2018 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌腫瘍3次元内部構造の徹底的な理解のための超高精細情報空間構築
Project/Area Number |
18H03262
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
本谷 秀堅 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60282688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 孝洋 名古屋大学, 情報基盤センター, 教授 (40345434)
Kugler Mauricio 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70456713)
横田 達也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80733964)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 病理画像 / 非剛体位置合わせ / 3次元再構成 / 膵癌 / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
KPCマウスより摘出した膵癌腫瘍の連続切片の病理顕微鏡画像を約3000枚取得した。これら画像群は、腫瘍を脱水したあとパラフィンで固定したものを、4マイクロメートルの厚さで連続的に薄切し、染色したものを顕微鏡スキャナで撮影して獲得した。連続切片の染色は、形態解析に適したHE画像染色を1枚おき(2枚に1枚)に施し、HE染色した切片と切片の間については、免疫染色を施した。免疫染色はKi67、CK19、MT、CD31をこの順で交互に施した。Ki67は分裂中の細胞を強調し、CK19は上皮系細胞を強調するため、上皮系である癌の細胞を染める。MTは膠原線維を強調し、CD31は新生血管細胞を染色する。 次に、これら画像群を相互に非剛体位置合わせする手法を開発・適用することにより、病理顕微鏡画像の3次元化を行い始めた。非剛体位置合わせには、(1) スライスを横断するランドマークを検出し、それらランドマークが3次元空間で構成する軌跡群がいずれも滑らかになるように全てのスライスを非剛体変形する手法を開発し、適用した。異なる免疫染色画像よりランドマークを検出する手法の新規開発が必要かと当初は考えていたが、古典的な正規化相互相関によるテンプレートマッチングで十分な精度が得られることを実験的に確認した。このことをまとめた成果をjournalに投稿した。 膵癌腫瘍の3次元画像を観察することにより、Ki67/CK19/CD31で染色される解剖構造の3次元分布を把握できるようになった。例えばKi67により染色された細胞核が腫瘍の辺縁部に多く見られることを、目視により確認した。また病理医と画像を見ながら今後の解析対象を相談する機会を設け、(1) ADMの分布の可視化、(2)膠原線維の走行分布の可視化、(3)新生血管と分裂中の細胞密度の関係解析、(4)新生血管とネクロシス領域の関係解析、などを目標とすることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画像の取得と3次元再構成が順調に進んでいる。各種免疫染色よりミクロな解剖構造を自動抽出し、記述する手法はまだ完成しておらず開発途上である。
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Strategy for Future Research Activity |
病理顕微鏡画像の3次元化が進んでおり、そのデータ管理法の開発が急務となっている。ファイル読み出しや可視化法の開発に今年度は着手する。また、3次元再構成した画像より各種解剖構造を自動抽出し、生理学・病理学の観点から解析する手法の開発にも着手する。例えば、腫瘍内部の血管の分布と分裂細胞の空間密度の関係などは病理の観点からも興味深い。
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Research Products
(9 results)