2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effectiveness verification of an end-of-life discussion program for enriching the end-of-life of elderly people with chronic illness in Japan.
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18H03104
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
増島 麻里子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (40323414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 奈保 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (10291577)
石橋 みゆき 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (40375853)
渡邉 美和 東都大学, 幕張ヒューマンケア学部, 講師 (90554600)
梅澤 猛 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (50450698)
石川 崇広 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (00749426)
川瀬 貴之 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (90612193)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エンドオブライフケア / 慢性疾患 / 高齢者 / ICT / 看護学 / アドバンスケアプランニング / 終生期 / 対話プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目的は、①最終段階を生きる慢性疾患高齢者当事者と家族や医療者との間で行う“終生期を意識した対話”(End-of-Life Discussion:以下、EOLD)支援ツール精練の最終構築、②本対話支援ツールを活用しながら、対象者と関わる際に必要な看護プログラムの予備調査「EOLD対話支援プログラムのプレテスト」に取り組むことであった。 EOLD支援ツール精練については、年度前半に本研究課題で活用する最終版としてのICT版EOLD対話支援ツールVer.3「My Wish ノート-私の生き方 終い方-」を完成させた。 予備調査については、一般市民を対象とする講座において当該ツールを紹介して、集団に対するEOLD対話支援プログラムを試行した。プログラム構成は、昨年度検討したEOLDルーブリックVer.1に基づき、対話レベル3段階およびEOLDに対するレディネスやコミュニケーションタイプ・健康レベルに着目して、EOLDについて知ること、EOLDについて自分で考えてみること、他者との対話を促すことの3要素を取り入れた。構成内容は、30分~90分の時間および対象者層に応じて、妥当と考えられる支援ツールの部分を活用した。その結果、治療選択の意思決定の現状を知り色々な考え方がある/あってよいことを知った、いつかは考える必要があることを考えることができた等の肯定的な側面と同時に、自分の終生期を考える以前に近親者のつらい最期が想起され改めて悔いを感じる等のネガティブな感情を惹起させる等の反応を得た。 また、本研究成果を国内外で発信してきたことにより、国内外の講演招聘や執筆依頼等を受け、本研究課題の文献検討で得た知見および成果に基づき、研究概要を発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の研究目的2点について、達成状況と内容を記す。 ①EOLD支援ツールの最終構築:初年度に約7割を構築したツールVer.2の機能刷新を継続し、最終版のツールVer.3を完成させた。研究会議は、看護学研究者4名、工学研究者1名、市民1名、ICT開発業者2名を中心に計7回行い、慢性疾患を有する高齢者が、今後の終生期の生き方について考え、記録することを促すシミュレーション機能を有するシステムを構築した。特に、最終構築段階では、本システムを用いる研究者側の視点から、データ出力システムの活用のしやすさ、医療専門用語における注釈の付加、シミュレーション画面の妥当性を検討し、バージョンアップさせた。また、次年度の本看護プログラムの実施に向けて、ユーザー登録50名のID,パスワードをシステム内に割り当てた。本ツールの看護プログラムへの適用については、英国の看護学研究者よりスーパーバイズを得た。 ②EOLD対話支援プログラムの予備調査:一般市民を対象に単独1講座×5回において、延べ約100名を対象に当該ツールを紹介し、看護プログラムのプレテストを行った。本プログラムの提供時期は、心身状態が比較的安定しているEOLD導入期を想定することから、特に活用された内容は、医療者の語りから得た実事例に基づくシミュレーション、最期の時の生きがいや楽しみ等であった。 成果発信は、招聘講演1件(アイルランド・ダブリン)において本研究で開発したICT版EOLD対話支援ツールの概要と研究成果をKeynote Addressとして口演発表(30分)し、終生期を意識した対話に関する執筆3件を行った。この他、昨年度学会発表を行った進行がんを対象とする家族看護プログラムについては、論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であり、本研究課題の総括として以下の三段階を経て推進する。第1段階は、EOLD対話支援プログラムをがん疾患、心疾患、脳血管疾患等の慢性疾患の診断期から治療期にある70歳以上の高齢者10~20名程度を対象に実施する。選定条件は、慢性疾患によって外来通院する高齢者のうち、研究協力が可能な心身状態にある者に協力を依頼する。病院をフィールドとした研究実施が難しい社会情勢の場合は、研究者らのネットワークサンプリングに基づき、可能な限り実施する。第2段階は、EOLD対話支援プログラムのプロトコルを明示し、介入研究に長けた医学研究者を中心に、プロトコル精練と臨床研究登録を目指す。第3段階は、ランダム化並行群間比較による研究展開することを目的とする。対象者は、第1段階と同条件の慢性疾患高齢者のうち、層化抽出により看護プログラムによる20名(介入群)、通常の看護を受ける20名(対照群)を設定する。慢性疾患により外来通院する高齢者のうち、研究協力が可能な心身状態にある者に協力を依頼する。調査方法および内容は、看護学研究分担者と大学院生等の研究協力者が、1対象者につき3ヵ月にわたり追跡する。分析対象は、プログラムの実施1ヵ月、3ヵ月後までの横断的・縦断的データとし、慢性疾患高齢者と家族や医療者との終生期の意向に関する対話頻度、EOLD対話支援ツール記載の改訂頻度や内容、患者や家族のQOLと満足度、EOLDで役立つ/役立たない内容、有効/無効な対話内容、EOLD対話支援/阻害する看護師や医療者の関わり、ライフイベント、対象者の基礎的情報等を質問紙・面接調査、ツール記録調査、看護職者の関わりのリフレクションによりデータ収集を行う。引き続き病院をフィールドとした研究実施が難しい社会情勢の場合は、第2段階までを可能な限り充実させる。
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Research Products
(6 results)