2020 Fiscal Year Annual Research Report
世界一の確度をもつ過去200年間の沈着エアロゾルのデータベース創成と変遷解明
Project/Area Number |
18H05292
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯塚 芳徳 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (40370043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 立 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00580143)
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
的場 澄人 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30391163)
大島 長 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (50590064)
服部 祥平 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (70700152)
藤田 耕史 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80303593)
大野 浩 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80634625)
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Project Period (FY) |
2018-06-11 – 2023-03-31
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Keywords | アイスコア / エアロゾル / 人新世 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトの目的は産業革命から現在までの高確度エアロゾルデータベースの構築とアイスコアの新規分析手法から人新世の大気環境復元を高度化することである。最初の目的のために、グリーンランド南東ドームでの300mのアイスコア掘削を計画した。しかしながら、通年コロナ禍でレベル3の渡航禁止下での出張が極めて困難であり、次年度に計画を延期し、予算を調整金として次年度に繰り越すことにした。 令和2年度は第2の目的に多くのエフォートを費やした。具体的には、すでに本プロジェクトで公開済のエアロゾルデータを参考にしつつ、1)衛星による近過去の雲量との統計的解析(主担当:藤田)、2)氷晶核能測定装置の開発、3)ダストデータの高精度解読、4)電子顕微鏡による硝酸塩組成の復元(主担当:大野)、5)過酸化水素分析法の確立(主担当:服部)、6)硫酸エアロゾル中の酸素同位体比を用いた大気酸化力の復元(主担当:服部)、7)メタンスルホン酸による海氷面積・海洋生物活動の復元(的場)、8)過去の硫酸エアロゾルの粒径復元、9)ラマン分析によるアンモニウム塩・硝酸塩の組成復元などの分析に着手してきた。 このうち論文として成果発表した研究の概要は、南東ドームのダストデータの高精度解読から、温暖化により2000年以降に氷床沿岸の秋に季節積雪の減少が早まることで、秋のダストフラックスが増加していることを解明した。また、硫酸エアロゾル中の酸素同位体比を用いた大気酸化力の復元から、1980年以降の二酸化硫黄排出規制にも関わらず、硫酸エアロゾルの減少が鈍化している原因として、大気の酸性度に依存する大気化学過程を変化させ、結果として硫酸生成効率を高めていたことを解明した。近年のダスト濃度の増加や大気酸化力の減少を解明したことは、今後の北極域の環境変動予測に重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトではグリーンランド南東ドームでの300mのアイスコア掘削を計画している。しかしながら、通年コロナ禍でレベル3の渡航禁止下での出張が極めて困難であり、令和2年度の実施は断念した。他方で、新規解析法確立を目的とした既存の90mのアイスコアの解析は順調に進んでおり、試行錯誤しながらも独創性の高い成果を創出することができた。特に硫酸エアロゾル中の酸素同位体比を用いた大気酸化力の復元に関する成果は2,021年3月に「Science Advances」誌に受理され、令和3年度に公開される。5年計画の3年目にもかかわらず、このような高IF誌に成果を創出できたことは本プロジェクトの研究進捗が順調であることを示すとともに、高度な研究を推進できてきたと自負している。 なお、R2年度の研究費の多くはR3年度の掘削のために調整金とした。
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Strategy for Future Research Activity |
原則としては令和2年度と同様にプロジェクトの目的達成に向けて、これまでに得られた成果をもとに、着実に研究を進めていく。本プロジェクトではグリーンランド南東ドームでの300mのアイスコア掘削を計画している。しかしながら、通年コロナ禍でレベル3の渡航禁止下での出張が極めて困難であり、令和3年度の開始時点でも困難さの変わりはない。現時点では令和3年度で掘削を実施する予定であるが、もし今後も極めて困難な状況が継続する場合は掘削を令和4年度に延期するか、本研究の目的を大きく変換し、アイスコアによる新規分析手法から人新世の大気環境復元を高度化することに研究エフォートを集中する可能性がある。国内外のコロナ禍の状況とその各国の対応政策を見極めながら判断していく。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] 氷床表面質量収支の実態とそのモデリングの試み:2020年夏最新版2021
Author(s)
庭野匡思, 青木輝夫, 橋本明弘, 大島長, 梶野瑞王, 大沼友貴彦, 藤田耕史, 山口悟, 島田利元, 竹内望, 津滝俊, 本山秀明, 石井正好, 杉山慎, 平沢尚彦, 阿部彩子
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Journal Title
雪氷
Volume: 83
Pages: 27-50
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Increasing dust emission from ice free terrain in southern Greenland since 20002021
Author(s)
Amino, T, Iizuka, Y, Matoba, S, Shimada, R, Oshima, N, Suzuki, T, Ando, T, Aoki, T, Fujita, K
