2019 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッドマウントディスプレイを用いた視知覚矯正・補助フレームワークの構築
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18H04116
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
清川 清 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60358869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒田 信親 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (40452411)
河合 紀彦 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 客員准教授 (30610670)
佐藤 智和 滋賀大学, データサイエンス学部, 教授 (50362835)
不二門 尚 大阪大学, 生命機能研究科, 特任教授 (50243233)
森本 壮 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (00530198)
広田 雅和 帝京大学, 医療技術学部, 助教 (40835435)
長井 志江 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任教授 (30571632)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚拡張 / 視覚矯正 / 視覚補助 |
Outline of Annual Research Achievements |
・網羅的・統一的に視覚拡張(AV: augmented vision)の方法論を確立するために,視知覚のプロセスをデジタル画像処理における射影変換や時空間画像フィルタのアナロジーで捉え,その逆問題を解く計算論的アプローチにより,汎用的な枠組みで典型的な非定型視知覚の体験者に定型と等価な視知覚を生じさせること(視覚矯正・補助)を目指しています.平成31年度(令和元年度)は,以下の研究に取り組みました. ・視覚拡張ディスプレイの開発に関して,将来のスマートサングラスの実現に向けて,楕円ミラーを組み合わせた,画素単位で減光可能な超広視野光学透過型(OST)HMDの詳細設計を行いました(学会発表,特許出願済).また,LCDを用いた簡易スマートサングラスの試作を進めました. ・ディスプレイ視聴と斜視の関係性評価に関して,デジタルデバイスなどの近業作業時の近見3反応(調節、眼位、縮瞳)の変化を経時的に評価して,間欠性外斜視では近見時の調節力が低下し,それが眼精疲労の原因となることを見出しました.間欠性外斜視患者は同一の視作業を実施すると健常者よりも眼疲労を起こしやすいことを,眼球運動を基礎とした融像維持能力測定法を用いて,他覚的定量評価しました.更に,近年増加傾向にあるスマートフォン起因性内斜視 (スマホ内斜視) の原因が,スマートフォンの視聴距離に関連する可能性を示唆する研究結果を公表しました. ・ASDの知覚機序解明に関して,ASD者の知覚過敏・鈍麻を引き起こす神経機序を解明するため,(1) 深層ニューラルネットワークを用いた視覚過敏の発生機序のモデル化と予備実験,(2) 視覚過敏特性と聴覚過敏特性の比較検証,の2つの課題に取り組みました.(2)では感覚様式に依存しない共通の過敏特性及びその誘発環境要因が存在することを明らかにしました.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・視覚拡張ディスプレイの開発に関して,将来のスマートサングラスの実現に向けて,楕円ミラーを組み合わせた,画素単位で減光可能な超広視野光学透過型(OST)HMDの詳細設計を行いました(学会発表,特許出願済).また,放物ミラーを用いた方式の詳細設計も行いました.これらのディスプレイの特性である180度に近い超広視野と画素単位の減光は従来両立が困難とされていたもので,画期的な成果です.すでにトップカンファレンスでの発表と国内特許出願を終え,国外特許の取得を目指しています.また,LCDを用いた簡易スマートサングラスの試作を進めており,機械学習による適応的な減光機能の開発に着手しています. ・ディスプレイ視聴と斜視の関係性評価に関して,デジタルデバイスなどの近業作業時の近見3反応の変化を経時的に評価して,間欠性外斜視では近見時の調節力が低下し,それが眼精疲労の原因となることを見出しました.間欠性外斜視患者は同一の視作業を実施すると健常者よりも眼疲労を起こしやすいことを,眼球運動を基礎とした融像維持能力測定法を用いて,他覚的定量評価しました.更に,近年増加傾向にあるスマートフォン起因性内斜視 (スマホ内斜視) の原因が,視聴距離に関連する可能性を示唆する研究結果を公表しました. ・ASDの知覚機序解明に関して,ASD者の知覚過敏・鈍麻を引き起こす神経機序を解明するため,(1) 深層ニューラルネットワークを用いた視覚過敏の発生機序のモデル化と予備実験,(2) 視覚過敏特性と聴覚過敏特性の比較検証,の2つの課題に取り組みました.(2)では感覚様式に依存しない共通の過敏特性及びその誘発環境要因が存在することを明らかにしました. ・これらの成果は,当初計画に含まれていないものもあり,発展的な課題といえます.一方,視線計測を用いた実時間補正などは未着手で,総じて「おおむね順調」といえます.
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Strategy for Future Research Activity |
眼位矯正HMDの開発と評価に関して,これまでに開発した眼位を調整可能なビデオ透過型(VST)HMDの効果を検証します.また,その結果に基づき眼位を調整したVSTHMDにより,融像が復元することを確認します.具体的には,ヘスチャートプロジェクタによる眼位検査法とHMDによる眼位検査法の精度を比較し,同等以上の検査精度が得られることを客観的に示します.年度後半は高性能視線検出機能を有するVST-HMDを用いて,眼位の計測と矯正の自動化を試みます.
視覚過敏補助HMD(スマートサングラス)の開発と評価に関して,不快な視覚体験を生じないような入力ビデオ映像のリアルタイム調整に取り組みます.具体的には,シーンの明るさ分布に応じたノンリニアな減光や彩度低減,蛍光灯などの高周波明滅の時間平均化(チラツキ緩和),注視点からの偏位角に応じたローパスフィルタ(周辺あるいは中心視野ほど細かいパタンを不鮮明化),動物体領域のみの不鮮明化やストップモーション化(コマ落ち)などを検討します.まず,モニタを用いた自動調整の効果を検証し,VST-HMDによる効果の確認にも取り組みます.
斜視やASD知覚のメカニズムの解明に関しては,当初予定以上に進展しており,引き続き発展的課題に取り組んで行きます.
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Research Products
(36 results)
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[Journal Article] 融像維持能力を用いた不等像視による眼疲労の他覚的評価2019
Author(s)
中道 彩乃, 広田 雅和, 神田 寛行, 森本 壮, 三好 智満, 宮川 雄, 広原 陽子, 山口 達夫, 雜賀 誠, 不二門 尚, 西田 幸二
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Journal Title
眼科臨床紀要
Volume: 12
Pages: 293~297
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