したクロマチン免疫沈降シーケンスのサンプル調整条件を決定後、遂行する。得られた結果からdelta133p53の軟骨細胞分化におけるターゲット遺伝子候補をピックアップする。さらにターゲット候補遺伝子と間葉系幹細胞の老化、軟骨細胞への分化の役割を解析していく。 さらに、細胞若返りの指標となるdelta133p53の発現誘導可能なドラッグスクリーニングに向けた細胞評価系の構築を行って行く。まずは、作製したベクターを導入する方法を完成させる。
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