2021 Fiscal Year Annual Research Report
"Materials Science of Anisotropy" for induction of bone tissue anisotropy
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18H05254
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 貴由 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30243182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 孝司 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00444539)
萩原 幸司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10346182)
當代 光陽 新居浜工業高等専門学校, 環境材料工学科, 准教授 (10610800)
李 誠鎬 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20850001)
福田 英次 弓削商船高等専門学校, 電子機械工学科, 准教授 (30536553)
松本 卓也 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40324793)
山本 まりこ (河井まりこ) 関西女子短期大学, その他部局等, 教授 (40379839)
丸川 恵理子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40419263)
村瀬 剛 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50335361)
石本 卓也 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (50508835)
松垣 あいら 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (10592529)
小笹 良輔 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80845347)
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Project Period (FY) |
2018-06-11 – 2023-03-31
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Keywords | 異方性の材料科学 / 金属3Dプリンタ / インプラント / 骨異方性 / 耐食性 / オステオカルシン / アパタイト / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨異方性誘導のための「異方性の材料科学」の構築に向け、材料工学・生物科学両者の融合的視点からの取り組みを進めてきた。本年度は、ここまでの成果で見出した最大の成果のひとつであるOCNによる骨配向化の新機能解明をさらに深化し、OCN制御の分子機序解明と、それら遺伝子の欠損モデルを用いた配向化のシグナル伝達経路解明を重点的に研究を遂行し、以下の具体的成果を得た。
(A)骨配向化を決定する遺伝子・タンパクpathwayの同定と制御:細胞・遺伝子レベルからOCNを起点とした生物シグナルの同定を行った。遺伝子情報解析に基づきOCNのタンパク機能化(翻訳後修飾)に関する上流・下流遺伝子(タンパク質修飾を制御する化合物経路)をたどることで、OCNタンパク質機能を調整し、骨配向化に関わる特定の因子(詳細は非公開)を見出した。 (B)外場制御可能な異方性共培養系の樹立による配向化制御:生体内模擬環境中での共培養により、細胞間での機能性タンパク質の授受を介した骨配向化の人為制御を達成した。とりわけ、疾患骨を模擬した免疫細胞の活性化が細胞・骨異方性と密接に関連することが明確になった。 (C)金属3Dプリンタを駆使した形状・材質同時制御と、低弾性率・超高耐食性インプラント創製:金属3Dプリンティングを駆使し、部材中の任意の位置で形状と材質(原子配列異方性)の同時制御設計を確立した。さらには、前年度までに達成した世界初の生体用ハイエントロピー合金について、金属3Dプリンタを用いた高付加価値化のための走査戦略指針を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最終目標とする骨異方性誘導のための「異方性の材料科学」の構築に向け、当初の想定を上回る成果を得ている。代表的な項目ごとの進捗状況を以下に示す。 なお、◎:当初計画以上に進展、〇:当初計画通りに進展を意味する。 (i) 骨配向化を決定する遺伝子・タンパク質 pathway の同定:OCN機能制御するタンパク質(翻訳後修飾に関与)を骨異方性制御因子として同定した(◎)、(ii) 細胞共培養系の樹立と 生体外(in vitro)基質配向化制御:骨疾患による異常配向化、骨力学特性劣化の機序解明のため、免疫系との共培養を樹立し、生体内(in vivo)模擬環境中での細胞学的解析を実施した(〇)、(iii)低弾性率・超高耐食性インプラント創製:金属 3D プリンタを駆使した形状・材質同時制御(〇)、(iv)生体用ハイエントロピー合金の高付加価値化のための設計指針を確立(◎)
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ここまでの進捗で見出した骨配向化制御因子のタンパク徐放システムや遺伝子導入技術の確立により、薬剤としての活用を目指す。さらに、これまでの研究にて見出した世界初の生体用ハイエントロピー合金の高付加価値化(力学特性・耐食性)により革新的インプラントデバイスを創出する。具体的には以下の項目(A)~(C)について研究を遂行する。さらに詳細は非公開とするが、異方性に基づく骨の新機能も明らかになりつつある。これら知見に基づき「異方性の材料科学」構築へと着実に本研究計画を推進する。 (A)骨配向化を決定する遺伝子・タンパク pathway の制御:昨年度までに同定した、OCNが関与するコラーゲンーアパタイト結晶方位関係の制御機序について、次世代シーケンシング・遺伝子解析を用いて配向化制御機構の全容を解明する。加えてそれらタンパク・遺伝子の発現導入法を確立する。 (B)外場を用いた細胞制御による骨配向化制御:疾患や応力状態による配向性異常の機序解明のため、これまでに確立した骨系細胞(骨芽細胞、破骨細胞、オステオサイト)や免疫系を含む異種細胞間共培養モデルを駆使し、骨の異方性形成の細胞学的・材料学的機序とその制御法を確立する。 (C)前年度までに達成した世界初の生体用ハイエントロピー合金創製について、金属3Dプリンタを駆使した更なる高付加価値化とその制御因子を解明する。
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Research Products
(73 results)