2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effectiveness verification of an end-of-life discussion program for enriching the end-of-life of elderly people with chronic illness in Japan.
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18H03104
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
増島 麻里子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (40323414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 みゆき 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (40375853)
佐藤 奈保 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (10291577)
石川 崇広 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00749426)
渡邉 美和 千葉大学, 大学院看護学研究科, 助教 (90554600)
川瀬 貴之 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (90612193)
梅澤 猛 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (50450698)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エンドオブライフケア / 慢性疾患 / 高齢者 / ICT / 看護学 / アドバンスケアプランニング / 終生期 / 対話プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目的は、最終段階を生きる慢性疾患高齢者と家族や医療者との間で行う“終生期を意識した対話”(End-of-Life Discussion:以下、EOLD)支援ツールの精練、および、本対話支援ツールを活用した看護プログラムを作成することであった。 プログラム作成は、研究者全7名、および、慢性疾患患者看護に精通するがん看護専門看護師や糖尿病看護認定看護師らの研究協力者全7名で行った。まず、先行研究で開発したICT版EOLD対話支援ツールVer.1を、高齢者がより使いやすく、持続使用できるようなインターフェイスと機能の刷新を図り、ツールVer.2「My Wish ノート-私の生き方 終い方-」を作成した。並行して、本ツールを用いる看護プログラムを検討した。EOLDは人生の終焉に至るまで断続的に行うが、本プログラムの提供時期は、疾患診断時や初期治療を終えた経過観察中等、心身状態が比較的安定しているEOLD導入期とのコンセンサスを得た。また、対話目的や目標を段階的に配置したEOLDルーブリックVer.1を作成した。アウトカム指標については、EOLD効果検証等の研究実績のある英国の看護学研究者、および、EOLDに関する評価尺度開発者であるタイの看護学研究者との研究会議を開催し、指標を検討した。さらに、本看護プログラムの介入時期と具体的な関わり方を構築するための先行研究の位置付けで、慢性疾患の中でも進行がんに焦点化し、40歳代から80歳代の家族10名を対象に、患者と家族間でのEOLDを促進するための家族看護プログラムを考案し、研究者らが実施した。インタビューデータを質的帰納的に分析した結果、EOLDの変化や効果は「これまで気がかりだった話題を話し合うことができた」等、課題は「話し合いの方法が個々のニーズに合わない場合がある」等であり、次年度に向けた示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究目的や概要の共有、および、研究成果の方向性を審議するため全研究者による科研会議3回を行った。その他、研究遂行に必要な専門家分科会議として、①看護学研究者5名による看護プログラム検討会議2回、②看護学研究者5名、工学研究者1名、市民1名、ICT開発業者2名によるICT版EOLD対話支援ツール開発検討会議7回、③研究協力者6名によるEOLD対話支援ツール妥当性会議1回、④タイにてChulalongkorn 大学看護学研究者との会議、⑤英国にてUlster大学看護学研究者との会議を行った。特に、ICT版EOLD対話支援ツールVer.2の作成にあたっては、次年度の予備調査に向けて、ユーザーフレンドリー機能(EOLC目的の説明画面、日々の生きがいや楽しみを反映する写真撮影とアルバム作成等)、データ蓄積・分析のための機能(変更履歴の保存、集計機能等)等を新たに構築できた。また、看護プログラムを提供する上の指針となるEOLDルーブリックVer.1は、対話レベル/EOLCレディネスやコミュニケーションタイプに応じて、対象者に必要なEOLDパターンをアセスメントが可能となる。ツールはあくまでも手段なので、対象者のEOLDの話し合いの方向性を看護師が見極めて実践可能な看護プログラムの基盤を充分に構築することができたと考える。研究成果として、進行がん患者の家族10名を対象にした家族EOLC看護プログラム、および、40歳代から80歳代の10名を対象とした対話支援ツールの使用可能性の検証については国際学会で発表し、いずれもPoster Award候補に選ばれ、5分間の口頭発表を行った。また、EOLDを推進する研究として着目され、International Psycho-Oncologoy Societyの Symposium招聘者として、これまでの研究成果と取り組みを発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の推進方策は、以下の三段階を経て行う計画とする。第1段階は、ICT版EOLD対話支援ツールVer.2「My Wish ノート-私の生き方 終い方-」のさらなる更新である。今年度に改訂が必要であると整理した全項目のうち2/3は刷新できたので、残り1/3の項目について引き続き機能強化を行う。それと並行して、第2段階は、看護プログラム最終版の作成を目指し、予備調査「EOLD対話支援プログラムのプレテスト」に取り組む。対象は、がん疾患、心疾患等の慢性疾患の診断期から治療期にあり、外来通院する65歳以上の高齢者15~20名程度とし、看護プログラムを1ヶ月試行する。実施結果は、質的量的に分析した後、研究会議を経て、精練させる。第3段階では、調査「EOLD対話支援プログラムの介入」に向けたプロトコルを作成する。 臨床研究に長けた研究分担者を中心に、プロトコル精練と臨床研究登録を行う。年度後半には、本調査「EOLD対話支援プログラムの介入」として、予備調査と同条件の慢性疾患高齢者のうち、層化抽出により看護プログラムによる介入群、通常の看護を受ける対照群を設定し、1対象者につき6ヵ月にわたり追跡する研究計画を作成し、倫理審査委員会の承認を経て、対象施設の選定を行うまでを目標とする。次々年度には、すみやかに看護プログラムの実施ができ、実施後1、3、6ヵ月後までの横断的・縦断的データ収集が遂行できるように計画する。
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Research Products
(7 results)