2021 Fiscal Year Annual Research Report
Impact evaluation of Universal health coverage project
Project/Area Number |
18H03634
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐藤 主光 一橋大学, 社会科学高等研究院, 教授 (50313458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 良太 一橋大学, 社会科学高等研究院, 教授 (00717209)
真野 裕吉 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40467064)
井伊 雅子 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50272787)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ / 共済組合 / インパクト評価 / セネガル / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、セネガル三州でコミュニティ共済保険組合に対する技術支援の対象となった県(介入群)と対象にならない県(対照群)との間での共済組合のパフォーマンス、従業者数、保険加入者数、契約先医療機関数や診療報酬支払期間等の比較分析によってUHC援助事業のインパクトを評価する。 令和3年度は、当初は第二回目の家計調査の実施を計画していたが、現地での新型コロナウィルス感染症の影響により調査実施を断念した。国家医療保障庁との話し合いにより、家計調査の実施を令和4年度に持ち越すことにし、令和3年度はこれまで収集したデータの分析を行うよう研究計画を変更した。また、令和2年度から引き続き、合計二回の共済組合調査データを用いた、共済組合の運営能力と運営実績を前後比較する分析を進め、報告書として国家医療保障庁およびJICAに提出した。 加えて、全国に676件ある共済組合に関して、2017年から2019年までの合計12回分のパネルデータを構築し、共済組合の運営や立地等と、保険加入者数等のアウトカムとの関係について動学パネルデータ分析を行った。その結果、共済組合の運営能力と運営実績には高い相関関係が認められた。とくに、共済組合職員の職業化(現状では運営の大部分を無給の職員に依存している)によって運営が安定することが示唆された。また、医療機関に隣接するように立地した共済組合では、保険料支払いの遅延等が少ないため財務状況が比較的良い傾向にあることも分かった。これらの成果を論文として取りまとめ、出版に向けた改訂を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は二度目の家計調査の準備を進める予定であった。しかし、セネガルおよび日本における新型コロナウィルスの感染拡大による移動制限、渡航制限等の影響で、計画していた現地調査が延期となり、二回目の家計調査を行うことができなかった。調査の基本的なデザインは2018年に行った一回目の家計調査に準じ、第一回調査の対象となった家計と同一の家計を再度調査、質問票等は第一回調査で策定した質問票を踏襲する。二回目の家計調査終了後は、それぞれ二度行った家計調査・共済組合調査のデータを合わせてパネルデータを構築し、共済組合の機能の変化とそれに伴う家計の医療アクセスや医療費負担の変化の分析を行うことになっていた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の影響で延期になっていた二回目の家計調査の準備と実施を行う。2018年に実施した第一回家計調査と同一の家計を調査することにより、家計レベルでのパネルデータの構築を目指す。調査に先立って、セネガル現地に出張して現地を巡回し、第一回調査後の共済組合および家計の保険・医療アクセスの状況を把握すると共に調査員訓練に貢献する。家計調査に係る予算面に関してJICAと調整し、前回調査よりもサンプルサイズを大きくする可能性がある。 同時に、第一回と第二回の共済組合調査のデータ分析を進める。これらのデータを使ってティエス、ジュルベル、タンバクンダ三州の全ての共済組合のパネルデータを構築し、この共済組合パネルデータを、第一回および第二回家計調査のデータを合わせた家計パネルデータと連結することにより、家計・共済組合パネルデータを構築する。これにより、共済組合の運営能力の変化が、家計レベルで見た保険加入、医療アクセス、医療費負担等の変化と同関連しているか詳細な分析を行うことができるようになる。 これらの結果を成果報告書としてまとめて、現地に赴きJICA・セネガル政府に報告し、論文作成を行う。研究成果を、セネガルおよび西アフリカ経済通貨同盟加盟国(セネガル含む)におけるコミュニティ健康保険の改革のための基礎資料として提供する。
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Remarks |
報告書 Swe KT, Mano Y, Nakamura R. Operational capacity and outcomes of mutual health organizations in three regions of Senegal: a comparison between 2017 and 2020. 2021. JICA
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