2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Comparative Study on Basic Education in Borderlands Applying the Method of Border Studies
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18H03659
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
森下 稔 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60300498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康郎 高知県立大学, 地域教育研究センター, 准教授 (10344847)
羽谷 沙織 立命館大学, 国際教育推進機構, 准教授 (10576151)
楠山 研 長崎大学, 教育学部, 准教授 (20452328)
北村 友人 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (30362221)
鴨川 明子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40386545)
渡邊 あや 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (60449105)
市川 桂 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 特任助教 (60754546)
南部 広孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70301306)
石村 雅雄 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (80193358)
S Kampeeraparb 名古屋大学, 国際開発研究科, 講師 (90362219)
山崎 直也 帝京大学, 外国語学部, 教授 (10404857)
鈴木 賀映子 帝京大学, 教育学部, 准教授 (60618221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 比較教育学 / 基礎教育 / 国境・境界地域 / 境界研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国境・境界地域での現地調査を通じて、各事例における基礎教育の特徴的な実態およびそうした実態が生じることになった歴史的背景や社会・政治・経済などの要因を境界研究の分析法によって解明すること、および各事例の分析結果を比較することによって、現代の教育事象を捉えるための新たな視座を提示するとともに、新たな比較教育学方法論を構築することである。 この研究目的を達成するため、本年度は研究代表者の他に研究分担者12名、研究協力者6名の参画を得て実施した。まず、調査対象国の基礎教育および境界研究に関する文献・資料を収集・整理・分析するとともに、準備が整った調査計画から順次現地調査を実施した。調査を実施した国・地域は、台湾<金門島>、カンボジア=ラオス国境、ラオス=中国国境、マレーシア=ブルネイ=インドネシア国境、ミャンマー=タイ国境、アメリカ=メキシコ国境であった。その他資料調査を中国、ベトナム等で実施した。 また、研究計画・方法論の共有および個別情報の集約・統合を図るため、7月に第1回打ち合わせ会議を行った。3月には第2回打ち合わせ会議を行い、境界研究専門家2名(岩下明裕氏・川久保文紀氏)に依頼して境界研究の分析法・先行研究に関する講演を実施したとともに、本年度の調査研究の結果を各メンバーが報告して成果を共有した。 さらに、本研究課題の基盤となったこれまでの研究成果および当年度の調査結果を日本比較教育学会およびアジア比較教育学会等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画を推進するために、研究打ち合わせ会議を年度内に2回開催できた。いずれも、ほとんどのメンバーの参加が得られ、第1回会議では研究目的の確認、具体的な研究計画の立案などを行い、第2回会議では境界研究の専門家による講演によって、境界研究の分析法を教育学に用いることに関する理論的・方法論的な議論が深まるとともに、それぞれの文献資料調査・現地調査の結果について討議できた。 多くの調査が実施されて、それぞれの初年度達成しようとした目標が達成できた。そのなかでも、アメリカ=メキシコ国境やカンボジア=タイ国境では、毎日越境通学する児童の存在が実証的に確認され、今後の本研究課題の重要な成果を生み出す契機として注目できる。なお、いくつかの予定された国境・境界地域における現地調査は、現地事情等により資料調査に振り替えるなどしたが、元来調査実施には相当の準備が必要な地域もあり、ある程度は想定されていたものである。 研究成果の発信については、各メンバーによって論文や学会発表を通して積極的に行われた。特に、本研究課題の背景や経緯、意義や将来像に関する研究代表者による論文が、日本比較教育学会紀要に掲載されたことは当初予定を上回る成果と言える。なお、当初予定されていたホームページの開設は、予算上の制約や掲載内容の精査に時間がかかることから次年度に延期した。 以上のことを総合的に判断して、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の目的を達成するため、本年度に引き続き国境・境界地域における現地調査を柱とする研究計画を推進する。特に、現地事情等により本年度に調査が実施できなかった中国=モンゴル国境、中国=ミャンマー国境、ベトナム=カンボジア国境、フィンランド=ロシア国境については、実現に向けて精力的に取り組むこととする。また、本年度に大きな成果が得られたアメリカ=メキシコ国境については、米大統領の政策によって世界の注目を集めていることでもあり、重点的に推進する方針とする。 同時に、各メンバーの調査研究の経験を集約・統合しながら、比較教育学としての境界研究の方法論を構築するため、研究打ち合わせ会議を行う。その過程について日本比較教育学会の課題研究や世界比較教育学会などを活用して国内外の学界に発信していく。あわせて、ホームページを開設することにより、広く社会に発信する体制を整える。
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Research Products
(15 results)