2018 Fiscal Year Annual Research Report
空間計量経済学における最重要課題への挑戦と新たな展開
Project/Area Number |
18H03628
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堤 盛人 筑波大学, システム情報系, 教授 (70292886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 安昌 東北大学, 経済学研究科, 教授 (10301590)
瀬谷 創 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20584296)
村上 大輔 統計数理研究所, データ科学研究系, 助教 (20738249)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 空間計量経済学 / 空間重み行列 / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
空間計量経済学の最重要課題を解決するとともにさらなる発展を目的として、[Ⅰ]空間重み行列の内生化に関する実証研究と新たなモデル開発 [Ⅱ]ビッグデータへの新たな対処法の開発 [Ⅲ]組成データ解析を応用した空間計量経済学の新たな展開 [Ⅳ]研究成果の公開・利用促進と日本における空間計量経済学分野の研究者の育成 の四つの課題に取り組んだ。具体的には、 [Ⅰ]空間計量経済学における空間重み行列Wの内生性をモデル化する第一段階として、サンプルの偏りを扱うHeckmanモデルと空間計量経済モデルの統合を試みた。また、地理学の分野で提案されたEigenvector Spatial Filtering (ESF)を応用し、新たな空間分位点回帰モデル及び空間可変パラメータモデルを開発した。 [Ⅱ]空間計量経済学におけるビッグデータへの対処法として、次元縮減アプローチに着目して、標本数と(ハイパー)パラメータ数の両方に関して線形時間で空間回帰モデルを推定するアルゴリズムを新規開発した。また、そのアルゴリズムを空間計量経済モデルの推定に応用してその精度と計算効率を確認した。さらに、複数の地域において調査された個人レベルの調査データに対して回帰モデルを考える際、回帰係数を全地域で共通とせず地域別にことなるが近い地域では似た値をとるモデルを構築し、推定法を考案した。 [Ⅲ]Conditional Autoregressive (CAR) Modelに基づく組成データモデルの開発を進め、空間計量経済学の中で提案されてきた他の様々なモデルをCoDaへ拡張するための方法論の検討を行った。 [Ⅳ]空間計量経済学に関するセミナー開催のための企画について検討を行った。また、空間計量経済学に関する国際学会である Spatial Econometrics Association と連携しながら、学会開催の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[Ⅳ]に関しては、空間計量経済学に関するセミナー開催のための企画について検討を行ったが、国内における開催までには至らなかった。それ以外は、概ね、当初研究計画のとおり進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
[Ⅰ]昨年度開発に着手した、サンプルの偏り(サンプルセレクションを扱う)を扱うHeckmanモデルと空間計量経済モデルの統合モデルを改良する。また、昨年度開発した、Eigenvector Spatial Filtering (ESF)を応用した空間分位点回帰モデルおよび空間可変パラメータモデルについても、改良を行う。 [Ⅱ]昨年度開発したビッグデータのための高速空間計量経済モデリングを、空間ダービンモデルやSACモデルといったより高度な空間計量経済モデルの推定に応用する。[Ⅰ]で改良を予定している、空間分位回帰や空間可変パラメータモデルと組み合わせることで、さらに柔軟で,かつビッグデータに適用可能な空間計量経済モデリング手法の確立を目指す。その上で、開発するモデル実際の社会経済データに適用することで、その性能を検証する。また、複数の地域において調査された個人レベルの調査データに、地域情報を衛星画像から取り入れることで、さらに精密な地域別回帰モデルの構築を目指す。 [Ⅲ]Conditional Autoregressive (CAR) Modelに基づく組成データモデルの開発を進め、空間計量経済学の中で提案されてきた他の様々なモデルをCoDaへ拡張するための方法論の検討を引き続き行う。 [Ⅳ]昨年度に続き、空間計量経済学に関する国際学会である Spatial Econometrics Association と連携しながら、日本での学会開催の準備とそれに向けた研究集会の企画について検討する。
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Research Products
(9 results)