2019 Fiscal Year Annual Research Report
感情識別機能の術後回復に伴う神経ネットワーク再編成メカニズムの解明
Project/Area Number |
18H03126
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中嶋 理帆 金沢大学, 保健学系, 助教 (60614865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 教授 (20334774)
木下 雅史 金沢大学, 医学系, 講師 (50525045)
篠原 治道 金沢大学, 医学系, 客員教授 (20135007)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 感情理解 / 機能回復 / 白質神経線維 / 画像統計解析 / 覚醒下手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
右大脳半球は,ヒトが社会生活を送る上で必要な様々な機能を司っており,他者の感情識別能力は重要な機能の一つである.右大脳半球の外科的手術により,感情理解の能力は一過性に低下するが,機能を司る主要な神経線維が温存されていれば回復する場合が多い.術後の回復には神経機能ネットワークの再編成が関与しているが,ヒトの脳の中では実際に何が起こっているのかについては解明されていない.このような背景の中,申請者は右大脳半球脳腫瘍患者に対する覚醒下手術にいち早く着手し,高次脳機能の温存と神経機能ネットワークの解明,および術後回復の見込みについて検討してきた.本研究の目的は,右大脳半球の主要な機能である感情識別能力の術後回復に伴う神経機能ネットワーク再編成のメカニズムを明らかにすることである. 2年間で,以下の研究を実施した. 1. 感情に関わる術後の機能回復と関連する領域を解明.画像統計解析を用いて,感情の種類毎に術後の機能低下と関連する摘出領域を調べた.その結果.感情の種類毎に異なる脳領域が関係しており,回復のしやすさも異なることが明らかになった. 2. 脳腫瘍摘出術に伴う脳機能の再組織化の特徴を覚醒下手術所見から明らかにした.この研究成果はすでに論文で発表した.さらに,再組織化には3つのパター ンがあることが分かった. 3.屍体脳を用いた白質解剖を用いて,神経線維が収束する部位が脳全体に200程度あることを見いだし,これにcrossingと命名した.これは,脳機能の再組織化を説明しうる構造物である. 1,2については論文投稿誌,現在査読中である.3については論文が受理された(Cereb Cortex 2020, In press)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感情に関わる術後の機能回復と関連する領域,脳腫瘍摘出術に伴う脳機能の再組織化の特徴については論文投稿誌,現在査読中である.脳機能の再組織化を説明しうると予測する脳の新規構造物については,すでに論文が受理された.このため,本研究計画は概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,我々が発見した新規構造物(crossing)についてさらに調べ,脳機能の再組織化を説明しうるかどうかを検討する.また,安静時機能的MRIを用いて脳機能の構造的結合の変化と機能的結合の変化の関連を解明する.
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Research Products
(21 results)