2018 Fiscal Year Annual Research Report
認知症の人との コミュニケーション・チャネルの開発による研究倫理の創成
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18H03106
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
諏訪 さゆり 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30262182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兪 文偉 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (20312390)
辻村 真由子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (30514252)
平野 成樹 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60375756)
石丸 美奈 (坪内美奈) 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (70326114)
井出 博生 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 特任准教授 (80361484)
川瀬 貴之 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (90612193)
小林 聡子 千葉大学, 国際教養学部, 助教 (90737701)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / コミュニケーション / 研究倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、意思決定能力が低下する認知症の人の権利擁護と研究推進のバランスをとるために、エビデンスに基づいた研究倫理の創成に資するコミュニケーション・ チャネルを開発することである。なお、本研究におけるコミュニケーション・チャネルとは、「認知症の人の研究参加の意思や研究 におけるリスクなどを把握・推定するための情報を認知症の人から得ること、および認知症 の人の立場に立脚して情報を解釈することを可能にするものであり、情報そのものや情報把 握技術・システム、教育方法などを含む」と定義する。当該年度は、エビデンスに基づく倫理的配慮のためのデータベースとリスク・ベネフィット推定モデルの開発を行うために、日本における看護・介護・リハビリテーション領域で、認知症高齢者を対象とした介入研究論文について43編の文献研究を行った。その結果、認知症高齢者の研究参加のリスクとして、生活リズムの変調や生活障害の悪化などが明らかになった。また、対象者となった認知症高齢者の多くが、研究者が勤務する医療・介護施設の利用者であることも浮き彫りとなり、研究者は研究対象者が得やすい状況を好むが、一方で認知症の人の研究参加によるリスクの予測や発症時の対応について明確にする必要性が示唆された。 また、今後国内外の研究者に認知症の人が対象となる研究における倫理的配慮の実際について調査するために、調査票の設計も行った。 さらに、アルツハイマー型認知症の人の研究参加に関する意思決定を支援するためには、説明書と同意書が不可欠である。より読みやすく理解しやすいものとするために、眼球運動の解明にも取り組んでおり、測定環境を整備した。アルツハイマー型認知症高齢者の負担なく眼球運動を測定できるように、測定の手順等を習熟することに努めた。現時点で対象者は3名得られ、順次対象者を増やしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、アルツハイマー型認知症の人の眼球運動の測定において、対象者および家族介護者の協力が得られないことが懸念された。しかし、研究協力施設の測定環境が整ったこともあり、対象者が得られることとなった。まだ、研究対象者の人数は少ないが、今後、徐々に増やしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、たいへん貴重なデータとなる、アルツハイマー型認知症の人の眼球運動の測定について研究協力者を増やしていき、その特徴を明らかにしていく。それを踏まえて、認知症の人を対象とした研究において、インフォームド・コンセントの際の説明書と同意書のあり方について検討していく。 また、国内外の研究者や研究協力者等にアクセスして、認知症の人を対象とした研究における倫理的配慮の実際について明らかにしていく。
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