2018 Fiscal Year Annual Research Report
Preservation of mammalian genetic resources and study for the developmental mechanism using freeze-dried cells
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18H03953
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松川 和嗣 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (00532160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枝重 圭祐 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (30175228)
坂本 修士 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (80397546)
樋口 琢磨 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (10754567)
市川 明彦 名城大学, 理工学部, 准教授 (20377823)
赤木 悟史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (70414696)
黄川田 隆洋 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60414900)
武田 久美子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60414695)
及川 俊徳 宮城県畜産試験場, 畜産試験場, 上席主任研究員 (70588962)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 哺乳動物細胞の遺伝資源保存 / 凍結乾燥 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、哺乳動物細胞 (生殖細胞および体細胞) の長期保存で一般的となっている液体窒素保存はコスト、安全性、環境負荷、損失に対する体制の不備などの問題を抱えており、新しい技術が求められている。本研究では、哺乳動物の凍結乾燥細胞の常温長期保存法を確立し、凍結乾燥細胞由来の産子を生産を目指す。さらに、凍結保存に代わるバイオバンクの実用化のために、凍結乾燥細胞由来胚の自動作出装置を開発する。また凍結乾燥細胞、それら由来の胚、産子等の細胞生物学的解析によって、凍結乾燥細胞を起源とした発生の開始および進行の機構を解明する。本研究によって、革新的な哺乳動物細胞の保存技術を開発するだけでなく、哺乳動物の発生への理解の深化が期待される。 本年度は、ウシ凍結乾燥体細胞を用いた核移植胚の前核期におけるヒストンH3のトリメチル化および胚盤胞期における遺伝子発現を解析したところ、前核期のH3K4me3は、核移植胚、単為発生胚および雄性発生胚で同様に検出された。一方、H3K27me3は、核移植胚および単為発生胚で検出されたが、雄性発生胚では抑制されていた。胚盤胞期胚の遺伝子発現では、OCT4は核移植胚と体外受精胚の間で有意な差は認められなかったが、IFN-tauは核移植胚で体外受精胚よりも有意に低下した(p<0.05)。以上本研究より、ウシ凍結乾燥体細胞を用いた核移植胚では、前核期でのH3K27me3における雌型のインプリンティング、および胚盤胞期における妊娠認識に関わる遺伝子発現の低下が認められた。さらに、精子では採精後の保存液に卵黄を添加することが、精液の4℃での液状輸送における生存率の向上、精子DNA損傷の抑制、および顕微授精後の発生率の向上に効果があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、(1)FD細胞の常温長期保存法の開発、(2)FD由来胚の作出、評価 および胚移植、(3) マイクロロボットを用いた胚生産の自動化、(4) FD細胞を起源とした発生機構の解明 の4つの研究課題から構成されている。 本年度は(2)における胚移植後の妊娠が確認されていないが、それぞれの研究課題から得られるデータをフィードバックし効率的に研究を推進した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 精子および体細胞の常温長期保存可能な凍結乾燥技術を検討するために、凍結乾燥緩衝液に細胞の保護、ガラス転移点の上昇等を目的とした物質の添加、およびネムリユスリカの乾燥耐性に関わる遺伝子を哺乳動物細胞に導入した時の影響を調査する。凍結乾燥後の細胞の評価は、アルカリコメットアッセイ、電子顕微鏡観察、含水率測定、熱量分析、および核移植によっておこなう。 (2) 凍結乾燥精子および細胞から作出した胚のヒストンメチル化およびインプリント遺伝子の発現の関連性を検討し、分子生物学的手法によって凍結乾燥細胞を用いた発生機序を考察する。 (3) 凍結乾燥精子及び細胞由来の胚盤胞期胚の胚移植を実施し、受胎および産子生産を実現する。得られた産子についてはその正常性を生育、血液検査等で評価する。 (4) 胚の自動作出装置の開発のために3D-CADによるデバイスの設計、3Dプリンターによる試作をおこなう。一方で、胚の物性を用いたシュミレーションモデルから、最適なデバイス設計を検討する。以上の研究課題を、国内の発生工学、動物繁殖学、昆虫学、分子生物学、細胞生物学、低温生物学、およびマイクロロボティクス分野において実績のある研究者、さらに国際的な研究ネットワーク 「DRYNET」 (Horizon 2020のMarie Sklodowska-Curie Research and InnovationStaff Exchangeで活動) と緊密に連携することで推進する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Development to term of sheep embryos reconstructed after inner cell mass/trophoblast exchange2018
Author(s)
Loi, P., Galli, C., Lazzari, G., Matsukawa,K, Fulka, J. Jr., Goeritz, F., Hildebrandt, TB.
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Journal Title
Journal of Reproduction and Development
Volume: 64
Pages: 187-191
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] A negative feedback loop between nuclear factor 90 (NF90) and an anti-oncogenic microRNA2018
Author(s)
Higuchi, T., Morisawa, K., Todaka, H., Lai, S., Chi, E., Matsukawa,K., Sugiyama, Y., Sakamoto, S.
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 503
Pages: 1819-1824
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 哺乳動物細胞におけるフリーズドライ保存の可能性と課題2018
Author(s)
松川 和嗣, 本郷 新, 井上 陽香, 横山 輝智香, 森澤 啓子, 樋口 琢磨, 坂本 修士, 及川 俊徳, 斎藤 公治, 赤木 悟史, 武田 久美子, 黄川田 隆洋, 市川 明彦, 枝重 圭祐
Organizer
Cryopreservation Conference 2018
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