2018 Fiscal Year Annual Research Report
Challenge for prevention of sudden unexplained death : Elucidation of molecular mechanisms of death by transomics analysis
Project/Area Number |
18H04078
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 博志 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60263092)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 香奈 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00581034)
東阪 和馬 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (20646757)
原田 和生 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (50397741)
宮下 洋平 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (60816312)
吉澤 秀憲 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90739905)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 突然死 / エクソーム解析 / メタボロミクス解析 / オミックス解析 / 心疾患関連遺伝子変異 / 自律神経関連遺伝子変異 / 乳幼児突然死 |
Outline of Annual Research Achievements |
原因不明の突然死については未だ死亡機序が明らかではない。今年度は対象となった事例について全エクソーム解析を行った。解析については、北米人類遺伝学会、国際ゲノム会議の指標に基づいた評価を用いて、東北ゲノムや東京医科学研究所でのゲノムと比較的して病的あるいは有意とされたものを疾患特異的な変異をした。対象群においては平均で概ね23万あまりの変異が検出された。まず、突然死群、心肥大群、その他の群で分けた解析を行い、特に心疾患関連遺伝子に着目した解析では、突然死群と心肥大群で有意に心疾患関連遺伝子の変異が有意に多く、一方で、その他の群はその変異の割合が有意に低かった。自律神経関連遺伝子に着目した解析においては、突然死群と、心肥大群・その他群で層別化ができ、有意に変異が多いことが明らかとなった。このことは、突然死群においては少なくとも心疾患関連遺伝子変異に加え自律神経関連遺伝子変異が関与している可能性を示した。乳幼児突然死群においては全例において自律神経関連遺伝子変異が有意に多い結果が得られている。さらに特異的な1例に見出された遺伝子変異をヒントにして乳幼児突然死例に関して解析を行ったところ、1例を除きその特異的な遺伝子変異が見出され、乳幼児突然死のリスクファクターになる可能性を示した。 メタボロミクス解析においては、初年度は顕著に差違が検出できる外因死群について解析を行った。つまり、窒息と薬物中毒例である。尿の解析においては、アミノ酸解析で2群間でmultiplexで有意に差を認め、その有効性が示された。窒息は短時間死亡で特に呼吸障害の代表でもあり、突然死群における病態の解明の一助になる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全エクソーム解析について、別途機器購入が遅れたこと、共同利用の解析サーバの能力に依存すること等で、未だ爆発的な解析までは至っていないが、概ね順調に進展している。突然死例に見出された結果は世界初であり、今後の解析を経て、治療への応用が期待される。実際に次年度において、動物モデルで証明する。また、乳幼児突然死例においてその解析から発見された新たな遺伝子変異については、次年度動物モデルにて検証する検討にすでに入っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度、全エクソーム解析から新しい知見を多数得た。乳幼児突然死における特異な遺伝子変異についてはトリプルクリスパーの技術を用いて動物モデルで検証する予定である。また、得られた自律神経系関連遺伝子変異群については、その遺伝子変異を導入して自律神経系興奮時に突然死が生じるかどうかを検証するとともに、その治療への応用実験を目指す。一方、解析はまだ途中であるため、他の遺伝子変異群を含めた解析を進めるとともに、事例の層別化を目指す。
|