2019 Fiscal Year Research-status Report
デジタル写真測量による3DCGとX線を用いた古典木彫像の調査研究-平安~鎌倉期-
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18K00185
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
籔内 直樹 (籔内佐斗司) 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10376931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 誠一郎 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (20239031)
山田 修 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (30571723)
和田 圭子 東京藝術大学, 美術学部, 講師 (80463933)
藤曲 隆哉 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (20466999)
鈴木 篤 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (90620873)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 仏像 / 構造技法 / 3次元計測 / 写真測量 / 透過X線 / 彫刻文化財 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度/令和元年度は、以下の研究活動を行うことができた。 1,山形県本山慈恩寺釈迦如来坐像及び脇侍像、ならびに眷属像の調査 2,故・本間紀夫氏寄贈資料の整理およびデジタルデータ化 慈恩寺像の調査では、東北地方における平安時代後期の代表的作例である、釈迦如来坐像・文殊菩薩騎象像・普賢菩薩騎獅像・十羅刹女像を中心に、透過X線撮影・3次元計測を行なった。これらの像は、その一部に「面部下半をいったん切り離す」という、目的未詳の工作がなされている。また、獸座には玉眼との関係が指摘されている木眼が嵌入されていたり、その他さまざまに複雑な構造が指摘されてきた。今回の調査において、こと文殊菩薩像は複雑な構造を持っていることが認められ、これを足がかりに両脇侍の制作工程の解明につなげたいと考えている。なお今回も、本研究の特徴の1つである、正確で素早い、文化財に負荷が少ない安全な調査を行うことができた。 また当研究室は、故・本間紀夫氏の遺族から、氏が所蔵していた資料の寄贈を受けた。本間氏は奈良・平安時代の作例を中心に多大な業績を遺されており、これらの透過X線写真(原本)は本研究の目的にも合致する、極めて貴重なものである。現在高精細スキャンや資料整理を進めており、今後は他の研究成果と体系的にまとめ、検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実地調査対象は慈恩寺諸像のみであるが、デジタル写真による写真測量という手法が持つ利点を活かし、短期間で多くの尊像を計測することができた。また、本間氏資料の調査は当初の予定にはなかったものではあるが、本研究を進める上で非常に重要なものであると捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、引き続き平安・鎌倉期の作例調査を行う予定である。前回計画に入れていたものの調査が叶わなかった静岡県智満寺不動明王踏下像や、構造に慈恩寺像との共通点が指摘される福島県白水阿弥陀堂二天像、泉涌寺楊貴妃観音などを想定している。これまでの調査内容を検証しまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
調査費用を可能な限り抑え、当初の計画を若干下回ることができた。今後の調査等に有効に用いる予定である。なお、前年度に購入を予定していたストロボは、計測技術の向上によって不要となり、その分を調査対象像の追加に回すことができた。
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Research Products
(1 results)