2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical and Experimental Research on Money and Market System in the Pacific Island Countries
Project/Area Number |
18H03641
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐々木 宏夫 早稲田大学, 商学学術院(会計研究科), 教授 (30196175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 和久 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10212028)
瀋 俊毅 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (10432460)
里見 龍樹 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (30802459)
高瀬 浩一 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (50289518)
中丸 麻由子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (70324332)
大川内 隆朗 日本大学, 文理学部, 助教 (70548370)
大和 毅彦 東京工業大学, 工学院, 教授 (90246778)
下村 研一 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (90252527)
及川 浩希 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90468728)
河野 正治 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD) (20802648)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経済実験 / 公共財 / 投資メンテナンス / 民間金融 / 無尽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はミクロネシア地域を対象としており、現在、ミクロネシア連邦(Federated States of Micronesia: FSM)を最初の対象国として研究を推進中である。2019年5月に全体会議において、前年度の事前調査(9月ポンペイ・チューク島、3月ポンペイ・コスラエ島)の報告と検証、そして、今後の研究方針を調整・確認した。2019年8月に里見が独自にポンペイおよびチューク島の視察を行った。9月に4人のメンバー(佐々木、高瀬、山邑、大和)が経済実験準備のためグアムとポンペイに出張した。ポンペイでは、ミクロネシア大学のビジネス学部の教員であるママンゴン先生に経済実験の現地責任者をお引き受けいただき、人を対象とする倫理委員会(Institutional Review Board: IRB)への申請を進めることになった。グアム大では、ビジネススクール(School of Business and Public Administration: SBPA)のコールファックス先生とルアン先生に現地責任者をお引き受けいただき、IRB申請を開始した。11月に5人のメンバー(佐々木、高瀬、中丸、山邑、大和)がグアムとポンペイでIRB申請の詰めと経済実験の最終打ち合わせを行い、同時に、大川内を中心にして、タブレット端末によるイントラネット経済実験仕組みの開発を急ピッチで進めた。12月にグアム大でIRBが承認され、翌(2020)年2月に7人のメンバー(大川内、佐々木、下村、高瀬、中丸、山邑、大和)がグアム大のSBPAにおいて2日間、4セッション、計約80人の学生を被験者とする最初の現地での経済実験を実施し、無事終了した。そして、3月にミクロネシア大学からもIRB承認が取れ、実験に向けて準備を進めていた矢先、コロナの世界的流行により、やむを得ず実験は次年度に延期となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は採択2年目となり、ポンペイ島をフィールドとし、現地住民宅に長期間滞在し、ポンペイ語が堪能な文化人類学者である、河野が新たな研究分担者として加わった。これまでのメンバーと相乗効果も期待でき、研究課題も順調に進展している。 佐々木と高瀬は従来からセミナー(通称「金曜セミナー」:第2・4金曜日)を主催し、学内外の有力な研究者を招聘することにより、当初の計画通り、経済学と関連分野の研究フロンティアの共有に努めた。今年度の金曜セミナーは、マッチング理論、計量経済学、産業組織論、ファイナンスAI分析、ゲーム理論、環境経済学、経営戦略など、幅広い専門分野から新進気鋭の研究者を招聘した。後半は、ミクロネシア・ワークショップ共催として、文化人類学や生物進化学に関するセミナーも開催し、本研究課題の目標である分野横断的な研究推進に貢献した。2019年7月には、本研究のキックオフ・イベントとして「文化を科学する-進化論で社会を理解する-」というタイトルでフォーラムを開催した。人類学、生物学、考古学における進化論的アプローチは、近年、文・理の垣根を超えて目覚ましく発展している。佐々木がコーディネーターとして第一人者の4人の研究者を講演者として招聘し、学内外の幅広い専門分野の研究者、そして、学術的に高い意識を持つ知識層など多くの聴衆とともに、最先端研究の成果を共有した。 このようなセミナーやフォーラム等による知見を参考にし、更に、本年度2回のグアムとFSMでの経済実験準備のための打ち合わせ等を通じて、実験に伴うアンケート調査の文化・民族的背景に関する質問がより充実し、洗練されることになった。また、グアムの民族構成が地元チャモロ人約4割、移民フィリピン人約4割ということが判明し、グアムでも実験を行う有力な根拠となった。
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Strategy for Future Research Activity |
第3年度以降できるだけ当初の計画に従い、しかし、必要最小限の範囲で計画を調整しながら、研究課題を着実に進行する。当初の予定になかった2020年2月のグアム大での実験では、事前のインターネットによる登録とアンケート調査、イントラネット仕組みによる本番の実験、実験直後のアンケート調査、参加者とのインタビューや謝礼の支払いなど、現地における一連の経済実験作業を大過なく順調に運営することができ、3月のFSMでの実験への大きな前進となった。しかし、同年3月に予定していたポンペイでの実験は新型コロナの流行により中止となった。第3年度では、前年度グアムの実験結果の分析を進め、実験手法を改善し、ポンペイでの最初の実験を2020年10月に延期して実施する。更に、次のミクロネシア地域の対象国であるパラオでの経済実験の準備として、現地調査と打ち合わせの出張を行う。 今年度の暫定的なスケジュールは以下のようになる。2020年7月に全体会議を開催し、前年度の東工大でのパイロット実験とグアム大学での実験結果について議論する。今後の経済実験の計画立案および実験手法の改善に加え、現地特有の民間金融など新たな研究テーマへの取り組みについても話し合う予定である。9月に早稲田大において、従来の投資メンテナンスゲームを改訂し、セッションの構成も改変した実験を、できるだけ現地の状況に合わせるため、経済実験室でなく、通常の大学教室(あるいは、会議室)で実施する。そして、満を持して10月にミクロネシア大学で最初の経済実験を行う。同時に、パラオでの実験体制確立に着手する。パラオへの出張時に、可能であれば、東工大での再度の実験を経て、グアム大で第3回目の実験を行う可能性もある。ただし、以上の予定は新型コロナの流行状況次第では、流動的にならざるを得ないだろう。
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Research Products
(14 results)