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Journal Title
Polar Science
Volume: 27
Pages: 100599
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] SIGMA及び関連プロジェクトによるグリーンランド氷床上の大気・雪氷・雪氷微生物研究 ArCS IIプロジェクトへのつながり2021
Author(s)
青木輝夫, 的場澄人, 庭野匡思, 朽木勝幸, 谷川朋範, 竹内望, 山口悟, 本山秀明, 藤田耕史, 山崎哲秀, 飯塚芳徳, 堀雅裕, 島田利元, 植竹淳, 永塚尚子, 大沼友貴彦, 橋本明弘, 石元裕史, 田中泰宙, 大島長, 梶野瑞王, 足立光司, 黒﨑豊, 杉山慎, 津滝俊, 東久美子, 八久保晶弘, 川上薫, 木名瀨健
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Journal Title
雪氷
Volume: 83
Pages: 169-191
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Rapidly changing glaciers, ocean and coastal environments, and their impact on human society in the Qaanaaq region, northwestern Greenland2021
Author(s)
Sugiyama S, Kanna N, Sakakibara D, Ando T, Asaji I, Kondo K, Wang Y, Fujishi Y, Fukumoto S, Podolskiy E, Fukamachi Y, Takahashi M, Matoba S, Iizuka Y, Greve R, and 20 others
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Journal Title
Polar Science
Volume: 83
Pages: 100632
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] GrSMBMIP: intercomparison of the modelled 1980 and 2012 surface mass balance over the Greenland Ice Sheet.2020
Author(s)
Fettweis X, Hofer S, Krebs-Kanzow U, Amory C, Aoki T, Berends, CJ, Born A, Box JE, Delhasse A, Fujita K, and 31 authors
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Journal Title
The Cryosphere
Volume: 14
Pages: 3935-3958
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Effects of snow grain shape and mixing state of snow impurity on retrieval of snow physical parameters from ground -based optical instrument.2020
Author(s)
Tanikawa T., Kikuchi, K., Aoki, T., Ishimoto, H., Hachikubo, A., Niwano, M., Hosaka, M., Matoba, S., Kodama, Y., Iwata, Y., Stamnes, K.
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Journal Title
J. Gephys. Res.-Atmosphere
Volume: 125
Pages: -
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Impacts of anthropogenic emissions on tropospheric reactive chlorine: Implications for Greenland ice core records of chlorine.2020
Author(s)
Zhai S, Wang X, Geng L, McConnell JR, Sherwen T, Pound R, Chellman N, Moch J, Zhu L, Evans MJ, Cole-Dai J, Opel T, Sigl M, Hanno Meyer H, Hattori S, Iizuka Y, Fujita K, Chan YC, Becky Alexander B
Organizer
American Geophysical Union Fall Meeting 2020
Int'l Joint Research
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[Presentation] ArCS II Cryosphere research 3 "Water and material circulations between snow-and-ice and atmosphere in seasonal sea ice regions and their impact on environment in the Arctic2020
Author(s)
Matoba, S., Iizuka, Y., Miyazaki, Y., Suzuki, T., Hattori, S., Uemura, R., Hara, K., Oshima, N., Yamasaki, T., Aoki, T.
Organizer
Polar Symposium
Int'l Joint Research
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[Presentation] Effective Radiative Forcing Estimates of Anthropogenic Aerosols in MRI-ESM22020
Author(s)
Oshima, N., Yukimoto, S., Deushi, M., Koshiro, T., Kawai, H., Tanaka, T. Y., and Yoshida, K.
Organizer
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
Int'l Joint Research
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