2019 Fiscal Year Annual Research Report
脳の形態学的加齢変化に及ぼす生活習慣の影響:地域在住中高年者の10年間の追跡
Project/Area Number |
18H03061
|
Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 室長 (00532243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 秀典 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 理事長 (60232021)
中村 昭範 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 認知症先進医療開発センター, 室長 (00237380)
下方 浩史 名古屋学芸大学, 大学院栄養科学研究科, 教授 (10226269)
安藤 富士子 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 教授 (90333393)
西田 裕紀子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 室長 (60393170)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 脳画像 / 生活習慣 / 縦断研究 / 地域住民 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域から無作為抽出された中高年者を対象とした「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第6-7次調査(2008-2012年)と本研究期間内に実施する追跡調査データを用い、「頭部MRI3次元画像(約2000名)の10年間の追跡結果から、1)中高年者における脳の形態学的加齢変化と、2)食事や身体活動等の生活習慣、教育歴や疾患既往等の個人背景要因が脳の形態学的加齢変化に及ぼす影響を明らかにする。次いで、脳の形態学的加齢変化と認知機能、抑うつ、高次生活機能障害、身体機能低下の関連性を検討し、食事や身体活動等の生活習慣は脳の形態学的変化を介し(あるいは独立して)心身機能低下を抑制するのかを明らかにする。
「2018年度から「脳とこころの健康調査Ⅱ」を開始した。これはNILS-LSA第6-7次調査参加者のうち、調査参加への同意が得られた者を対象とした調査で、調査項目は頭部MRI3次元T1およびT2/FLAIR画像撮影、認知機能、歩行、握力、生活習慣や既往歴等である。国立長寿医療研究センター内でのMRI利用可能枠や高齢参加者の身体的負担などを考慮し、週2回、1日5~6名、年間600名程度の調査を予定した。2018年10月から調査を開始し、2019年度末までに844名の調査を完了した。
また追跡調査遂行に並行して、認知機能に影響を与えると考えられているAPOE等の遺伝子多型を把握するために、NILS-LSAでAPOE遺伝子多型未測定の者のうち500名程度について、多型検査を行った。これら遺伝子多型や、既存の頭部MRI3次元画像データと、認知機能や身体機能低下の関連性を検討した。身体的フレイルと脳局所容積に有意な関連性が認められたため、脳画像診断専門医らと共同で学術的発表(論文)を行った。また食生活と海馬容積に有意な関連性を認めたため、学会にて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年2月頃から新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、調査参加者のキャンセルや延期希望(日程再調整)が続き、研究開始時に予定した人数の調査が遂行できていない状況である。2020年4月現在、県の緊急事態宣言を受け、疫学調査を中断している。調査再開の見通しがたっておらず、調査終了時期が当初の予定より大幅に後ろにずれ込む見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は「脳とこころの健康調査Ⅱ」として当該調査を継続的に遂行し、年度末までに844名の調査を完了した。2020年度は、新型コロナウィルスの感染状況を踏まえて、調査を再開する予定である。本調査の最終登録見込み数は約2000名を想定しており、今年度予定通り、調査を遂行できたとしても、2020年度末までに当該調査は完了できない見込みである。このため、来年度以降も継続して当該調査を実施する予定である。
これらの追跡調査遂行に並行して、第6次・第7次調査、第9次調査が完了次第、第9次調査参加者を含め、頭部MRI3次元および画像処理を行い、海馬や脳領域毎の灰白質容量を定量的数値としてデータ化するとともに、認知機能、抑うつ、高次生活機能障害、身体機能低下の関連性を検討する。更に、認知機能に影響を与えると考えられているAPOE等の遺伝子多型について、対象者のうち未測定の者については、凍結保存検体を用い、DNA抽出処理および多型検査を実施する予定である。
|