2020 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamics and Knowledge and Cultural Memory in the Ancient Mediterranean World
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18H03587
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
周藤 芳幸 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70252202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 弥平 名古屋大学, 人文学研究科, 名誉教授 (00192542)
長田 年弘 筑波大学, 芸術系, 教授 (10294472)
師尾 晶子 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (10296329)
高橋 亮介 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (10708647)
田澤 恵子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (30598587)
佐藤 昇 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (50548667)
大林 京子 (山花京子) 東海大学, 文化社会学部, 准教授 (50594157)
田中 創 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50647906)
藤井 崇 関西学院大学, 文学部, 准教授 (50708683)
安川 晴基 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (60581139)
芳賀 京子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80421840)
中野 智章 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90469627)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地中海 / 知の動態 / 文化的記憶 / 文字 / 図像 / 口承 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、紀元前8世紀から紀元後5世紀にかけて地中海世界に独自の文明が展開した要因を探るために、個人から帝国に至る様々な規模の集団のアイデンティティ構築に寄与した文化的記憶の問題を明らかにすることを大きな目的として掲げている。この問題に取り組むにあたって、本プロジェクトでは、歴史学、考古学、美術史学、哲学の最先端で活躍している共同研究のメンバーが、それぞれの国際的なネットワークを統合することで、ディシプリンと所属機関を越えた古代ギリシア・ローマ文明の研究拠点を構築するための活動を行なってきた。しかし、当該年度は、コロナ禍の急速な拡大のために、とりわけ年度当初において様々な支障が生じたが、オンラインによる情報交換が可能になったこともあって、年度当初に策定した3つの観点、すなわち異文化間の知の交換の問題、社会的統合と文化的記憶との関係の問題、文化的記憶を介した知の変容と再解釈の問題のそれぞれについて、研究代表者と分担者がそれぞれに研究を進め、年度前半には、この共同研究を出発点とする第1回インターユニを古代ギリシア文化研究所との共催によって行い、年度後半には2回の研究会を通じて、2021年5月16日に開催予定の日本西洋史学会大会における小シンポジウムに向けた共同研究を進めた。その成果は、研究発表の項目に記した通りである。これによって、先の観点をさらに発展させ、ダムナティオ・メモリアエに代表される文化的記憶の操作の歴史的意義をエジプト、ギリシア、ローマ、フェニキアそれぞれの事例に沿って再検討するという新たな課題が導かれた。この課題については、この科研費の研究分担者だけではなく、それぞれの分野で先端的な業績を蓄積している若手研究者の協力を仰ぎつつ、さらに研究の進捗を図る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、第4回古代地中海世界コロキアムの報告集を刊行する予定であったが、寄稿者の多くがコロナ禍によるロックダウンのために図書館や研究所が利用できなくなるという状況が発生したため、編集作業は年度末までに終わったものの、刊行そのものは翌年度に再調整することを余儀なくされた。また、基礎資料の入手のために毎年行っている海外調査、海外の研究者との対面での交流についても、実施が不可能となった。しかし、海外調査については、一昨年度の調査が年度末におけるコロナ禍の拡大の直前に行われていたため、その資料の分析を進め、オンラインのシンポジウムを実現することで一定の成果をあげることができ、結果的にそれほど大きな影響はなかった。また、オンラインの研究会が一般化したことで、これまで以上に密接な研究交流が研究分担者相互の間で可能になったことは、むしろ研究の進捗の上でプラス要素になったと言える。西洋古代史研究における若手研究者育成のために8月に開催した第一回インターユニは、本共同研究の一つの賜物であり、これを契機として、より多くの若手研究者を巻き込みながら、本研究を進捗させていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画は、「文化的記憶」を鍵概念として、ギリシアとローマだけではなく、エジプトをも含めた広義の古代地中海文明の諸相を共同研究を通じて多角的に考察することで、この文明がいかにして人類のその後の歴史の展開に大きな影響を与えることになったのか、その根本的な要因を解明するために策定されている。そのために、海外の関連分野の研究者とのネットワーク強化と、古代ギリシア文化研究所などの他のプロジェクトとの連携を通じた現地調査の継続的な展開を重視してきたが、コロナ禍に直面することにより、このような共同研究においてもDXがいかに重要であるかを再認識させられることになった。そのため、今後もオンラインによる共同研究のあり方については、引き続き検討を続けていく。その一環として、2021年度には、オンライン開催が決定している日本西洋史学会大会(5月16日)において、「古代地中海世界における知の動態と文化的記憶」と題するシンポジウムを開催し、本共同研究の分担者に加えてローマ文化史やエジプト学の若手研究者がウェブ上で会することにより、参加者とともに議論を深めていく計画である。また、新型コロナ感染症が終熄した後を見据えて、海外の研究者との連絡をこれまでと同様に密にとり、オンラインでは代替できない現地調査についても、可能な限り早期に再開できるよう、準備を進めていく。
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Research Products
(50 results)
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[Book] 論点・西洋史学2020
Author(s)
周藤芳幸, 師尾晶子, 佐藤昇, 藤井崇, 高橋亮介その他. 金澤周作監修(共著)
Total Pages
340
Publisher
ミネルヴァ書房
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