2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00287
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
工藤 浩 日本工業大学, 共通教育学群, 教授 (90636101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 弘毅 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (30434244) [Withdrawn]
松本 直樹 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50239109)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 先代舊事本紀 / 校訂本文 / 注釈書 |
Outline of Annual Research Achievements |
『先代旧事本紀注釈』の刊行に向けて、卜部兼永筆本『先代舊事本紀』を底本に『先代舊事本紀』10巻の校訂本文、書き下し文、口語訳を策定した。校訂本文を策定するに際しては、従来は調査の及んでいなかった天海本についての校合作業を行い、これを加えた校異を詳細に示し、平成期の研究の進展を活かし、従来の『先代舊事本紀』の校訂本文を根本から検討し直した。書き下し文には語注を付したが、関連する諸分野の最新の研究成果を取り入れて、各分野における現在の研究に耐え得るテキストとなるように配慮した。本文校訂、施注には工藤浩編『先代旧事本紀論 史書・神道書の成立と享受』(花鳥社2019、『先代旧事本紀』の総合的研究―史書・神道書の成立と受容』(基盤研究(C)15K02236)の成果を公表した論集)で明らかにし得た、日本文学、日本史学、神道史学、日本語学の各分野の最新の研究内容を可能な限り反映させた。更に、神名・人名・氏族名・神社名等の固有名詞の索引を作成して、注釈書として読者の利用の便を図った。 研究成果は、工藤浩・松本直樹・松本弘毅共著『先代旧事本紀注釈』として花鳥社より2022年2月に刊行する予定である。当該刊行物は、1980年刊行の鎌田純一校訂神道大系『先代舊事本紀』以来40年ぶりの『先代舊事本紀』現在の研究に耐え得る校訂本文を備えたテキストとなる。加えて、日本文学・日本史学・神道史学・日本語学の4分野の最新の研究成果を取り入れた、『先代舊事本紀』初の学術的見地に基づく本格的な注釈書としての性格を持つ。本研究の成果は、『先代舊事本紀』そのものの研究は勿論のこと、関連諸分野の研究の進展に充分に資するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
写本調査の基づく、校訂本文と校異・訓読と語釈・口語訳・索引の策定はほぼ完了しているが、一点、新型コロナウイルスによる感染症蔓延の影響で、予定されていた石上神宮所蔵の写本1本の調査を研究期間内に実施することができなかったため、当該写本の閲覧、複写と校合作業が実施できていないことが課題として残っている。可能な状況となり次第、奈良県に出向いて調査を行い、校異に手を入れて原稿を完成させることを計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の蔓延状況を見て、可能な限り早期に石上神宮本の写本調査を実施して、校合作業を行い、校異に校正段階で手を入れて成果の公表として出版する学術図書に反映させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により、予定していた石上神宮(奈良県天理市)の写本調査が実施できなかったため。1年の延長により、状況を見極めながら、できれば9月までには調査を実施して、校正の段階で校訂本文の校異に反映させる方向を探る。
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