2019 Fiscal Year Annual Research Report
Biological effect and preventive method for human serum albumin binding to transboundary air borne PM2.5.
Project/Area Number |
18H03039
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
荻野 景規 高知大学, 医学部, 特任教授 (70204104)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾長谷 靖 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (40399762)
長岡 憲次郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40752374)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
荻野 学芳 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (70614204)
荻野 志穂奈 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (70746685)
伊藤 達男 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80789123)
早川 和一 金沢大学, その他部局等, 名誉教授 (40115267) [Withdrawn]
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476) [Withdrawn]
菅沼 成文 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (50313747)
栄徳 勝光 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 助教 (50552733)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | PM2.5 / ヒトアルブミン / ナノPM / エンドサイトーシス / SOD2 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気中PM2.5にヒトアルブミンが結合していることを発見し、ヒトアルブミン抗体を用いた免疫学的手法及びプロテオーム解析で証明してきた。しかしながら、プロテオーム解析では、ヒトアルブミンはヒト試料の混入としてとらえられることが多く、データの確信を得るため、さらなる検証を進めた。PM粒子からタンパク質を抽出し、ヒトアルブミンに対する特異抗体でさらに抽出し、アミノ酸に分解して、3-ニトロチロシンを検出することが出来た。このことは、PM2.5に結合したヒトアルブミンが、大気中に浮遊する過程で、オゾンや二酸化窒素等の大気環境物質との反応したものであり、実験の過程で混入したものではないことを証明できた。一方、PM2.5の気管支上皮細胞への影響評価を、培養気管支上皮細胞でおこない、毒性の評価に使用されるLDHやWST-8では、PM2.5は、LDH及びWST-8の反応を阻害することがわかり、PM2.5が直接電子伝達を傷害している可能性が認められた。PM2.5がヒトアルブミンを添加することによりミトコンドリアに局在する抗酸化酵素SOD2のmRNAを有意に発現上昇する現象をすでに認めており、追加実験で、活性酸素の上昇、ミトコンドリアの障害をみとめたことより、PM2.5とヒトアルブミンの共添加は、細胞内ミトコンドリアの電子伝達系を阻害している可能性が示唆された。さらに、PM2.5とヒトアルブミンの共添加によるSOD2 の発現上昇は、クラスリン依存性エンドサイトーシスの重要な因子であるAP2A1のsiRNA添加により抑制され、カベオリンのsiRNAでは、抑制されなかった。すなわち、PM2.5は、クラスリン依存性エンドサイトーシスにより細胞内へ侵入していることが判明し、PM2.5の細胞内侵入機序が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PM2.5に結合したヒトアルブミンの生体作用の一部を解明できた。しかしながら、その発生源の研究は、研究場所が岡山大学から高知大学へ移動したことで遅れている。さらにPM2.5の収集の過程で開発できたnanoPMの研究は、高知大学医学部の立地条件からくる大気環境の違いで収集量が少ないので遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
PM2.5とヒトアルブミンが、気管支上皮細胞(BEADs細胞)にclathrin依存性endocytosisで侵入していることを証明できた。今後、遅れていたnanoPMの成分分析、ヒトアルブミン結合量、ヒトアルブミンとの相乗的生体作用を気管支上皮細胞やマウスを用いて検証する。
一方、昨年から世界的流行が人類の危機となっている新型コロナウイルス(COV-19)の感染予防の環境医学的研究を加えることにした。すなわち、COV-19の細胞内侵入経路がPM2.5と共通していること、BBCニュースで、米国の研究者がCOV-19の重篤化にPM粒子が関与している可能性を指摘していること、COV-19がPM粒子に付着していることがNatureに報告されたことなどから、これまで我々が行ってきたPM2.5へのタンパク質の結合の研究を、COV-19の細胞侵入に関与するspikeタンパク質に応用することにより、環境医学的側面からCOV-19の感染予防対策に貢献できる研究テーマを追加する。
|
Research Products
(4 results)