2019 Fiscal Year Annual Research Report
琉球帝国からみた東アジア海域世界の流動的様態と国家
Project/Area Number |
18H03592
|
Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
村木 二郎 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50321542)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康之 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (10733272)
関 周一 宮崎大学, 教育学部, 教授 (30725940)
池田 栄史 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (40150627)
松田 睦彦 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40554415)
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50205663)
中島 圭一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (50251476)
荒木 和憲 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50516276)
渡辺 美季 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60548642)
田中 大喜 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70740637)
黒嶋 敏 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (90323659)
小出 麻友美 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (30828794)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 琉球 / 中世 / 陶磁器 / 集落 / 流通 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、琉球の周辺地域から古琉球史を見つめ直すことを目的としている。そのため、周辺地域の資料を渉猟・蓄積し、研究メンバー間で情報を共有する。研究メンバーは考古学と文献史学の専門家が中心である。当該研究分野を牽引してきたのは文献史学であるが、新出資料は考古学の方が圧倒的に多いため、考古班の現地調査情報を文献史班に提供し、これまでの研究と照応させて解釈を重ねていくことになる。 第2年度である2019年度は、沖縄本島うるま市勝連城跡(うるま市教育委員会)出土陶磁器の悉皆カウント調査を3次にわたっておこない、ほぼ完了した。遺跡調査としては、波照間島マシュク村跡遺跡、西表島上村遺跡、古見港等の踏査を実施した。また、宮古島上比屋山遺跡の踏査を丹念におこない、既存の測量図に修正をかけた。 また、2020年度に国立歴史民俗博物館で企画展示をおこない研究成果報告の場を設けることとし、展示を前提とした研究会を3回実施した。そのうちの1回はシンポジウム形式をとり、広く一般に公開した。報告題等は以下の通りである。第1回研究会、6月24日、国立歴史民俗博物館にて開催。報告:村木二郎「中世・琉球の海(仮)展示案」。関連資料調査:荒木和憲・村木二郎「冊封使船送迎之図」「又吉真三収集琉球拓本コレクション」ほか。第2回研究会、12月9日、国立歴史民俗博物館にて開催。報告:村木二郎「琉球統一と中央集権」。黒嶋敏「那覇港と島々を結ぶ」。渡辺美季「東アジア世界の中の近世琉球」。第3回研究会、3月6日、沖縄県立博物館・美術館にて開催。報告:山本正昭「与論城跡模型について」。シンポジウム「遺跡から見た琉球列島のグスク時代」。報告:村木二郎「島々からみた「琉球帝国」。池田榮史「奄美における「グスク時代」」。久貝弥嗣「宮古地方におけるグスク時代の展開」。小野正敏「八重山のグスク時代‐集落遺跡からの視線‐」。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度である2019年度は、考古班の陶磁器調査に重点を置いた。まず、これまでの研究を見直し、悉皆カウント調査のデータが不足している地域を検討した。その結果、先島、奄美地域も随時蓄積していくが、同じレベルでの沖縄本島のデータを最優先で収集する必要があることがわかった。そのため、好適な遺跡を選択し、資料所蔵機関と打合せをおこない、方針を固めた。 すなわち、沖縄本島においては、集落遺跡、グスク遺跡両者の情報が必要と考え、前者は那覇市銘苅原遺跡・ヒヤジョー毛遺跡を、後者は勝連城跡を選んだ。前者については前年度内に調査を完了した。後者はおおよそ2万点以上という膨大な資料を有するため、今年度内での完了を目指して最優先課題として取り組み、ほぼ調査を完了した。次年度に補足調査を1度実施すれば完了する予定である。これらの情報の分析は同時並行でおこなっており、さらに八重山・宮古で1件ずつ調査対象を広げることで、比較資料の充実を図りたい。 遺物調査に対して、集落遺跡の実態把握については、宮古島上比屋山遺跡の踏査を丹念におこない、既成の測量図に修正を加えた。次に、トレンチ調査を実施することで年代観を明確にすれば、宮古地域における集落遺跡研究に重要な成果を得ることが予想される。次年度以降には、その実現を図りたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、資料不足をどのように補うかにかかっている。それは取りも直さず考古班による遺物調査・遺跡調査によって、地道にデータを蓄積していくことである。遺物調査については、比較データが希薄と感じていた沖縄本島での調査がうまく進捗しているので、これを継続しつつ、先島・奄美地域の良好なデータを探索する。具体的には、うるま市勝連城跡の補足調査、石垣市ビロースク遺跡、宮古市与那覇遺跡、喜界町手久津久遺跡群出土陶磁器の調査である。遺跡調査については、宮古島市上比屋山遺跡のトレンチ発掘調査および測量調査を実施し、遺跡の年代を明確にしたい。。 文献史班は、考古班の情報をチェックしながら、南九州での調査を継続し、新たなデータを呈示することを目標とする。必要に応じて、原本資料の複製品制作をおこない、資料調査の便宜も図りたい。 これらの研究成果は展示によって整理・公開したい。2020年度末から2021年度にかけて、国立歴史民俗博物館の新特集展示(特別料金を徴収しない形態)「海の帝国琉球‐八重山・宮古・奄美からみた中世‐」を開催する予定である。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 島嶼と海の世界2020
Author(s)
大庭康時、佐伯弘次、坪根伸也、関周一
Total Pages
180
Publisher
高志書院
ISBN
978-4-86215-202-2
-
-
[Book] 年号と東アジア2019
Author(s)
水上雅晴、髙田宗平、田中大喜
Total Pages
792
Publisher
八木書店
ISBN
978-4-8406-2227-1
-
-
-
[Book] 琉球の中世2019
Author(s)
池田榮文、瀬戸哲也、黒嶋 敏、木村淳
Total Pages
190
Publisher
高志書院
ISBN
978-4-86215-196-4
-