2020 Fiscal Year Annual Research Report
Supports for "non-religious" patients by chaplains in hospitals in Japan
Project/Area Number |
18K00093
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
山本 佳世子 天理医療大学, 医療学部, 講師 (10625445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷山 洋三 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10368376)
打本 弘祐 龍谷大学, 文学部, 准教授 (20769129)
森田 敬史 龍谷大学, 文学部, 教授 (40821913)
葛西 賢太 上智大学, グリーフケア研究所, 准教授 (00281014)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 宗教的ケア / スピリチュアルケア / 非信者 / 無宗教者 / 病院付き宗教者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、病院付き宗教者による非信者に対する宗教的ケアの実態と、それが「ケア」になりうる要因や構造を検証した。国内の医療施設で活動する宗教者について、その実態を明らかにするため、宗教者が活動していると想定される国内470の医療施設を対象とした質問紙調査を2019年に実施したところ、227件の回答を得ることができた。宗教的背景のある施設では有給での活動が多く、なしではボランティアが多かった。前者は院内全体に関与しやすく、後者では一部に限定されやすいことがわかった。 並行して、2018年及び2019年にキリスト教系病院2つ、仏教系病院2つ(あそかビハーラ病院と長岡西病院)、新宗教系病院2つ(天理よろづ相談所病院と佼成病院)の計6つの病院に勤務する宗教者にインタビュー調査を行った。また、天理よろづ相談所病院については、患者へのアンケート調査も実施した。キリスト教系病院では布教伝道を第一目的しないチャプレンの信仰のあり方や活動内容について示唆を得た。あそかビハーラ病院ではビハーラ僧の非信者への基本姿勢および他宗教信者の患者が抱える宗教的ペインや宗教的ニーズへの丁寧な洞察にもとづく「他宗教信者への多様な宗教的ケア」の具体的実践が明らかとなった。長岡西病院では、常勤ビハーラ僧から業務委託によるシフト制の専任ビハーラ僧へと体制が変わることで、地域の僧侶が病院に出入りしているという構図が生まれていることが示された。天理よろづ相談所病院では、「おさづけの取り次ぎ」という宗教的行為が多くの非信者患者に受け入れられ、それは宗教者による祈りが「間接的宗教的体験」または「感謝」に基づく宗教的ケアとして機能していることがわかった。佼成病院で活動する佼成カウンセリング研究所のメンバーは、在家信者という立場から、信仰を背後の支えとしながら宗教的な言動は慎み、傾聴に徹する姿が顕になった。
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