2019 Fiscal Year Annual Research Report
ロドプシンの多彩な機能をもたらす構造ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
18H03986
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神取 秀樹 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70202033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七田 芳則 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (60127090)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造ダイナミクス / 新規ロドプシン / 光反応サイクル / 赤外分光 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は2013年以降、それまでに予想もされていなかった微生物由来の新規ロドプシンの存在を次々に報告し、光駆動ナトリウムポンプについては立体構造も決定した。その結果、微生物ロドプシンは共通の構造と光反応を持つにも関わらず、実に多彩な機能を示すことがわかってきた。本研究では、構造と機能をつなぐタンパク質の構造ダイナミクスを明らかにすることで、共通構造から多彩な機能が生じる機構を解明することを計画した。研究では、低温法、時間分解法、全反射法などの手法を駆使して光反応中間体におけるレチナールやタンパク質部分、内部結合水の構造変化を明らかにすることで、種々のロドプシンにおけるメカニズムを明らかにすることを目指した。2019年度は以下の成果が得られた。 イスラエルとの国際共同研究により発見した、既知の微生物ロドプシンと配列の相同性を持たないヘリオロドプシンについては、古細菌由来のタンパク質について東大との共同研究により結晶構造解析に成功した。我々は反転している膜トポロジーの解析や、ヘリオロドプシンがスクランブレース活性を持たないことなどとともに、低温赤外分光法を用いた水分子の水素結合構造の解析、時間分解赤外分光法を用いたO中間体の構造解析、全反射赤外分光法を用いたイオン結合の解析を行った。ヘリオロドプシンは一価の陽イオン・陰イオンを結合しないことが明らかになり、水素結合の強い水分子が存在することがわかった。以上の成果をすべてまとめてNature誌に論文発表した。 光駆動ナトリウムポンプKR2については、ラマン散乱の共同研究を論文発表するとともに波長制御のアミノ酸を同定し、後者の論文をNat. Commun.誌に発表した。さらに、海洋性細菌由来のTATというモチーフ配列を持つロドプシンは、光異性化は起こるものの後続する中間体を生成せず、マイクロ秒以内で元の状態に戻ってしまうことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヘリオロドプシンの論文を2年続けてNature誌に発表したことは国内外から注目された。特に、低温法、時間分解法、全反射法といった計画したすべての赤外分光手法を駆使して構造ダイナミクスを測定し、その成果をNature誌に論文発表できたことは顕著な実績と言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んでおり、当初の予定通りの研究を推進する。
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[Journal Article] Crystal structure of heliorhodopsin2019
Author(s)
W. Shihoya, K. Inoue, M. Singh, M. Konno, S. Hososhima, K. Yamashita, K. Ikeda, A. Higuchi, T. Izume, S. Okazaki, M. Hashimoto, R. Mizutori, S. Tomida, Y. Yamauchi, R. Abe-Yoshizumi, K. Katayama, S. P. Tsunoda, M. Shibata, Y. Furutani, A. Pushkarev, O. Beja, T. Uchihashi, H. Kandori*, O. Nureki*
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Journal Title
Nature
Volume: 574
Pages: 132-136
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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