2018 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞を基軸とした歯周組織再生担当細胞の分化制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
18H02985
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
岩田 隆紀 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60431946)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 謙太 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60217643)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 歯根膜細胞 / ES/iPS細胞 / 神経堤細胞 / 再生医療 / 細胞ソース / 歯周組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周組織再生担当細胞は古くより歯根膜組織中にある細胞であることが知られているものの、そのマーカーや発生に関しては不明な点が多い。近年ES/iPS細胞を用いた研究は心臓のみならず腸や肝臓までオルガノイド形成技術により作成することがわかってきており、培養器材の表面性状や、増殖因子によって発生させることに成功している。一方では歯や毛などは上皮と間葉の少なくとも2種類の細胞の相互作用によって形成されることがわかってきているがそのメカニズムには不明な点が多い。 平成30年度前半においては歯根膜組織由来間葉系幹細胞(PDL-MSC)特異的遺伝子を分担研究者・中井教授と共同で探索した結果、他の組織由来のMSCと明らかに発現パターンの異なる遺伝子群を抽出することに成功した。具体的には東京女子医科大学倫理委員会承認の後に、健常青年の抜去歯牙7本からPDL-MSCを採取し、RNAを採取した後に、NGSを用いて全発現解析を実施した。データベースで閲覧可能な他の組織由来MSCと遺伝子発現を比較検討して、PDL-MSC特異的な遺伝子発現を抽出し、7つの遺伝子を絞り込んだ。それぞれの遺伝子をsiRNAを用いて機能欠損させたときの細胞挙動を観察し、石灰化誘導時における各遺伝子の機能解析を実施した。 一方ではiPS細胞を用いて神経堤細胞を経てMSCに分化させるプロトコールの最適化を実施した。平成30年度内に研究代表者が異動(東京女子医科大学先端生命医科学研究所から東京医科歯科大学医歯学総合研究科歯周病学分野)することとなり、東京医科歯科大学でのES細胞倫理委員会承認に向けた準備を進めている。ES細胞培養においてはそれ専用の培養室の確保と培養機器の準備が必要であり、必要な観察装置などを設置した。具体的にはヒトES/iPS細胞を経時的に観察・記録するためのイメージングシステムを研究計画書に準じて導入した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯根膜組織由来間葉系幹細胞の遺伝子発現に関しては研究計画通りに順調に絞り込むことが出来たが、平成30年度内に研究代表者が異動(東京女子医科大学先端生命医科学研究所から東京医科歯科大学医歯学総合研究科歯周病学分野)することとなり、東京医科歯科大学でのES細胞倫理委員会承認に向けた準備を進めている都合上、ES細胞を用いた研究は来年度に先送りせざるを得ず、進捗状況は「やや遅れている」を選定するに至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度前半においては東京医科歯科大学でのES細胞倫理委員会承認を目標として、研究施設の整備を行うと共に、iPS細胞を用いた分化誘導法の再現性の向上に努める。後半においては歯根膜組織由来間葉系幹細胞特異的な遺伝子をES細胞に導入することでどのような形質転換が起こるのかを歯根膜細胞最終分化マーカーを指標に探索する予定である。分化系譜を構築できたあかつきには免疫不全動物への移植実験を通して、ES由来MSCの有効性のみならず安全性を探索する予定である。
|
Research Products
(8 results)