2020 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of climate effects of black carbon over the Arctic with an advanced earth system model
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18H03363
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
大島 長 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (50590064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庭野 匡思 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 主任研究官 (10515026)
青木 輝夫 国立極地研究所, 国際北極環境研究センター, 特任教授 (30354492)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エアロゾル / 黒色炭素粒子 / 気候変動 / 環境変動 / 北極 / 気候モデル / 雪氷 / 大気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
気象研究所地球システムモデル(MRI-ESM2)を用いて、全球域および北極域において、産業革命前を基準とした現在における人為起源気体とエアロゾル等による有効放射強制力を推定した。この推定では、エアロゾル・放射相互作用、エアロゾル・雲相互作用、エアロゾルを要因とする地表面アルベド変化についても評価した。また、北極域では、ブラックカーボン(BC)は二酸化炭素に次いで二番目に大きい正の有効放射強制力を持つことが明らかになった。MRI-ESM2による様々な計算は、第6期結合モデル相互比較計画(CMIP6)を構成する、放射強制力モデル相互比較計画(RFMIP)、エアロゾルおよび大気化学に関するモデル相互比較計画(AerChemMIP)などの国際的な枠組みで実施され、これらに関する研究成果は、複数本の査読付き論文として出版された。 MRI-ESM2による雪氷物理状態推定結果の検証データとなり得るグリーンランド氷床上での現地観測データを論文として出版するとともに、モデル開発についての総説論文を出版した。また、極域向け領域気候モデル(NHM-SMAP)が参画したグリーンランド氷床表面質量収支計算モデル相互比較プロジェクト(GrSMBMIP)に関する論文が出版された。 近年確認されているグリーンランド氷床表面の暗色化(アルベド低下)の原因のひとつとして考えられる、積雪中BC濃度の増加と積雪粒径の増加について、先行研究による積雪中BC濃度の測定結果と放射伝達モデル計算から推定した。その結果、BCによるアルベド低下量は最大2%程度で、積雪粒径の増加効果の10%よりも小さいことが分かった。ただし、積雪粒径が増加するとBCによるアルベド低下率が増加するため、温暖化が進むとBC濃度が変化しなくても、アルベド低下効果は現在よりも大きくなる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気象研究所地球システムモデル(MRI-ESM2)を用いて、人為起源物質等による有効放射強制力を系統的に推定した。この推定では、とくにブラックカーボン(BC)を含むエアロゾルに着目し、全球規模と北極域において実施した。また、MRI-ESM2による様々な計算は、国際的に実施されている多くの研究で活用されている。モデル検証に使える現地観測データの収集・発表を進めると同時に、グリーンランド氷床表面質量収支計算モデル相互比較プロジェクト(GrSMBMIP)参加13モデルのアンサンブル平均が地球システムモデルのリファレンス情報として利用可能であることを確認した。グリーンランド氷床上における積雪中BC濃度のレビューと放射伝達モデル計算が終了し、アルベド低下効果を定量化できた。また、SIGMA-Aの自動気象観測装置データの品質チェックが終了し、異常データを排除して、熱収支解析ができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
気象研究所地球システムモデルによる計算結果と様々な観測との比較を行い、モデルで計算されるエアロゾルの変動の再現性を検証する。モデル計算結果を解析することで、ブラックカーボンの北極域への輸送・沈着量や空間分布の変動を評価するとともに、北極域におけるブラックカーボンによる放射強制力を系統的に評価する。昨年度に引き続き、気象研究所地球システムモデルの計算結果から抽出されるブラックカーボンとダストの氷床表面への沈着量計算結果をSMAPコンポーネトモデルに入力し、近年のグリーンランド氷床表面質量収支変動に対するブラックカーボンの定量的寄与の評価を続ける。また、新たな現地観測を実施し、最新の観測データの取得に努めるとともに、収集した観測データによるモデルの検証を引き続き実施する。グリーンランド氷床表面の暗色化の原因に関する研究を取りまとめる。
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Research Products
(42 results)
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[Journal Article] Tropospheric ozone in CMIP6 simulations2021
Author(s)
Griffiths Paul T.、Murray Lee T.、Zeng Guang、Shin Youngsub Matthew、Abraham N. Luke、Archibald Alexander T.、Deushi Makoto、Emmons Louisa K.、Galbally Ian E.、Hassler Birgit、Horowitz Larry W.、Keeble James、Liu Jane、Moeini Omid、Naik Vaishali、O'Connor Fiona M.、Oshima Naga、et al.
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Journal Title
Atmospheric Chemistry and Physics
Volume: 21
Pages: 4187~4218
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] 氷床表面質量収支の実態とそのモデリングの試み:2021年夏最新版2021
Author(s)
庭野匡思, 青木輝夫, 橋本明弘, 大島 長, 梶野瑞王, 大沼友貴彦, 藤田耕史, 山口 悟, 島田利元, 竹内 望, 津滝 俊, 本山秀明, 石井正好, 杉山 慎, 平沢尚彦, 阿部彩子
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Journal Title
雪氷
Volume: 83
Pages: 27~50
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] SIGMA及び関連プロジェクトによるグリーンランド氷床上の大気・雪氷・雪氷微生物研究-ArCS IIプロジェクトへのつながり-2021
Author(s)
青木輝夫, 的場澄人, 庭野匡思, 朽木勝幸, 谷川朋範, 竹内望, 山口悟, 本山秀明, 藤田耕史, 山崎哲秀, 飯塚芳徳, 堀雅裕, 島田利元, 植竹淳, 永塚尚子, 大沼友貴彦, 橋本明弘, 石元裕史, 田中泰宙, 大島長, 梶野瑞王, 足立光司, 保坂征宏, 黒﨑豊, 杉山慎, 津滝俊, 東久美子, 八久保晶弘, 川上薫, 木名瀨健
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Journal Title
雪氷
Volume: 83
Pages: 169~191
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Historical and future changes in air pollutants from CMIP6 models2020
Author(s)
Turnock Steven T.、Allen Robert J.、Andrews Martin、Bauer Susanne E.、Deushi Makoto、Emmons Louisa、Good Peter、Horowitz Larry、John Jasmin G.、Michou Martine、Nabat Pierre、Naik Vaishali、Neubauer David、O'Connor Fiona M.、Olivie; Dirk、Oshima Naga、et al.
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Journal Title
Atmospheric Chemistry and Physics
Volume: 20
Pages: 14547~14579
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Algorithm improvement of SGLI snow products and their validations2021
Author(s)
Aoki, T., R. Shimada, M. Niwano, T. Tanikawa, M. Hori, S. Matoba, H. Ishimoto, A. Hachikubo, K. Sugiura, K. Stamnes, W. Li, N. Chen, J. C. Gallet and A. Kokhanovsky
Organizer
Joint PI Meeting of JAXA Earth Observation Missions FY2021
Int'l Joint Research
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[Presentation] Effective Radiative Forcing Estimates of Anthropogenic Aerosols in MRI-ESM22020
Author(s)
Oshima, N., Yukimoto, S., Deushi, M., Koshiro, T., Kawai, H., Tanaka, T. Y., and Yoshida, K.
Organizer
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
Int'l Joint Research
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[Presentation] Possible albedo reduction due to light absorbing impurities in snowpack observed at various sites2020
Author(s)
Aoki, T., Niwano, M., Matoba, S., Tanikawa, T., Kodama, Y., and Hirozawa
Organizer
EGU General Assembly
Int'l Joint Research / Invited
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