2022 Fiscal Year Annual Research Report
共生微生物を活用した絶滅危惧樹木の革新的育苗技術開発
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18H03955
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 一秀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60270899)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 外生菌根菌 / 生物多様性保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
樹木の成長や定着には菌根菌という根に共生する菌類が決定的な役割を果たしている。一般的な樹木の場合は、共生できる菌根菌も普遍的に分布しているため、苗畑の育苗において菌根菌の感染源不足で樹木の成長が阻害されることはほとんどない。しかし、分布域の極めて限られる絶滅危惧樹木の場合、成長や定着の鍵を握る菌根菌は僅かな残存林にのみ局在しており、どの苗畑にも分布していないことが分かってきた。こうした特定の菌根菌が苗畑に存在しないことが絶滅危惧樹木の育苗を困難にしている主因とも考えられる。そこで本研究では、絶滅危惧樹木トガサワラおよびヤクタネゴヨウを対象にして、それぞれに特異的に共生し、実生の更新に重要な働きをすると考えられる菌根菌トガサワラショウロとヤクタネショウロを育苗に活用することを目指し、必要な学術知見を得ることを目的とする。 トガサワラショウロとヤクタネショウロは、どちらも胞子散布を動物に依存することから、隔離状態にある宿主樹木(風媒花粉)集団以上に集団間の遺伝的な分化や集団内の近親交配が進行している可能性が高い。そこで、それぞれの菌種において集団間の生植隔離が進んでいるのかどうか、人為的な集団間の外交配が可能なのかどうか、外交配によって共生機能が回復するのかどうかを検証している。本年度は、異なる集団由来の埋土胞子の混合接種や、屋久島と種子島で採取した子実体の胞子を混合接種することによって外交配させたヤクタネショウロが宿主の成長にどのように影響するのかを解析した。その結果、各集団内で内交配させたものと比べて宿主の成長がより大きく促進される傾向があることが明らかにされた。この結果は、近交弱勢によって共生機能が弱くなっている外生菌根菌でも、外交配によって共生機能を回復させられること、それによって絶滅危惧樹木の保全にも活用できる可能性があることを示すものである。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)