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2018 Fiscal Year Research-status Report

現代諸学にまつわる問題解決のためにクザーヌスの「無学者の思想」を活用する試み

Research Project

Project/Area Number 18K00021
Research InstitutionToho Gakuen School of Music

Principal Investigator

八巻 和彦  桐朋学園大学, 音楽学部, 特任教授 (10108003)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords無学者の思想 / Anthoropocene / 自然科学 / テクノロジー / 驚き
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題「現代諸学にまつわる問題解決のためにクザーヌスの『無学者の思想』を活用する試み」についての研究は、以下の点を明らかにした:2018年5月初旬にドイツで開催された学会で、’Naturphilosophie in Japan’と題する研究発表をして本研究課題を提示するとともに、ヨーロッパでは既に現代を「新人世」Anthropoceneと捉えることが定説化しているという知見を得た。これは、自然科学ならびにこれと密接に関わるテクノロジーとが、放射性物質などの人工物質および自然破壊等によって、地球上の地質年代に残る大きな影響を人間が作り出しているという認識である。この「新人世」という理解は、研究代表者が「現代諸学にまつわる問題性」として捉えてきたものと共通する点が多いので、この研究課題の現代的意義を確認できた。
また、2019年1月下旬には、“Die Aktualitaet der Figur des Laien”というワークショップを開催し、Prof. SchwaetzerならびにDr. Zeyerと共に本研究課題を深めた。その際には、現代社会ではほとんどの成人が、一定分野における専門家として社会を担いつつも、その他の分野では「素人」「無学者」であるという構造をもっていることを指摘して、とりわけ専門性が強調される自然科学およびテクノロジーの分野での、「無学者」の視点の果たしうる可能性を提示した。
さらに、2019年3月下旬には、ドイツで開催されたシンポジウムに参加して、「無学者の思想」の視点から自然を捉えることの重要性を指摘する研究発表を行い、「人新世」における自然科学およびテクノロジーの問題性に論及すると共に、その問題性をクザーヌスの「無学者の思想」、とりわけ人が<驚き>を尊重することによって克服する方策を提起した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究課題「現代諸学にまつわる問題解決のためにクザーヌスの『無学者の思想』を活用する試み」についての八巻和彦(研究代表者)自身の研究は、上記のような成果をもたらしつつ、ほぼ計画通りに進捗している。
事前の計画よりも遅れ気味である点は、ドイツ以外の諸外国の同僚から本研究課題について協力を得る体制の構築である。Kim氏(米国)は、2019年9月までは自身のテニュアの審査を受けるための準備に集中したいとのことであり、またGuozzo氏(イタリア)ならびにBocken氏(オランダ)も、本務校での任務に目下忙殺されているとのことで、未だこの三氏も含めて一堂に会する集中討議が実現できていない。2020年2月までには実現したいと考えている。もし一堂に会しての討議が不可能である場合には、事前に八巻和彦の研究を送付した上で、自身がイタリア、オランダ、米国に出張して意見交換をするとか、書面での意見交換によって研究課題を深めることも考えている。

Strategy for Future Research Activity

研究代表者自身の日常的研究以外の推進方策は以下の点を予定している。
2019年8月に佐々木力氏、吉見俊哉氏を訪問して、現代における学問研究にまつわる問題性について教示を受ける。
2019年11月末にはドイツに出張して、Goettingenで開催されるAPHINのシンポジウムにおいて本研究課題に関わる研究発表をして、その学会に集う自然科学者ならびに技術者に意見を求める。その出張の際に、これまでの研究展開で重要な協力者の役割を担ってくれているProf. Schwaetzerと下記のワークショップについても相談して、準備を整える。
2020年2月ごろに、ドイツで小さなワークショップを開催して、本研究課題を深めると共に、研究成果のまとめを展望する。

Causes of Carryover

海外出張の経費を節約したこと。
図書ならびに備品の購入を節約したこと。

  • Research Products

    (6 results)

All 2019 2018

All Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 5 results,  Invited: 5 results) Funded Workshop (1 results)

  • [Presentation] Beziehung zwischen der Schrift Apologia doctae ignorantiae und der Idiota-Schriften2019

    • Author(s)
      Kazuhiko Yamaki(八巻和彦)
    • Organizer
      Workshop: Die Aktualitaet der Figur des Laien
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Die Bedeutung des Laientums in der gegenwaertigen japanischen Gesellschaft2019

    • Author(s)
      Kazuhiko Yamaki(八巻和彦)
    • Organizer
      Workshop: Die Aktualitaet der Figur des Laien
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Die Bedeutung des Laien in der Gegenwart2019

    • Author(s)
      Kazuhiko Yamaki(八巻和彦)
    • Organizer
      Workshop: Die Aktualitaet der Figur des Laien
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Eine alte, aber andere Naturwahrnehmungsrichtung im spaeten Mittelalter und ihre Bedeutung fuer eine gegenwaertige Naturphilosophie’2019

    • Author(s)
      Kazuhiko Yamaki(八巻和彦)
    • Organizer
      Natur in der Lyrik und Philosophiie des Anthoropozaens
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Naturphilosophie in Japan2018

    • Author(s)
      Kazuhiko Yamaki(八巻和彦)
    • Organizer
      Workshop:Natur nach dem Ende der Natur?
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Funded Workshop] Workshop: Die Aktualitaet der Figur des Laien2019

URL: 

Published: 2019-12-27  

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