2020 Fiscal Year Annual Research Report
癌骨破壊病変のHedgehogシグナルを起点とした癌代謝・癌免疫制御機構の解明
Project/Area Number |
18H02999
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
志茂 剛 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40362991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 朗 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00170663)
吉田 祥子 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (00616047)
青山 絵理子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10432650)
國定 勇希 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10779416)
滝川 正春 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20112063)
奥井 達雄 岡山大学, 大学病院, 医員 (40610928)
長塚 仁 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70237535)
高畠 清文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (70736537)
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90221936)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 癌 / 骨破壊 / Hedgehog |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は歯肉扁平上皮癌(SCC)は上顎,下顎骨に頻繁に浸潤し,骨破壊が歯肉SCCの重要な予後因子であることを臨床切除標本を用いて報告した。これまでの我々の研究で,中枢神経系で発現するタキキニンファミリーの1つであるリガンドNK-3であるニューロキニン3受容体(NK-3R)が,ヘッジホッグシグナルによって破骨細胞に誘導される発現する分子としてPathway解析で同定され,NK-3Rは,骨浸潤前線の破骨細胞およびSCC細胞で発現することを報告してきたが,NK-3Rの発現と歯肉SCC患者の予後との関係は依然として不明であった。治療目的で手術を受けた歯肉SCCの27人の患者の顎骨切除標本を用い免疫組織学的に検討を行ったところ,腫瘍細胞におけるNK-3Rの有意な発現は,顎骨浸潤を伴わない外向性腫瘍と比較して,顎骨浸潤を起こしている腫瘍細胞に強発現を認めた。一方,NK-3R腫瘍陽性症例と腫瘍サイズ,TNM分類,病期および腫瘍分化との間に有意な関連は観察されなかった。 NK-3R腫瘍陽性の症例では生存率が低くなる傾向がありましたが,有意差は認められなかった。しかし,腫瘍骨浸潤前線にある少数のNK-3R陽性破骨細胞を認める症例と比較して,多数のNK-3R陽性破骨細胞を有する患者では,疾患特異的生存率が有意に低いことが明らかになった。我々の結果は,歯肉SCC骨微小環境におけるヘッジホッグを介して誘導が予測されるNK-3Rシグナル伝達は腫瘍骨破壊において重要な役割を果たしており,骨破壊を伴う歯肉SCCの治療標的となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は単独施設の研究ではなく,岡山大学の共同研究者と連携して本研究課題に取り組んでいるためデータ発表の機会にも恵まれ,概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘッジホッグシグナル改変マウスを用いた解析を開始しており,今後データを重ねていく。
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