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2018 Fiscal Year Annual Research Report

翻訳ダイナミクス制御によるタンパク質機能発現機構

Research Project

Project/Area Number 18H03984
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

田口 英樹  東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (40272710)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsセントラルドグマ / 翻訳 / タンパク質フォールディング / シャペロン / 無細胞翻訳系
Outline of Annual Research Achievements

数千から数万種におよぶ細胞内のタンパク質は全てリボソームで翻訳され、合成されたポリペプチド鎖がフォールディングして機能を発現する。最近、セントラルドグマの終端である翻訳の周辺には大きな未開の分野が拡がっていることが認識されはじめている。例えば、翻訳は一様に進むわけではなく、翻訳されるアミノ酸配列によって一時停止すること、また、配列によっては途中で中断することがわかってきた。さらには、そのような翻訳動態が細胞内でのタンパク質の機能制御に関わるらしい。そこで本研究では、新たに見出された翻訳のダイナミクスや、それに伴うフォールディングの制御などを通したタンパク質機能の発現機構を包括的に理解することを目的としている。
2018年度は、私たちが世界に先んじて発見した非典型的な翻訳現象に関して以下のような研究を実施した。その非典型的な翻訳現象とは、大腸菌で負電荷アミノ酸の連続配列を翻訳する際にリボソームが不安定化され、結果として翻訳が途中終了する現象である(Intrinsic ribosome destabilization: IRDと命名。Chadani et al Mol Cell 2017)。2018年度は、IRDの普遍性、分子機構、生理的な役割について解析した。その結果、1)IRDは翻訳を途中終了させるだけでなく、一つのmRNA内の二つの不連続な遺伝子読み枠(ORF)から1本のポリペプチドが翻訳される翻訳バイパス現象にも関与すること、2)IRDを引き起こす要件の一つとして、リボソームの出口トンネルとの相互作用が重要であること、などが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2018年度は、私たちが世界に先んじて発見した非典型的な翻訳現象(IRD)に関して以下のような研究を実施した。その非典型的な翻訳現象とは、大腸菌で負電荷アミノ酸の連続配列を翻訳する際にリボソームが不安定化され、結果として翻訳が途中終了する現象である(IRDと命名。Chadani et al Mol Cell 2017)。2018年度は、IRDの普遍性、分子機構、生理的な役割について解析した。その結果、1)IRDは翻訳を途中終了させるだけでなく、一つのmRNA内の二つの不連続な遺伝子読み枠(ORF)から1本のポリペプチドが翻訳される翻訳バイパス現象にも関与すること、2)IRDを引き起こす要件の一つとして、リボソームの出口トンネルとの相互作用が重要であること、などが明らかとなった。
IRDは、長い翻訳研究の歴史の中でもこれまでに見いだされていなかった非典型的な翻訳現象であり、多くの新たな展開がありうる。本研究課題の採択により系統的に研究を進めることができた。上記に書いた翻訳バイパスへのIRDの関与はさらに新たな発見であると言える。なぜなら、IRDの機構によって、これまで想定されているORF以外のタンパク質が翻訳され、タンパク質のレパートリーが増えるからである。タンパク質の世界を拡げる新たな視点となると期待される。また、IRDの分子機構に関しても、着実に結果を挙げることができた。
以上をもって、現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。

Strategy for Future Research Activity

2018年度は、私たちが見出した非典型的な翻訳動態である新生鎖依存の翻訳途上終了(IRD)について新たな知見をいくつか得た。今後は、さらにこの研究を推し進めると同時に、生細胞内で翻訳動態を研究する新しいアプローチも交えながら発展させる。具体的には以下のような研究を実施する。
1.非典型的な翻訳動態の普遍性と生理機能:背景で述べたように、新生鎖はアミノ酸配列によっては、自らを翻訳しているリボソームを不安定化させて、結果的に翻訳の途中終了を引き起こす場合があることがわかった(Intrinsic ribosome destabilization: IRDと命名)。2018年度は、IRDを使った新たなタンパク質発現機構を解析した。今後は、IRDが大腸菌でどのくらい普遍的に起こっているのか、生理的な役割、分子機構を大腸菌で明らかにする。さらに、大腸菌で見つかったIRDが真核生物でどうなっているのかについても調べる。
2.非典型的な翻訳動態の生細胞内イメージング:非典型的な翻訳動態は病気にも関わる。哺乳類で異常な塩基リピートが神経変性疾患につながる病気が知られているが、その病態に非典型的な翻訳が関与しているケースがあることがわかってきた。特に、リピート関連非ATG翻訳(Repeat-associated non-ATG translation: RAN翻訳)では、開始コドンがない塩基リピートmRNAから複数のフレームが翻訳され、病気に関連するペプチド(タンパク質)が合成される。細胞内でのRAN翻訳の分子機構は全くわかっていないので、最近米国などで確立した生細胞内でのmRNAと新生鎖の同時イメージングを拡張して、RAN翻訳のイメージングを行う。

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results,  Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] A LEA model peptide protects the function of a red fluorescent protein in the dry state2019

    • Author(s)
      Furuki Takao、Niwa Tatsuya、Taguchi Hideki、Hatanaka Rie、Kikawada Takahiro、Sakurai Minoru
    • Journal Title

      Biochemistry and Biophysics Reports

      Volume: 17 Pages: 27~31

    • DOI

      doi: 10.1016/j.bbrep.2018.11.006

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Large-scale aggregation analysis of eukaryotic proteins reveals an involvement of intrinsically disordered regions in protein folding2018

    • Author(s)
      Uemura Eri、Niwa Tatsuya、Minami Shintaro、Takemoto Kazuhiro、Fukuchi Satoshi、Machida Kodai、Imataka Hiroaki、Ueda Takuya、Ota Motonori、Taguchi Hideki
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 8 Pages: 678

    • DOI

      doi: 10.1038/s41598-017-18977-5

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Electrostatic interactions between middle domain motif-1 and the AAA1 module of the bacterial ClpB chaperone are essential for protein disaggregation2018

    • Author(s)
      Sugita Saori、Watanabe Kumiko、Hashimoto Kana、Niwa Tatsuya、Uemura Eri、Taguchi Hideki、Watanabe Yo-hei
    • Journal Title

      Journal of Biological Chemistry

      Volume: 293 Pages: 19228~19239

    • DOI

      doi: 10.1074/jbc.RA118.005496

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] The Absence of Thioredoxin m1 and Thioredoxin C in Anabaena sp. PCC 7120 Leads to Oxidative Stress2018

    • Author(s)
      Deschoenmaeker Frederic、Mihara Shoko、Niwa Tatsuya、Taguchi Hideki、Wakabayashi Ken-Ichi、Hisabori Toru
    • Journal Title

      Plant and Cell Physiology

      Volume: 59 Pages: 2432-2441

    • DOI

      doi: 10.1093/pcp/pcy163

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-01-27  

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