2018 Fiscal Year Annual Research Report
Biological effect and preventive method for human serum albumin binding to transboundary air borne PM2.5.
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18H03039
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
荻野 景規 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70204104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 孝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00261321)
浜田 博喜 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10164914)
尾長谷 靖 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (40399762)
長岡 憲次郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40752374)
岡野 光博 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60304359)
江口 依里 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60635118) [Withdrawn]
竹本 圭 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60723252) [Withdrawn]
伊藤 達男 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80789123)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
荻野 学芳 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (70614204)
荻野 志穂奈 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (70746685)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PM2.5 / ヒトアルブミン / チロシンニトロ化 / ナノPM / 自己抗体 / SOD2 |
Outline of Annual Research Achievements |
チロシンをニトロ化したヒトアルブミン(NO2-hAlb)とPM2.5をマウスに投与した結果、NO2-hAlb単独投与では、気道の好産球の増加を認め、PM2.5を加えることにより好産球数がさらに増加した。さらに、肺組織のPCRによりIL-5、エオタキシン2、muc5ac、muc5bがNO2-hAlb単独で上昇し、PM2.5が加わると相乗的に増加した。NO2-hAlbにはアレルギー性があり、PM2.5の存在でその作用が増強されることが判明した。大気中から粒径0.1mm以下のnanoPMを純粋に大気中から収集することに世界で初めて成功し、PM2.5とnanoPMの電子顕微鏡による形状を比較すると、PM2.5は丸みを帯びた構造物で、nanoPMは、角張った構造物であった。気管支上皮細胞への毒性を透過型電子顕微鏡で検討すると、PM2.5に比しnanoPMは、ミトコンドリア障害が顕著であった。さらに細胞影響を、PCRで検討すると、PM2.5及びnanoPM曝露は、クラスリン関連因子、ミトコンドリアに局在する抗酸化酵素SOD2が有意に発現上昇し、ヒトアルブミン添加でその発現上昇がさらに増強した。PM2.5及びnanoPMは、大気中のヒトアルブミンの存在下、クラスリン受容体を介して細胞内へ侵入し、ミトコンドリア障害を引き起こすことを証明した。このことはPM2.5及びPM2.5に含まれるnanoPMが、大気中の存在するヒトアルブミンと結合し、細胞に侵入しやすくなっていることを世界で初めて証明したことになる。また一方、企業健診受診者の炎症関連バイオマーカーの研究として、チロシンニトロ化ヒトアルブミンと無修飾ヒトアルブミンに対する自己抗体(IgG)を測定した結果、血清中抗体化が高い程、血圧が低い結果となった。ニトロチロシンに対する抗体が、ニトロ化蛋白質を排除している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトアルブミンをPM2.5中に発見し、ヒトアルブミンがPM2.5や今回新たに分離されたnanoPMのミトコンドリアを中心とする細胞毒性を増強することが判明したことは、この研究の主な目的の一つを達成しており、今後の細胞内移行の分子的機序や生体内移行機序の解明に重要な鍵となる。大気中からのnanoPMの収集は、世界初なので、細胞を使ったnanoPMの細胞毒性作用に関する詳細な検討が必要であるが、同時に、マウスを用いた全身組織への移行の実験を行う。 大気中のヒトアルブミンのニトロ化以外の化学修飾については、免疫沈降により大量のヒトアルブミンを抽出中である。 ヒト喘息やアレルギー性鼻炎患者の血清中の、ヒトアルブミン及びニトロ化ヒトアルブミンに対する自己抗体(IgG)の測定は、健診血清の分析結果から血圧や動脈硬化と関連があるため循環器内科を含めて呼吸器内科及び耳鼻科と協議中である。
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Strategy for Future Research Activity |
大気中PM2.5におけるヒトアルブミン量の国際都市比較を行い、岡山、北九州、長崎で経時的測定により既存の大気環境汚染物質との関連性を検討し、発生源の特定を行う。 PM2.5とヒトアルブミンの相乗的生体作用を、細胞分子レベル、マウス実験で詳細に実験を行うことと並行して、すでに大気中から収集に成功しているnanoPMの成分分析、ヒトアルブミン結合量、ヒトアルブミンとの相乗的生体作用を気管支上皮細胞やマウスを用いて行い、細胞内移行、全身組織への移行機序の解明や、毒性機序の解明を行う。 大気中のヒトアルブミンのニトロ化以外の化学修飾については、免疫沈降により大量のヒトアルブミンを抽出中であり、アルギニン、プロリン及びリジンのカルボニル化、メチオニンのスルホシド化を、アミノ酸の変化としてとらえる。さらに、ジメチルアルギニンが、抗体で既に検出されているのでこの定量化を行う。 ヒト喘息やアレルギー性鼻炎患者の血清中の、ヒトアルブミン及びニトロ化ヒトアルブミンに対する自己抗体(IgG)の測定は、健診血清の分析結果から血圧や動脈硬化と関連があるため循環器内科を含めて呼吸器内科及び耳鼻科と協議中である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Involvement of PM2.5-bound protein and metals in PM2.5-induced allergic airway inflammation in mice2019
Author(s)
Ogino, K., Nagaoka, K., Ito, T., Takemoto, K., Okuda, T., Nakayama, S., Ogino, N., Seki, Y., Hamada, H., Takashiba, S., Fujikura, Y.
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Journal Title
Inhal Toxicol.
Volume: accepted.
Pages: accepted.
DOI
Peer Reviewed
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