2020 Fiscal Year Annual Research Report
Risk and water-related resilience in deltas: dimensional modeling of the natural environment, infrastructure and socio-economic structure
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18H03823
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 昭如 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (00401696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 敦郎 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20436596)
遠藤 環 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (30452288)
ヘンリー マイケル・ワード 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (80586371)
池内 幸司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90794834)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水災害 / アジア / デルタ都市 / レジリエンス / 学際 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に、水文、生態シミュレーションとデルタの環境管理および持続可能性に関する既往研究のレビューを行い、その成果を国際誌に発表し、その成果を受けて気候変動下におけるインフラストラクチャーの水害レジリエンスについての調査研究を継続した。具体的にはパリ協定の1.5度目標を達成するための大幅な二酸化炭素削減に必要なエネルギー、都市、移動・物流などインフラストラクチャー改革の方向性を検討し、このような改革が水害レジリエンスに与える影響を考察した。第2に、次年度にタイで予定している世帯訪問調査に向けて、バンコクおよび日系企業が集積するアユタヤ県を対象として予備調査を実施し、洪水被害と地域特性に関して分析した。第3に、ミャンマー・ヤンゴン市における自然災害に対する世帯の社会的脆弱性に関する分析と考察を完了した。その一部の結果を2020年度土木学会全国大会で発表した。第4に、日本国内を対象として、近年の豪雨災害時の死者の発生状況に関する詳細な情報を収集し、当該箇所の水深、水位上昇速度などの物理量の再現計算結果を行い、一部の水害について、人的被害の発生状況と物理量の関係を分析した。また、筑後川の外水氾濫を対象として、十分な避難時間を確保できない場合において、垂直避難(自宅の2階への避難)および水平避難(避難所までの避難)を行う場合のそれぞれの人的被害の発生リスクを求め、時間経過に伴う両方のリスクの変化について分析した。さらに熊本県を対象に、令和2年7月豪雨発生時の避難経験とCOVID-19の関係に関するアンケート調査を実施した。第5に、新型コロナウィルス感染症の影響により全ての出張やワークショップの開催予定は中止となったため、オンラインでの国際ワークショップを開催した。ドイツTH KolnのFekete教授をゲストに迎え、欧州とアジアの研究動向の比較や将来の共同研究について議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、国際会議への参加や海外調査などを行うことができず、一部目標が十分に達成できなかった。しかしながら、本研究で扱っている「自然環境、インフラ、社会経済構造」に新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックを加えた新たな研究テーマに展開することができた。具体的には、気候変動の急激な悪化、日本を含む各国政府の1.5度へのコミットメントの結果、エネルギー、都市、移動・物流などのインフラストラクチャーの大幅な改革や、循環経済へのシフトの動きが急激に現実化しつつある。これらのシフトは、グローバルなモノ、人、資源の移動を削減し、ローカルな循環を促進するものであり、水害レジリエンスにも大きな影響を与えると考えられる。パンデミックによる物流と移動の停滞もこうした方向性に拍車をかけている。こうした急激な変化を取り込んだ研究の再編を行った。 また、日本国内を対象として、死者の発生状況に関する情報収集や、当該箇所の物理量の再現計算を行うところまでは、ほぼ計画通り進めることができたが、人的被害の発生状況と物理量の関係について分析については、一部の水害を対象とした分析にとどまった。そして、十分な避難時間を確保できない場合における垂直避難と水平避難のリスクの比較考量については、筑後川の外水氾濫を対象としたケースについて、分析を行うことができた。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響を明らかにするため、令和2年7月豪雨発生時の避難経験に関するアンケート調査を新規に計画して実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
海外での事例調査に関しては新型コロナウイルス感染症が収束し、タイやミャンマーなどへの入国が緩和される機会を狙って、2011年以降の洪水対策の中で移転対象となっている地区への住民や関連機関へのインタビュー調査を実施するための準備を継続する。具体的に、タイにおける世帯訪問調査に関しては、予備調査で得られた知見をもとに、調査票および分析手法の精査を進める。当初は本研究のメンバーによる現地調査を予定していたが、渡航制限が長く続くことを想定して、現地の調査会社への業務委託を検討している。ミャンマーにおいては、新型コロナウイルス感染症および同国の政治的状況により渡航が難しい状況が続いているため、研究代表者のもとで修士号を取得して現地大学に在籍しているミャンマー研究者に現地での調査及び情報収集を実施する体制を構築して、研究を推進する予定である。 また、自然環境、インフラ、社会経済構造の多次元分析モデルに関しては、在外研究を行っている米国ハーバード大学やMIT、イェール大学などの多分野の研究者との議論を深めながらモデルの設計を行う。また、本研究の情報発信と研究ネットワーク強化を目的として、米国地球物理学連合秋季大会やEsri User Conferenceなど国際会議への参加を予定するが、COVID-19の状況により変更になる可能性もある。
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Research Products
(40 results)
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[Book] 水害列島日本の挑戦 ウィズコロナの時代の地球温暖化への処方箋(執筆第2章)2020
Author(s)
足立敏之, 池内幸司, 岡積敏雄, 越智繁雄, 小俣篤, 金尾健司, 小池剛, 高橋忍, 西山幸治, 野田徹, 藤田光一, 森岡泰裕, 森北佳昭, 安田吾郎
Total Pages
184
Publisher
日経BP
ISBN
4296107534