2018 Fiscal Year Annual Research Report
人工骨-母床骨界面の物理化学的インターフェイス制御による骨系細胞の活性化
Project/Area Number |
18H02987
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
都留 寛治 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (50314654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 昇 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (30824213)
荒平 高章 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (30706958)
丸田 道人 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (40507802)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人工骨補填材 / インターフェイス制御 / 骨伝導性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は代表的なセラミックス人工骨補填材であるハイドロキシアパタイト(HAp)およびβ型リン酸三カルシウム(βTCP)の機能性向上と機能性向上に寄与する因子を基礎学術的に明らかにすることを目的としています。この目的を達成するために、当該年度においては、細胞実験および動物実験に用いることができるサイズや形状を有したHApおよびβTCP粒子の作製手法を確立するとともに、HApおよびβTCP粒子の機能性向上に寄与すると考えられる物理的および化学的表面構造制御について検討しました。 試料表面の物理的構造制御について、当該年度は主に水熱処理を検討しました。水熱処理条件(反応温度や水溶液のpH)を探索することによって、HApやβTCP試料表面のナノ-マクロ微細構造が制御できる可能性を見いだしました。 試料表面の化学的構造制御について、当該年度はHApやβTCP試料の結晶性が制御できる可能性を見いだしました。まず、低結晶性試料を合成し、その後、これより高い種々の温度で熱処理することにより結晶性の異なる試料を合成しました。HApについては低温で硬化するアパタイトセメントに着目しました。まず、低結晶性で単一相のHApを得るためのアパタイトセメント硬化体の水熱処理条件を明らかにしました。次に、得られた低結晶性HApを種々の温度で熱処理することで結晶性を制御したHApを作製しました。低結晶性βTCPの合成については、水熱処理によるαTCPからβTCPへの相変換を試みました。その際、構造安定化因子であるMgイオンを含む酸性溶液を用いて水熱処理することがβTCPへの相変換に有効であることを見いだしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
α型リン酸三カルシウム(αTCP)の硬化反応を応用したW/Oエマルジョン法により、200-1000μmサイズの粒径を有するHAp球状粒子を作製しました。これを1300℃で焼成し、高温安定型のαTCPに相変換させた後、α,β転移温度(800-1000℃)以下で再加熱処理する手法でβTCP球状粒子を作製しました。 表面の物理的構造制御については、主に水熱処理を検討しました。反応温度や水溶液のpHといった処理条件の探索によりHApやβTCP試料表面のナノ-マクロ微細構造が制御できる可能性を見いだしました。 表面の化学的構造制御については結晶性の異なる試料の合成を試みました。リン酸四カルシウム(TTCP)-リン酸水素カルシウム(DCPA)系のアパタイトセメント硬化体(モル比:Ca/P=1.67)を200℃で水熱処理することによって低結晶性ハイドロキシアパタイト(HAp)単一相が得られること、これを種々の温度で熱処理することにより結晶性の異なるHAp試料が作製できることを明らかにしました。さらに、高温焼成したαTCPを構造安定化因子であるMgイオンを含む酸性溶液中で200℃, 24時間水熱処理することにより低結晶性βTCPが得られることまで明らかにしています。 以上の進捗より、当初の計画通り概ね順調に進んでいると自己評価しています。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に作製が完了した試料について、順次in vitro細胞活性評価やin vivo病理組織学的を進めます。表面の物理的構造制御については、新たにレーザー加工による検討を追加します。表面の化学的構造制御については、炭酸イオン含有量制御とイオン徐放機能付与について検討致します。さらに、骨組織と材料表面のインターフェイスをより厳密に評価するために、顆粒状試料だけでなくバルク試料の利用についても新たに検討を開始します。バルク試料の作製にあたっては3Dプリンタを用いて鋳型を作製し、骨欠損部位にフィットする骨補填材のサイズおよび形状の作製に取り組む予定です。
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