2018 Fiscal Year Annual Research Report
凍結細胞の運命:バイオインフォマティクスに基づく医療用細胞の品質評価技術の構築
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18H03556
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
宮本 義孝 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, 上級研究員 (20425705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 真志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (90377820)
河野 菜摘子 明治大学, 農学部, 専任講師 (00451691)
中林 一彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 室長 (10415557)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 凍結細胞 / バイオインフォマティクス / 品質評価 / 医療技術 / 再生・細胞医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】本研究では、凍結・解凍後の細胞・組織の状態、品質評価技術を提案することを目的として、最終的には、医療用細胞の品質の向上を目指す。具体的な研究課題として、①長期凍結保存した細胞の品質評価(組織由来幹細胞など)、②凍結保存した細胞・組織構築物の品質評価、③凍結保存した組織・臓器の品質評価、について検討した。 【研究成果】1年目における各々の研究課題に対する主な成果をまとめた。 ① 9年以上前に凍結保存したヒト脂肪組織由来幹細胞(ASCs)を解凍し、その品質について検討した(中林、宮本)。解凍後のヒトASCsの生存率は90%以上であり、解凍・培養後のヒトASCsは線維芽様細胞の形態を示し、マイコプラズマも検出されず、脂肪・骨への分化が確認できた。 ② 三次元培養デバイスTASCL(Tapered Stencil for Cluster Culture)を用いて、均一なヒト脂肪様組織構築物を大量に創製した(池内、宮本)。続いて、ガラス化凍結法も用いてこれらを凍結し、液体窒素下で保管した。結果、凍結・解凍後のヒト脂肪様組織構築物の状態も良く、その機能も維持していることが確認できた。 ③ マウスから採取した各々の組織をガラス化凍結法により凍結し、液体窒素下で保管した(河野、宮本)。結果、凍結・解凍後の動物組織の状態は、組織ごとに異なることが確認できた。 以上より、本研究では、①②③で得られた成果をもとに、有効な細胞・組織の品質評価技術の構築について検証している。実験動物を用いる研究については、各大学・研究施設の動物実験指針に準拠して研究を実施した。ヒト細胞・組織を用いる研究については、機関の外部委員を含めた倫理審査委員会において生命倫理、安全管理を厳重に審査する。倫理委員会の承認かつ実施施設の長の許可を得て、全ての研究を遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、凍結・解凍後の細胞・組織の状態、品質評価技術を提案することを目的とする。 1年目は、本課題に関わる研究者(研究代表者、研究分担者、研究協力者)とともに、まず、①長期凍結保存した細胞の品質評価、②凍結保存した細胞・組織構築物の品質評価、③凍結保存した組織・臓器の品質評価について、各々の研究課題に取り組んだ。 ① 9年以上前に凍結保存したヒト脂肪組織由来幹細胞(ASCs)を解凍し、その品質について検討した(中林、宮本)。解凍後のヒトASCsの生存率は90%以上であり、解凍・培養後のヒトASCsは線維芽様細胞の形態を示し、マイコプラズマも検出されず、脂肪・骨への分化が確認できた。長期凍結保存したヒトASCs(9年)は、multipotencyを有し、その有効性を示すことができた。 ② 三次元培養デバイスTASCL(Tapered Stencil for Cluster Culture)を用いて、均一なヒト脂肪様組織構築物を大量に創製した(池内、宮本)。続いて、ガラス化凍結法も用いてこれらを凍結し、液体窒素下で保管した。結果、凍結・解凍後のヒト脂肪様組織構築物の状態も良く、その機能も維持していることが確認できた。 ③ マウスから採取した各々の組織をガラス化凍結法により凍結し、液体窒素下で保管した(河野、宮本)。結果、凍結・解凍後の動物組織の状態は、組織ごとに異なることが確認できた。ガラス化凍結法により、特定の組織の凍結保存の有効性を確認できた。 以上より、各研究者は、各々の課題について、研究開発を連携して進めることができた。現在までに、細胞、細胞・組織構築物、組織・臓器に対して、各々の品質評価に成功している。また、①②③で得られた知見をもとに、医療用細胞の品質評価技術の構築を推し進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究の推進方策として、1年目に引き続き、①長期凍結保存した細胞の品質評価、②凍結保存した細胞・組織構築物の品質評価、③凍結保存した組織・臓器の品質評価、を基本方策として研究を推進する。各々の研究課題で得られた成果をもとに、凍結・解凍後の細胞・組織の状態、医療用細胞の品質評価技術の構築を、本課題に関わる研究者で協力・連携しながら研究開発を進める。 実験動物を用いる研究については、各大学・研究施設の動物実験指針に準拠して研究を実施する。特に、動物愛護と動物福祉の観点から実験動物使用は、目的に合致した最小限にとどめる。またその際、麻酔等手段により苦痛を与えない等の倫理的配慮をおこなう。実験者は、管理者と相互協力のもと適切な環境のもと飼育管理を行う。ヒト細胞・組織を用いる研究については、機関の外部委員を含めた倫理審査委員会において生命倫理、安全管理を厳重に審査する。倫理委員会の承認かつ実施施設の長の許可を得て、全ての研究を遂行する。また、それぞれの組織については倫理的な手続きおよび考え方が年次毎に異なると予想され、「ヒト幹細胞等を用いる臨床研究に関する指針」に従い、新の社会的な影響を十分に考慮する。さらに、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成25年4月1日改正)を遵守して本研究を実施する。
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Research Products
(10 results)