2021 Fiscal Year Annual Research Report
Cognition and preference of the job and social securities: A panelized cognition and conjoint experiment
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18H03630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中林 真幸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60302676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 恵介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40622345)
森本 真世 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (20782311)
MCELWAIN KENNETH 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (80768896)
飯田 高 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (70345247)
有田 伸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30345061)
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
大久保 将貴 東京大学, 社会科学研究所, 特任助教 (90807835)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 完全無作為化コンジョイント実験 / 完全無作為化認知実験 / 公共政策の選好 / 相対的貧困の認知 / 新型コロナ感染症対策の選好 / 新型コロナ感染症対策ワクチン選好 / with Corona / 政治的傾向 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に取りまとめを終えた成果は大きく3点に分けられる。 1. 2020年度に,効果の相違,副作用の相違,地政学的懸念のある国を含む開発国,を組み合わせた仮想的ワクチンをコンジョイント実験によって生成,それを選択させる調査を実施した。その際にワクチン接種を任意とする筋書きと努力義務とする筋書きとに分ける情報トリートメントを実施した。副作用,効果,地政学的懸念が選択に影響を及ぼしたが,これらの拒否反応は,接種の義務化によって緩和された。すなわち,義務化によって集団免疫形成におけるフリーライディングを防ぐことは,接種忌避を緩和することが確認された。この成果は2021年度にSSM-Population Healthに刊行された。 2. 2021年度に,ワクチンが希少な場合に,優先的な接種対象として多国籍者よりも自国民を優先する排外種的傾向を抑制し,集団的免疫の外部経済を拡大する方策を探るコンジョイント実験を実施した。その結果,外国人の職種が医療,教育関係である場合に,排外主義的傾向が弱まることが発見され,免疫形成の外部経済に対する職業的外部経済の乗数効果が発見された。この成果はディスカッション・ペーパーとして発表され,学術雑誌に投稿中である。 3. 2020年7月のコロナ禍初期には,対コロナ政策の選好に分断が生じていたこと,特に,モバイル通信機器を使った国民の監視について賛否が分かれていたことが確認された。しかし,2021年2月には,国民監視を拒否する国民的統合が再建された。「安全と自由のトレードオフ」は,危機に直面する立憲的民主主義国家に共通に直面する挑戦であるが,我が国は,新型コロナ感染症への学習が進むに連れ,南欧や韓国と異なり,デンマークやドイツと同様に,自由を優先する国民的統合を再建した。この成果はディスカッション・ペーパーにまとめられ,学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の工程は,主に,1)サーベイとコンジョイント実験の設計,2)データ回収における機械学習を用いた試行的分析と実験ノートの作成,3)先行文献渉猟と整理,4)実験ノートと先行研究整理から論文を書き起こす作業,に分けられる。1)設計については代表者と分担者が完全に協同して当たるが,2)以降については,代表者と分担者の比較優位に合わせてこれらの工程を分担している。この際,各工程の擦り合わせを円滑に進めるかが,論文作成の速さと完成度を決定的に左右するが,計画4年目にしてこの点が劇的に改善している。また,コロナ禍の副産物として,作業は定期的なZoom meetingによって行うことになったが,これも生産性を上げるために大きく貢献した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 2021年度に実施した調査のうち,論文にまとめていない課題のとりまとめを急ぐ。具体的には,a)日本人にとっての「エリート」観を調べる調査,b)日本人の「格差」認識について参照する指標によって相違があるか否かを調べる調査を実施した。これらについての分析と成果のとりまとめを急ぎたい。 2. 2021年度2回目,2022年度1回目,2022年度3回目のパネル調査により,a)貧困対策の財政政策選好に対して,相対的貧困率を統計的な証拠によって示した場合と,具体的な事例の記述によって示した場合のいずれが大きな影響を及ぼすか,b)それらのトリートメント効果が半年後,1年後にも持続するか,仮に持続するならば,いずれの方が持続的かを調べる調査を実施する。情報交換の様式が政策選好に与える変化の相違と,その持続期間の相違は,国民の「熟議」の上に成り立つ民主主義国家の根幹であり,我が国民主主義の認知的強靱性とのその性質を測る実験になることを予想している。
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Research Products
(29 results)