2020 Fiscal Year Annual Research Report
Cognition and preference of the job and social securities: A panelized cognition and conjoint experiment
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18H03630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中林 真幸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60302676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 恵介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40622345)
森本 真世 東京大学, 社会科学研究所, 講師 (20782311)
MCELWAIN KENNETH 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (80768896)
飯田 高 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (70345247)
有田 伸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30345061)
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
大久保 将貴 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (90807835)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 完全無作為化コンジョイント実験 / 完全無作為化認知実験 / 公共政策の選好 / 相対的貧困の認知 / 新型コロナ感染症対策の選好 / 新型コロナ感染症対策ワクチンの選好 / with Corona / 政治的傾向 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度にも、計画通り、2回のパネル完全無作為化コンジョイント実験を15,000名の回答者に対して実施した。 2020年7月に実施した第5回調査においては、過去4回と同様の背景調査(性別、年齢、教育歴、就業状態、所得、支持政党、政府支持等)に加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の政策選好を問う二つの完全無作為化コンジョイント実験を実施した。一つは、企業の経済活動と個人の行動を、どの程度の強制力を以て制限し、また、政府は、個人の行動を、どの程度、監視することが許されるかを問うものである。もう一つは、COVID-19の影響を受けた人々に対して、どのような財政的支援を行うべきかを問うものである。前者の実験の結果、罰金や懲役によって企業、個人の活動を制限すること、政府がSNSを使って個人の行動を監視することに対する強い忌避感があることが観察された。法的強制力を持たない自粛により、企業と個人の活動の自制を求める現行法制と概ね整合的な結果である。後者の実験は、医療と教育に対する財政支援への強い選好が観察された。 2021年3月に実施した第6回調査においては、背景調査に加えて、第5回に実施した、企業の経済活動と個人の行動の制限に関する実験を再度、実施するとともに、新たに、COVID-19に対する仮想的なワクチンの選好を調べる実験を実施した。ワクチン選好実験にあたっては、「自発的に接種を受ける」場合と、「接種を努力義務化する」場合の二つの筋書きを無作為に与えた。前者の実験の結果、第5回と比べて、強制力を持つ政策に対する忌避感が弱まっていることが確認された。政府による監視への忌避に変化はなかった。COVID-19ワクチンについては、中国、ロシア製のワクチンに対する強い忌避感が観察された。忌避の度合いが、努力義務化することにより、僅かに下がることも観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第3回実験(2019年10月)までのパネル完全無作為化コンジョイント実験の成果をまとめたディスカッション・ペーパー、Keisuke Kawata and Masaki Nakabayashi, "Persistent mind: The effects of information provision on policy preferences"は経済学において最も水準の高い学会であるThe 2021 North American Summer Meeting of the Econometric Society, June 10-13, 2021の報告に受理されており、また、The European Economic Association-Econometric Society European Meeting, August 24-27, 2021の報告にも受理されている。 第4回実験(2020年3月)の実験の成果取り纏めもほぼ完了しており、近日中にディスカッション・ペーパー、Keisuke Kawata, Kenneth M. McElwain and Masaki Nakabayashi, "Narrative Premium"として公表する。 第5回実験(2020年7月)のワクチン選好実験の成果取り纏めもほぼ完了しており、近日中にディスカッション・ペーパー、Keisuke Kawata and Masaki Nakabayashi, "Determinants of COVID-19 Vaccination Acceptance: A Survey Study from Japan"として公表する。 第5、6回パネル実験(2020年7月、2021年3月)のCOVID-19対策規制政策選好実験については既に推定結果を得ており、実験ノートをもとに論文に取り纏めている。
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Strategy for Future Research Activity |
背景調査については、パネル・データ構築を目的として、2021年度以降も引き続き、同内容において実施し続ける。実験調査については、第6回実験までの成果を踏まえ、2021年度については以下を実施することを決定した。現在、第7回実験のための質問票を作成している。完成次第、東京大学社会科学研究所倫理審査委員会に提出、審査を求め、可と判定されたら速やかに第7回実験を実施する。 1. ワクチン配分の正義:COVID-19ワクチンの供給が遅れている現状に鑑み、どのような人々に優先的に配分すべきと人々が考えているかを調べる完全無作為化コンジョイント実験を実施する。成果の取り纏めには飯田(Iida)、川田(Kawata)、中林(Nakabayashi)が共著者として当たる。 2. 格差の認識:人々が「差」を認識するのは、所得格差を目にしたときなのか、それとも、より一般的な階層間断絶を目にしたときなのかを、それぞれを情報処置として無作為に示すことによって調べる実験を実施する。成果の取り纏めには、藤原(Fujihara)、川田(Kawata)、中林(Nakabayashi)、大久保(Okubo)が共著者として当たる。 3. 「エリート」の認識:我が国において、人々が、一般人とは異なる何かを誰かに対して認める際に、その鍵となる要素が何であるのかを調べる調査を行う。具体的には、背景調査に、自由記述によって、「どのような人々を『エリート』と考えるか」を問う質問を挿入し、テキスト・マイニングのアルゴリズムにより、人々の「エリート」観を析出する。成果の取り纏めには、藤原(Fujihara)、川田(Kawata)、マッケルウェイン(McElwain)、中林(Nakabayashi)が共著者として当たる。 第4回実験までの成果についても、広く学会発表をおこなうとともに、国際的な査読付き学術雑誌への掲載を目指す。
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Research Products
(16 results)