2019 Fiscal Year Annual Research Report
オートファゴソーム形成場のin vitro再構成と作動機構の解明
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18H03989
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
野田 展生 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 部長 (40396297)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オートファジー / 液-液相分離 / 液滴 / 再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーの担い手であるオートファゴソームはAtg蛋白質群が集積したオートファゴソーム形成場(PAS)から作られるが、PASの実体と機能はこれまで不明であった。我々のグループはPASの核を作るAtg1複合体がin vitroにおいて液-液相分離を介して液滴を形成することを見出し、PASは膜のないオルガネラの一種であるという核心を得た。本研究では、in vitroで形成させた液滴状Atg1複合体の形状および性質を解析し、細胞におけるPASとの類似性を検証する。続いてPASの形成を制御しているリン酸化や、Atg1複合体の後にPASに集積する下流Atg因子群の添加を行い、液滴への影響を解析する。以上得られた“再構成PAS”について、その動的微細構造を明らかにする。最後に得られた知見を酵母を用いて検証することで、PASの実体を理解し、そのオートファジーにおける作動機構を明らかにする。 本年度は酵母におけるPASの性質について徹底的な解析を行った。まず定量的なFRAP解析により、PASと細胞質の間でAtg13が頻繁に入れ替わっていること、PASの内部でのAtg13の運動性が高いこと、さらにFCS解析により細胞質とPASにおけるAtg13の拡散係数に大差がないことを明らかにした。またAtg13の発現レベルを調整することでPASの形成過程の観察に成功し、その際はPAS前駆体同士が融合して球形となること、オストヴァルト熟成が見られることを示した。さらにin vitroにおけるAtg1複合体液滴の解析を進め、Atg1複合体の相分離がTORC1によるAtg13のリン酸化で阻害されること、一方ホスファターゼPtc2によるAtg13の脱リン酸化で相分離が促進されることを示し、PASの実体はAtg1複合体が相分離した液滴であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
オートファジー分野長年の謎であったPASの実体が、Atg因子が液-液相分離することで形成された液滴であることを証明することに成功した。さらに初期PASの形成を試験管内で再構成することにも成功した。そして一連の成果がNature誌に掲載されるなど、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Atg1複合体から形成された初期PASの再構成に成功したため、今後はそこに下流Atg因子群を導入し、成熟型のPASの再構成を進める。そして成熟型PASにおいて脂質膜の変形や伸長など、オートファゴソーム形成に重要な膜動態が再現できるかどうかの解析を進めるとともに、得られた知見を出芽酵母を用いて検証する。
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Research Products
(11 results)