2018 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding of system dynamics of resilient surgical teams
Project/Area Number |
18H03025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 和江 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (00324781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 晃司 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (70621019)
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
吉岡 大輔 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40645959)
藤野 裕士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50252672)
北村 温美 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60570356)
徳永 あゆみ 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (60776409)
滝沢 牧子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70613090)
中村 京太 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (00287731)
中島 伸 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (80501402)
赤澤 仁司 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (90824748)
三原 雅史 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80513150)
服部 憲明 大阪大学, 国際医工情報センター, 寄附研究部門准教授 (70513141)
荒牧 英治 奈良先端科学技術大学院大学, 研究推進機構, 特任准教授 (70401073)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レジリエンス / 手術 / ダイナミクス / 会話分析 / 自然言語処理 / ベき則 / 脳機能解析 / ハイパースキャニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、手術チームというシステムにおいて、想定内及び想定外を含む大小さまざまな擾乱と環境的制約がある中で、レジリエントに手術パフォーマンス行われているメカニズムをダイナミクスに着目して、複雑系科学のさまざまな専門家の参画により学際的に解明しようとするものである。 今年度(1年目)は、実際の手術の際に利用可能な測定機器の選定(軽量、ワイヤレス、装着時の快適性等)と手術室環境下での使用時の検証(手術操作の邪魔にならないか、環境ノイズが収集データの品質に与える影響等)を行った。 複数の手術チームメンバーのパフォーマンスの統合という観点から、メンバー間の会話データや脳活動データの収集が必要と考えた。まず、術中の会話音声の録音方法、デバイス、文字起こしの方法等を検討した。商業ベースの製品や技術では、会話音声が必ずしもクリアに録音できないこと(声の大きさ、複数名の同時発話等)、自動音声認識と文字おこしが困難であることが判明したが、録音上の工夫及び人手と時間をかければ、質の高い音声データの収集が可能であることが確認できた。 また、術中の脳活動データの収集の可能性や方法についても検討した。32~64チャンネルのアクティブ電極型脳波計を用いることで、眼球運動などの筋電混入や手術室環境でのある程度の電気的ノイズの混入は解析時に処理でき、また手術時には術者の大きな動作は比較的少ないことから、手術中の脳波計測が可能であることが確認できた。 さらに、大動脈弁置換術(1例)における手術チームメンバー間の会話について、自然言語処理による解析を行った。術中のコミュニケーションネットワークの可視化により、術者を中心とするクローズドループ・コミュニケーションが明らかになった。また、手術中の「発話の長さ(音節数)」および「発話の応答時間」の分布には「ベき則」が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初、活動中の脳機能をどのように計測するかという点が最大の懸念事項であったが、ワイヤレス近赤外線脳酸素モニター(NIRS)、チャンネル数の少ないウエアラブル脳波計、チャンネル数の多いワイヤード脳波形等を用いて基礎的検討を行い、実際の手術の環境下で使用可能な測定装置を同定し、購入することができた。これによって、統合的なチームパフォーマンスにおける脳波解析を実施できる環境が整った。 また、会話分析においては、自然言語処理による解析が必要であると判断し、ヘルスケア領域の自然言語処理の第一人者である分担研究者の参加を得た。1症例のみの分析ではあるが、安定的に制御されている手術チームメンバー間の会話には、隠れたパターンが存在することが示唆された。本知見については、第27回日本コンピュータ外科学会大会、第119回日本外科学会定期学術集会で発表し、第40回日本手術医学会総会では優秀演題賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は会話分析、動作解析、脳波解析を中心に研究を進める。会話分析では、手術中の会話データを手術操作の動画情報とあわせて統合的に解析する必要があるため、会話の質的分析と動作分析の両方を専門とする分担研究者に参加を依頼し、分析を深める。また、脳波解析については、実際の手術中に脳波測定・データ収集を行える見通しがついたことから、複数人の脳活動を同時に計測するハイパースキャニングの測定および解析に精通したエキスパートを分担研究者として迎え、研究を発展させる予定である。
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