2020 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of a strategic base for production of large animal models of inherited retinal diseases and their treatments
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18H02954
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
近藤 峰生 三重大学, 医学系研究科, 教授 (80303642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 昌彦 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00422874)
生杉 謙吾 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (10335135)
松原 央 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20378409)
富田 浩史 岩手大学, 理工学部, 教授 (40302088)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動物モデル / 夜盲 / 双極細胞 / 遺伝子治療 / 先天停在性夜盲 / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、世界で初めて大型動物(イヌ)において完全型先天停在夜盲(cCSNB)の表現系を有する常染色体劣性の1家系を発見し、その眼科的検査所見、組織学的および免疫組織学的所見を詳細に報告した(Kondo et al. PLoS One. 2015)。さらに、2年前には家系内の全ての犬のDNA解析を行い、この夜盲犬の原因遺伝子がLRIT3であることを突き止めた(Das et al. Sci Rep. 2019)。この原因遺伝子は、実際のヒトの夜盲症の原因遺伝子とも一致しており、我々の発見した犬家系がヒトの夜盲症の大型動物モデルになりうることが証明された。そこで今回の我々の研究の主目的は、この犬の硝子体に正常なLRIT3を搭載したAAVベクターを注射することにより、双極細胞に正常なLRIT3遺伝子が発現され、犬の夜盲症が改善されるかどうかを電気生理学的、免疫組織学的、また行動学的に証明することである。LRIT3遺伝子がAAVに組み込み可能な長さであることから、これまで共同研究者の冨田浩史教授に依頼してLRIT3を搭載したウイルスベクターの作成を進めてきた。注入後の細胞標識目的で、AAVにGFP遺伝子も導入した。しかし実際に予備実験を行なったところ、若い正常なビーグル犬の硝子体内に薬液を注射したとしても、硝子体のゲル濃度が高いことから薬物が網膜の双極細胞まで十分に到達していないことが判明した。また、あらかじめ硝子体切除を行って眼内をBSSで置換した状態にしてから注射することで、網膜への移行を高めることができることが判明した。そこで、最終年度では犬に中心部の硝子体切除を行った後にLRIT3を搭載したウイルスベクターを硝子体内に投与する実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の実験では、硝子体内注入によってLRIT3を搭載したAAVベクターを網膜の双極細胞まで到達させ、正常なLRIT3が双極細胞に発現することによって動物モデルの夜盲を改善させることが目的であった。そのためには若い犬の硝子体内に注射した薬液が十分網膜内に浸透することが必要であるが、昨年の実験によりこの到達が十分ではないことが判明した。これまでも様々な動物モデルにおいて硝子体内投与による遺伝子治療実験において、硝子体内投与による導入効率の低さは報告されていた。確かに我々の用いた生後2年未満のビーグル犬は硝子体のゲル度が高いことにより硝子体注射による効率はかなり悪いことがわかった。これが昨年の実験における実験進捗の遅れの主原因であった。もう一つの実験の遅れの原因は2020年度の新型コロナウイルスの流行であった。我々の実験は大型動物(犬)を用いるために、少なくとも2-3人の研究者が動物実験室内で協力して実験を行う。しかし、2020年は新型コロナウイルスがどのような形で人から人へ感染しうるのかが不明であったために、長期間に渡って実験を一時中止せざるを得ない状況が続いた。動物実験室はエアコンによって換気されてはいるが、広いとはいえない密室であるために新型コロナウイルスの感染の可能性が考えられ、そのため特に感染拡大時期においては実験を控えた。しかしながら、マスクをしながら換気状態を最大にすることで感染の可能性はかなり低減できることが判明し、また2021年度は実験従事者がワクチン接種を4月末までに完了できる見込みがあることから、今後はこれまでの遅れを取り戻すことが可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年は、まず夜盲犬を全身麻酔した上で硝子体切除を行い、その後にLRIT3を搭載したAAVベクターを硝子体内に注射する実験を行い、我々の大型動物モデルの夜盲が改善しうるかどうかを確認する。注射後3か月-6か月の時点で繰り返しERGを記録し、治療前は平坦であった杆体応答が遺伝子治療後回復するかどうかを確認する。さらに、弱い刺激から強い刺激まで様々な強さの刺激光を使ってERGを記録してERGのb波の刺激-反応曲線を作り、暗所における光の感度がどの程度改善しているかをlog値で測定する。また障害物を用いた暗所での行動実験を行い、通過時間と衝突回数を計測することで、実際に暗所での行動が改善しているかどうかを確認する。これらの電気生理学的および行動学的実験が全て終了した後で眼球を摘出し、遺伝子治療を行った網膜を組織学的あるいは免疫組織学的に観察する。組織学的には、今回の治療によって網膜構造に変化があるかどうか、特に毒性がないかを十分に確認する。さらに免疫組織学的には、治療後の網膜に確かに遺伝子が導入されているかをGFPで確認するとともにLRIT3の抗体を用いた免疫組織を行い、正常なLRIT3が夜盲犬の網膜に実際に発現しているかどうかを確認する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Spatial Functional Characteristics of East Asian Patients With Occult Macular Dystrophy (Miyake Disease); EAOMD Report No. 22021
Author(s)
Yang L, Joo K, Tsunoda K, Kondo M, Fujinami-Yokokawa Y, Arno G, Pontikos N, Liu X, Nakamura N, Kurihara T, Tsubota K, Iwata T, Li H, Zou X, Wu S, Sun Z, Ahn SJ, Kim MS, Mun YS, Park KH, Robson AG, Miyake Y, Woo SJ, Sui R, Fujinami K; East Asia Inherited Retinal Disease Society Study Group
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Journal Title
Am J Ophthalmol
Volume: 221
Pages: 169-180
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Clinical and Genetic Characteristics of 15 Affected Patients From 12 Japanese Families with GUCY2D-Associated Retinal Disorder2020
Author(s)
Liu X, Fujinami K, Kuniyoshi K, Kondo M, Ueno S, Hayashi T, Mochizuki K, Kameya S, Yang L, Fujinami-Yokokawa Y, Arno G, Pontikos N, Sakuramoto H, Kominami T, Terasaki H, Katagiri S, Mizobuchi K, Nakamura N, Yoshitake K, Miyake Y, Li S, Kurihara T, Tsubota K, Iwata T, Tsunoda K; Japan Eye Genetics Consortium
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Journal Title
Transl Vis Sci Technol
Volume: 11
Pages: 2
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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