2018 Fiscal Year Annual Research Report
日本の大学入試制度の役割と問題点:人材の育成と選別の観点から
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18H03636
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧井 克也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70346138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡澤 亮介 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (30707998)
平田 憲司郎 神戸国際大学, 経済学部, 講師 (70423209)
中嶋 亮 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (70431658)
北野 泰樹 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (70553444)
新居 理有 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 講師 (70590462)
佐野 晋平 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (80452481)
小嶋 健太 関西大学, 経済学部, 助教 (00634247)
森 知晴 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (00733057)
佐々木 勝 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (10340647)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本経済論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は下記のような研究成果をあげた。1.Sasaki, Takii and Wan (2012)の論文をMichael Waldman Workshop on Internal Labor Market で発表した。この論文は今年度、Journal of Labor Economics, Journal of Economic Behavior & Organizationにおいてrejectされた後、修正を加え、現在Labour Economics に投稿中である。また、Hirata, Suzuki and Takii (2016)はQuantitative Economicsからreject and resubmitを受け取り、現在対応方法を検討している。 2.平田・佐野・瀧井が調べてきた共通一次導入が役員の出身大学・出身学部をどのように変化させたのかという分析結果を、OSIPP Economics Brownbag seminar, 関西労働研究会、CTW Summer Camp, SSI基幹プロジェクト「教育の効果測定研究会」で報告した。 3.Kojima and Takii (2015)をOSIPP Economics Brownbag seminarで発表した。 4.森・瀧井は模試において追加的情報を含まないB判定が受験生の出願大学に関する行動を変えているという結果を得、OSIPP Economics Brownbag seminarで発表した。 5.小嶋は、Kojima and Takii (2015)の手法を裁判官のキャリアに応用し推計を行い、その結果を、「人材配置の経済学」研究会、CTW Summer Camp、CTWで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトは確実に前進している。以下は、その例である。 I.国公立優位の偏差値構造の社会的影響: 偏差値決定モデルにBlinder and Oaxaca 分解を応用して、国公立と私立の間の偏差値格差の源泉を分析した。結果、見えない要素が国公立と私立の間の格差の大部分を説明するという結果を得た。 II.共通一次と人材配置:平田・佐野・瀧井は現在、共通一次導入が役員の出身大学・出身学部をどのように変化させたのかということを“差分の差分法”という手法を使って調べてきたが、結果が不安定である可能性があることが分かってきたため、ほかの手法(IV)等の手法も用いながら頑強な結果の確認を急いでいる。 III.学歴と社会的成功:小嶋は、Kojima and Takii(2015)の手法を裁判官のデータに適応し分析を始めた。 IV.大学入試の効率性分析:現在、北野・森・瀧井・中嶋は、マイクロデータとマクロデータを組み合わせて大学入試の構造モデルで大学の価値の推計を行った。また、森・瀧井は模試において、追加的情報を含まない、B判定が受験生の出願大学に関する行動を変えているという結果を得た。 V.データ整備:リクルートの「大学別就職先調べ」を使ってどこの大学・学部からどの企業に何人就職したかがわかる。このデータと財務データを組み合わせ、分析を行うための準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は下記テーマについてできる限り論文を仕上げ、「人材配置の経済学」研究会等で発表を行っていく。 1.国公立優位の偏差値構造の社会的影響の分析:佐野・瀧井が発見した見えない要素が国公立と私学との間の偏差値間格差の大部分を説明するという事実を説明するため、評判に基づく大学偏差値均衡モデルを構築する。また、瀧井は産業変化に偏差値上位校が多く存在する国公立大学では対応できないのではないかという仮説の検定を行うためのフレームワーク作りを始める。 2.共通一次導入と人材配置の関係の分析:平田・佐野・瀧井で現在進めている「入試における科目数増大が役員の出身大学・出身学部をどのように変化させたのか」という分析を引き続き行うとともに、同様の分析を初職や官僚・政治家としての成功にどのような影響を与えたのかを分析する準備を進める。 3.学歴と社会的成功の関係の分析:瀧井は大阪大学経済学研究科博士後期課程の中村文香と共同で就業構造基本調査等のデータを使い、初職がその後のキャリアに与える影響を学歴別に分析する。加えて、瀧井・岡澤は大阪大学経済学研究科博士後期課程の三上亮や中村文香の補助を得ながら、定年前後における消費・資産・所得の変化を性別・学歴別に調べる試みも行う。 4.現在の日本の大学入試制度の効率性分析:北野・森・中嶋・瀧井で進めている大学入試の構造推計モデルを使って反実仮想実験を行う。また、森・瀧井で進めている「模試におけるB判定がどの程度、その後の志望校変化に影響を与えるのか」という分析を精査し、DPとしてまとめることも目標とする。 5.2020年度高大接続改革の経済分析:2020年度の高大接続改革の分析に向けたデータ整備を行う。
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Research Products
(19 results)