2019 Fiscal Year Annual Research Report
人工骨-母床骨界面の物理化学的インターフェイス制御による骨系細胞の活性化
Project/Area Number |
18H02987
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
都留 寛治 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (50314654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 昇 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (30824213)
丸田 道人 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (40507802)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人工骨補填材 / インターフェイス制御 / 骨伝導性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は代表的なセラミックス人工骨補填材の機能性向上に寄与する因子を基礎学術的に明らかにすることを目的としています。本年度はin vitro細胞実験およびin vivo動物実験により骨伝導性や生体吸収性を調査する際に使用するハイドロキシアパタイト骨補填材の厳密な化学組成の調整や気孔率の制御を行いました。アパタイトセメントの硬化体を前駆体とした相変換によりハイドロキシアパタイト単一相の骨補填材を作製する際に、使用する水溶液の窒素ガスバブリングや炭酸ガス雰囲気制御により試料中への炭酸イオンのコンタミネーションが抑制できることをフーリエ変換赤外分光分析により明らかにしました。さらに、アパタイトセメントの原料粉液比の調整やペーストに加える圧力の調整により最終成形体の気孔率が制御可能であることを明らかにしました。一方、ブルッシャイトセメントの硬化反応を利用して作製したブルッシャイト成形体を前駆体とした濃度の異なる炭酸水素ナトリウム水溶液処理によって、炭酸イオン含有量の異なるハイドロキシアパタイト骨補填材が作製できることが分かりました。これとは別に、β型リン酸三カルシウム骨補填材やハイドロキシアパタイト骨補填材に低濃度・低温度のリン酸水溶液処理を施し、表面にブルッシャイトを析出させた骨補填材を作製しました。この骨補填材は体液中でカルシウムイオンやリン酸イオンを徐放する機能を有しており、元の骨補填材と比較して骨伝導性の向上が期待されます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の検討により、最終年度に実施する細胞実験や動物実験に用いるための化学組成制御および物理構造制御したリン酸カルシウム骨補填材試料を調製できることが明らかになりました。現在、それぞれの実験に必要な試料の作製およびサイズの制御等を行っています。
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Strategy for Future Research Activity |
本実験で取り扱う骨補填材は低結晶性で比表面積が大きいことから、細胞実験については培地中のイオンやタンパクを大量に吸着することが予想され、実験結果に影響する可能性が新たに判明したため、その影響を明らかにするための前駆実験を実施します。その結果に基づき、材料の化学構造や物理構造が細胞応答に与える影響を調べます。滅菌処理が試料の化学構造や物理構造に及ぼす影響についても調べた後、速やかに動物実験を開始します。マイクロCTや病理組織学的評価により新生骨形成や材料の吸収を評価します。
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