2020 Fiscal Year Annual Research Report
直接撮像で探る巨大ブラックホール最近傍におけるガス噴出機構
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18H03721
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
新沼 浩太郎 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30434260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 裕介 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 助教 (00370106)
秦 和弘 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 助教 (60724458)
紀 基樹 工学院大学, 工学部, 講師 (70531234)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電波天文学 / 短ミリ波VLBI / 活動銀河核ジェット加速機構 / 一般相対論的磁気流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は国立天文台の野辺山45m電波望遠鏡(以下NRO45)を含めた日韓合同短ミリ波VLBI(超長基線電波干渉計)観測網を構築し、巨大BHの近傍からガス噴出流の速度場を精密に計測することによりガス噴出機構の解明を目指すことである。 本年度は、野辺山45m電波望遠鏡(NRO45)の86GHz帯受信システムの性能評価も概ね完了し、3周波同時受信モードにおいて86GHz帯の受信機雑音、開口能率、サイドバンド分離比、およびVLBI観測として重要になる位相安定度が当初目標としていた性能を満たすことを確認できた。これにより鹿児島大学・大阪府立大学・国立天文台と共同で進める三周波同時受信システムを立ち上げることができた。また、直交2偏波記録のNRO45で取得したデータと円偏波記録の韓国VLBI観測網のデータを相関処理して得られる混合偏波相関データを用いたデータ解析に必要不可欠な較正プログラムの開発および評価も無事に終了した。 一方で、COVID19の影響でオンサイトでの実験機会が限られ、年度当初もう一つの目標としていたデジタル系の信号伝送試験や望遠鏡の駆動を伴うVLBI観測試験に関する計画が大きく影響を受けたことにより、86GHz帯VLBI試験観測の成功にまでは至ることが出来なかった。しかしながら限られたオンサイトにおける作業機会の中で、不具合の残っていた信号伝送系およびVLBIバックエンド系を立ち上げるところまで年度内に実現でき、実際に日韓で22/43/86GHzの3周波数同時VLBI試験(フリンジ検出試験)を実行できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出張の制約により、オンサイトでの作業が必要となるVLBI観測関連のソフトウェアおよび記録系の立ち上げ、そして評価試験が当初予定よりも遅れてしまった。この遅れにより、目標としていたVLBI試験観測の成功に至ることができなかった。一方で、3周波同時VLBI試験観測を本プロジェクトで導入した記録系を用いて実施するところまでは到達することができたため、目標の9割程度までは到達することができたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き出張に関する制約を受けることが予想されるため、これまで以上に分担者および研究協力者と出張のタイミング含め作業計画を入念に相談しているところである。昨年度末の試験観測においては、VLBI試験を実施するにあたり確実にフリンジを検出するための立ち上げスキームを確立できており、実際に同手順に従って実施した新VLBI観測システムでの23/43GHz帯における試験観測の成功を確認できている。これらの経験を元に、 1)現在予定している2021年6月頃の3周波数同時観測モードでのVLBI試験観測を成功させる 2)国内および韓国VLBI観測網の保守期間が終了する夏以降に科学観測を想定した多周波同時VLBI観測の試験を実施し、試験観測データの評価を行う 3)2021年度中に科学観測を実行 し、本研究目的を達成すべく計画を進めていく。
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Research Products
(25 results)