2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of focal adhesions as a force-bearing cell organelle
Project/Area Number |
18H03518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
出口 真次 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30379713)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞接着 / 焦点接着斑 / 細胞バイオメカニクス / 細胞小器官 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究において細胞-基質間接着(焦点接着斑、focal adhesions: FA)のナノメートルスケールでの形態と、その構造構築に関わる各種構造タンパク質の寄与について計測を行った。ここで得られた形状とタンパク質分布に基づいて力学モデルを構築し、力学的解析(理論解析モデルによる定性的解析および有限要素解析)を行った。その結果、FAは、細胞辺縁部に比べて、細胞近縁部において大きな応力を支えることが示唆された。それを検証するために、FRAP解析(光褪色後蛍光回復法)を行い、構造タンパク質の分子交換速度の計測を行った。その結果、α-actinin-1だけが、(力学モデルから予測される)高応力部位において(低応力部位に比べて)速い分子交換速度を示すことが確認された。FAに作用する力の発生源である非筋II型ミオシンの特異的阻害剤投与のもと同様の測定を行い、ここで観察された分子交換速度と予測応力の間には単に正の相関があるだけでなく、実際に因果関係があることを確認した。すなわち、FAにおいて力の存在時のみに、α-actinin-1の分子交換速度に空間的差異が現れた。他の構造タンパク質(F-actin, talin, vinculin)ではこのような空間的差異は観察されなかったことから、前年度の原子間力顕微鏡による形態観察と整合性のある結果、すなわちα-actinin-1がFAの高さ上昇に寄与し、そのα-actinin-1が伸長されることにより(FAをマクロにみるとそれはせん断応力と見なされる)力を支え、かつ、その結果α-actinin-1が(メカノバイオロジー分野におけるタンパク質結合解析の用語である)slip-bond状に結合・解離速度が促進されることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定されていた一連の実験と解析を実施し、所期の成果を挙げるとともに、予想していなかった新しい発見も得ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
FAの形と機能について成果を得つつあるが、これまでの研究の根幹となるFA内の応力分布は実際には力学的モデルによる考察に留まっており、実際の測定で確認するに至っていない。そこで今後はFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)法を利用した分子センサーを用いて、FA内タンパク質(特にこれまでの結果から主たる役割を果たすことが確認されているα-actinin-1)の張力を評価し、これまでの結果に基づいて構築した力学モデルがFAの性質を実際にどの程度捉えているかについて検証を行うことが課題である。
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Research Products
(39 results)
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[Book] 月刊「細胞」2019
Author(s)
出口 真次,松井 翼,市川 尚文,木岡 紀幸
Total Pages
4
Publisher
北隆館 ニューサイエンス社
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