2019 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による健康影響に関する情報がもたらす健康不安の実態とその介入方策の評価
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18H03051
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
安村 誠司 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50220158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大類 真嗣 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50589918)
中山 健夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (70217933)
渡邊 清高 帝京大学, 医学部, 准教授 (80422301)
坪倉 正治 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20527741)
中山 千尋 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10849110)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 原子力発電事故 / 放射線 / 健康影響 / メディア / ヘルスリテラシー / 福島 / 不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.メディアドクター研究会において「福島第一原子力発電所事故後の福島住民の長期化する放射線不安とメディア情報の関連」に関する情報提供を行い、参加者とともにメディア情報に関する問題点、課題等について検討した。 2.上記、メディアドクター研究会における検証結果を含め、以下の「質問紙調査」の調査項目の選択に役立てた。質問項目の選定は、3年目に実施された「健康と情報についての調査」(福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座 安村誠司)の調査項目を参考にした。福島県の住民約1600人、及び、関東1都6県約800人の20歳以上80歳未満を対象にして「健康と情報についての調査」を郵送法で実施した。調査項目としては、年齢・性別等の基本属性の他、目的変数となる「健康への放射線の影響不安」、利用するマスメディアの選択、放射線に関する知識、ヘルスリテラシー、ソーシャルキャピタル等である。 3.回答率は、福島県では42.9%、関東では33.4%であった。現在の健康への放射線の影響不安では、全くない・少ししかないは、福島62.7%、関東74.6%、いくらかは、福島30.3%、関東20.1%、たくさん・非常にあるは、福島7.0%、関東5.3%であった。一方、関東で、「福島で放射線健康影響はあると思うか。」は、全くない・少ししかないは46.4%、いくらかは32.3%、たくさん・非常にあるは21.3%であった。関東では、現在も放射線による健康影響の不安が少なからずあると認識しているうえに、福島での健康影響があると考える人が過半数いることが分かった。依然として、正しい認識が広まっていないことが伺えた。 4.その後の専門家との会議を通じて、「思い込み」の形成理由の解明、ヘルスリテラシーの下位尺度別の解析の必要性が明かになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた質問紙調査を郵送法で実施することができたことが最大の再会である。ただ、調査の回答率が、特に、関東1都6県では希望していたレベルに達せず、決して高くなかったことは回答者の代表性の点から大きな課題となり、「順調に進展している」とは言い難い状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点としては、保健医療・教育職を対象とした「ヘルスリテラシーの視点でのメディアドクター指標を用いた介入研究」の準備は、新型コロナウイルス問題で、当該対象集団との具体的な打合せ等を進めることが困難になっていることである。今後の研究の推進には、これら対象集団の協力を得て、介入研究の実施、その評価、さらに、今後の介入方策の提案までを着実に進めることが必要であり、その方策を検討している。
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