2018 Fiscal Year Annual Research Report
流体シミュレーションと3次元位置情報によるオジロワシの空間利用モデルの開発
Project/Area Number |
18H03412
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河口 洋一 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (20391617)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 孝紀 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90325481)
赤坂 卓美 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (40748357)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | オジロワシ / 大規模数値風況シミュレーション / 風に対する地形効果 / バードストライク / 空間利用モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度、徳島大学では北海道北部において、オジロワシの繁殖状況を春から調べ、捕獲する雛や巣を選定し、オジロワシの雛10羽にGPS発信機を装着した。そのうち1羽については、巣立ちは確認されたが、位置情報が送られてこなかったため、GPSの不具合が生じたと思われる。その他の9個体については、9月以降、巣の周辺から移動しはじめ、秋から冬にかけて北海道東部、道央、南部など幅広く移動したが、今年の3月以降、道内に分散した個体は、生まれた場所(北海道北部)に移動していることが確認された。天候の悪い冬期を除き、GPSの測位データは、1日10地点以上送信されており、加えて、前年度同様な方法でオジロワシに装着したGPSについても、6個体中4個体については継続して位置情報が送られている。オジロワシの空間利用モデルの作成に必要な飛翔情報は順調に収集されている。 九州大学では、昨年は北海道全域を対象とした数値風況シミュレーションを実施するため,スペースシャトル立体地形データ(SRTM)に基づいた地形構築法を検討した。また同時に作成した3次元地形データを入力データとして,1方位の数値風況シミュレーションを行った。得られた計算結果を視覚化し,風に対する地形効果を確認した。 帯広畜産大学では、利用可能なGPSロガーを特定するためにGPSロガーの精度検証を行った。定点における精度検証の結果、測位頻度に関係なく、検証データの95%信頼区間は、水平方向および、垂直方向共に概ね良好な精度であると判断される。また、実際の野外調査地域についても現地調査および聞き取り調査により選定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
徳島大学は北海道北部において、オジロワシの繁殖状況を春から調べ、捕獲する雛や巣を選定し、オジロワシの雛10羽にGPS発信機を装着した。しかし、1個体は巣立ち後にデータが送信されなくなった。巣立ちは確認しているため、発信機の故障だと思われる。オジロワシに装着したGPSは、冬期を除き概ね1日10地点以上測位されており、解析に必要な位置情報の収集は順調に行われた。 九州大学では、大規模な数値風況シミュレーションから得られた数値データの羅列から、必要なデータを抽出する方法やデータの管理方法について検討を行った。 帯広畜産大学では、飛翔中の測位精度を検証するために、熱気球およびUAVを用いて測位誤差精度について検討を行い、飛翔行動を探知し測位することが可能かどうかも併せて検証を進めている。この際、飛翔中に測位頻度の変更等を実施した際のGPSロガーの挙動の検討も行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
徳島大学では、昨年度GPSを装着したオジロワシ幼鳥の飛翔情報、さらに、その前年度に同じように装着したGPS6個体の飛翔情報も合わせて、それらの飛翔時の風況を再現し、その関係性に注目してオジロワシの空間利用モデルの作成を行う。 九州大学では、16方位の数値風況シミュレーションを実施するとともに、得られた数値データを効率良く分析する手法を検討し、オジロワシの飛翔と風の関係性にフィードバックする。 帯広畜産大学では、検証を済ませたGPSロガーを購入し、実際に対象動物に装着する。これにより得られた実際の飛翔軌跡データを解析することにより、飛翔空間選択性について把握する。この際、シュミレーションにより得られた風況データとあわせることにより、風車への遭遇リスクが高い風況についても検討する。
|
Research Products
(2 results)