2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of smart polymeric micelles based on novel shell and core designs
Project/Area Number |
18H04163
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西山 伸宏 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10372385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 貴大 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00734732)
武元 宏泰 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (10709249)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DDS / 高分子ミセル / 機能性ポリマー / スマートシェル / コア設計 / タンパク質デリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、既存材料や従来的手法に囚われない新たなDDS設計に基づく、高分子ミセル型ナノキャリアの創製を目的として、環境応答性や標的細胞親和性を賦与した新規シェルの開発と従来の高分子ミセルでは内包が困難であった両親媒性物質やタンパク質等の生理活性分子を安定にミセルに内包するための内核設計理論の確立を目指している。具体的に、(1)新規シェル設計に関しては、(A)pH応答性ベタインポリマーと(B)側鎖にアミノ酸構造を有するがん細胞親和性ベタインポリマーの2種類のポリマーの開発を進めている。 (A)については、前年度までに腫瘍深部への到達と投与量依存的な固形がんへの集積が確認され、シェル材料としての有用性が明らかとなったため、本年度は種々のナノ粒子に応用するための脂質等へのコンジュゲーションを行った。また、(B)については、アミノ酸トランスポーターLAT1を標的とするポリマーにおいて、卵巣がんの腹膜播種モデルに選択的に集積し、光増感剤のデリバリーに基づく光線力学治療による優れたがん治療効果を確認することができた。一方、(2)コア設計に関しては、ポリフェノール類であるタンニン酸をミセル内核の構成分子に用いることで、前年度のGFPに続いて、β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)を高分子ミセルに安定に内包させることができた。この高分子ミセルは、β-Galの血中滞留性およびがん集積性を飛躍的に向上させ、がん組織選択的な酵素反応を惹起させることに成功し、酵素プロドラッグ治療への応用の可能性が示唆された。さらに、この高分子ミセルには、がん免疫治療への応用を視野に入れたモデル抗原オボアルブミンや、近年、高い注目を集めているCas9蛋白質gRNA複合体(RNP)を内包できることも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)新規シェル設計に関しては、(A)pH応答性ベタインポリマーに関しては、腫瘍深部への到達と投与量依存的な固形がんへの集積が確認され、種々のナノ粒子に応用するための準備が整った。また、(B)がん細胞親和性ベタインポリマーについては、卵巣がんの腹膜播種モデルに対する光線力学治療における有用性が実証された。一方、(2)コア設計に関しては、タンニン酸を利用したタンパク質の内包技術を確立し、固形がんへの酵素のデリバリーに基づくがん組織選択的な酵素反応を惹起させることに成功し、酵素プロドラッグ治療への応用の可能性が示唆された。以上のように、(1)に関しては当初計画通りに研究が進み、(2)に関しては当初計画を上回る成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 新規シェル設計の(A)pH応答性ベタインポリマーに関しては、MRI造影剤、核酸デリバリーのためのシェル材料としての有用性を明らかにする。(B)がん細胞親和性ベタインポリマーについては、アミノ酸トランスポーターLAT1を標的とするポリマーに関して、卵巣がんの腹膜播種モデルに対する光線力学治療における有用性が示されたため、国際的一流学術誌への論文発表に向けて安全性評価等のin vivo評価を実施する。(2)コア設計に関しては、がん組織特異的なタンパク質のデリバリーに成功し、酵素プロドラッグ治療への応用の可能性が示唆されたため、抗原タンパク質のデリバリーによるがんワクチンや、近年、高い注目を集めているCas9蛋白質gRNA複合体(RNP)のデリバリーに基づくin vivoゲノム編集への応用を目指す。
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Research Products
(24 results)