2020 Fiscal Year Annual Research Report
国境を越える立憲主義の成立可能性と国際法・憲法の基本概念
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18H03617
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80262418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大藤 紀子 獨協大学, 法学部, 教授 (00296287)
伊藤 一頼 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00405143)
近藤 圭介 京都大学, 法学研究科, 准教授 (00612392)
山元 一 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (10222382)
興津 征雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10403213)
寺谷 広司 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30261944)
小畑 郁 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (40194617)
井上 武史 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (40432405)
根岸 陽太 西南学院大学, 法学部, 准教授 (50815983)
篠田 英朗 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60314712)
最上 敏樹 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70138155)
清水 章雄 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (70142784)
柳 赫秀 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (90220516)
栗島 智明 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90846453)
大道寺 隆也 青山学院大学, 法学部, 准教授 (70804219)
川瀬 剛志 上智大学, 法学部, 教授 (60275302)
中井 愛子 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (00815722)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グローバル立憲主義 / グローバル法秩序 / 国際人権法 / 国際経済法 / 主権国家 / 憲法 / 途上国問題 / EU法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、同年2月からのコロナ感染の拡大により、通常の研究活動の実施が困難となり、そのような状況への対応に大きな労力と時間を費やしたが、オンラインによる研究活動に全面的に切り替えることにより、大きな成果をあげることができた。 第一に、全体研究会をオンライン開催に変更し、以後年間4~5回開催した(例えば、2020年度は、8月、10月、11月、2021年1月と4回開催)。研究会では、代表者・分担者の中から数名が毎回関連テーマにつき報告し議論した。 第二に、全体研究会とは別に、代表者と約半数の分担者で、個別課題に関する二つの研究会(立憲主義研究会、グローバル法秩序化研究会)を組織し、やはりオンラインで1ないし2カ月に1回程度研究会を開催した。前者は、近時の立憲主義をめぐる議論を考察するため、各回ごとに最近の重要な欧米書籍を検討し、2020年度には6回、2021年度も7回の研究会を開催した。後者は、グローバル立憲主義の前提とするグローバル法秩序の認識を、法哲学者Hans Lindahlの著書を精読しながら検討し、2020年度に8回、2021年度に4回の研究会を開催し、さらに著者のLindahl教授に依頼し、2021年6月・7月と2回に渡り、著者と直接議論する国際ワークショップを開催した。著者との議論の内容は、ヨーロッパの法哲学雑誌に2023年3月、公表された。なお、同教授の著書の日本語訳出版に向けた作業も進行しており、2023年度末までに刊行予定である。このように、オンラインの活用により、コロナ以前以上の密度で研究を進めることができた。 さらに、これらの研究成果を公表するために、国際法協会日本支部の発行するJapanese Yearbook of International LawにGlobal Constitutinalism特集号(2021年)の企画を提案し採用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、コロナ感染拡大による移動制限のため、代表者・分担者が現実に会合して議論することはほぼ不可能となり、当初は、研究活動の継続に不安を感じた。欧州大学大学院大学での開催を予定していた国際ワークショップの開催が不可能となったことも、不安の理由であった。しかし数カ月が経過し、オンライン会議システムの利用により、研究活動の継続が可能であることが分かり、それ以後は、むしろオンライン会議の特徴を最大限に活かして、国内研究会を、2019年度までに比して、数倍の頻度で開催し、多彩な研究活動を進めることができた。さらに海外の研究者とのワークショップも、より容易にかつ費用をかけることなくオンラインで開催することができ、そのことにより予定していた研究活動を円滑に進めることができた。2020年度以降、海外の学会・シンポジウム等も、オンラインによる参加が可能である場合が多くなり、時差の障碍はあるものの、代表者・分担者は、それらの会議にも積極的に参加し、研究の推進に役立てた(例えば、代表者が2019年に参加したヨーロッパ国際法学会には、2020年度はオンラインにより参加した)。これらの努力の結果、ほぼ予定通り、また部分的には予定以上に順調に研究を進捗させることができた。 但し、オンライン会議が有用であるのは、コロナ以前の段階で信頼関係を構築できていた研究者間であり、オンラインにより一から信頼関係を構築するのはかなり困難である。それゆえに、対面での会議が全てオンライン会議により代替できるわけではない。また、オンラインにより長時間の研究会を行うことは実際以上困難であり、一回の研究会の時間は、2019年度までより短縮しており、ここにも困難がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、本来、2021年度が研究の最終年度であったが、コロナの感染が終息したなかったために、2020年度・2021年度の海外出張又は海外からの招聘が事実上不可能であったため、両年度の予算をさらに繰り越し、2022年度を最終年度とした。 そして、前項までの記述で説明したように、2020年度の研究計画は、2022年度前半までにほぼ達成しており、その意味では、特に推進方策を検討する必要はない。現在、2020年度の計画で未達成であるのは、前述のLindahl教授の著書の日本語訳の作業である。既に出版社との合意もでき、翻訳作業を進めているが、同書には難解な部分が少なくなく、またグローバル法秩序の分析を、これまでになかった法概念を使用して行っているために、訳語の選定が容易ではなく、時間を要しているが、2023年夏の完成を目途に、代表者・一部の分担者で鋭意努力中である。なお翻訳書の出版に際しては、同教授を招聘して、国内で出版記念会(Book Workshop)を開催する予定である。
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[Book] 人権判例報2020
Author(s)
小畑郁・江島晶子(責任編集)
Total Pages
116
Publisher
信山社
ISBN
9784797259612