2019 Fiscal Year Research-status Report
クロスメディア・ボディ─戦間期アメリカン・モダニズムにおける身体の政治学研究
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18K00403
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
中村 嘉雄 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 准教授 (40346739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 亜衣 関西学院大学, 法学部, 教授 (60440202)
塚田 幸光 関西学院大学, 法学部, 教授 (40513908)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クロスメディア / アメリカ / 優生学(優環学) / 工業デザイン / 表象文化 / 視覚芸術 / ニューディール |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の研究成果として、研究代表者の中村は、平成30年度の実証課題であった、ニューディール期の工業デザインへと再回収される優生学(優環学)的「身体」についての検証とその理論化の成果を元に、アメリカのモードファッションおよび食の、工業デザイン以外の二つのメディア領域の検証を行い、理論の妥当性を実証した。コロナ禍のため、当該研究の成果発表を予定していた国際学会が延期になり、さらに、アメリカ、ニューヨーク市のクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館 で予定していた現地調査も延期せざるを得なかったが、論文、および共著書として成果を既にまとめており、本年度提出予定である。 各分担者も研究活動が制限される中、順調に成果を上げている。塚田は雑誌『ライフ』を軸に作家アーネスト・ヘミングウェイと、スペインおよびニューディール「南部」の視点からナショナリスティックな「身体」表象の実証研究を行い論文を発表、また、共著としてジャック・フィーニー原作のSF『盗まれた街』(1955)を映画化した『ボディ・スナッチャー』の「身体」表象の分析を行い成果を上げた。特に、後者の成果はニューディール期以降のSFにも特徴的な「身体」とマシーンの関係性ともつながりが深く、ニューディール期以降の身体の政治学研究の方向性を示唆するものである。小笠原は作家アーネスト・ヘミングウェイとパリ前衛を比較検討し、空間芸術と文学という二つの異なるメディアにまたがる「身体」について検証し成果を発表している。 また、研究者間の連絡については、移動制限のため出張が制限されるなかZOOMを活用することで、研究の進捗やメールでは事足りない打ち合わせを定期的に行っている。その研究打ち合わせにおいて、本年度中に共著論集を上梓する計画も進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由として、「食」やマシーンに関する第一次資料がかなりウェブ化され閲覧・利用可能となっている点が大きい。そのためコロナ禍によって不可能となっている海外調査の埋め合わせが、最終的な検証の前段階でかなりの範囲で可能となっている。各共同研究者も同様に研究調査を工夫しており、順調に成果を出していることから、本課題の当初の予想通りの研究成果が見込まれると判断できるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題研究の最終年度を迎えるにあたり、研究代表者および研究分担者は順調に成果を上げており、クロスメディアの視点からの検証の幅をさらに広げることが可能である。Web化された資料など、活用可能な研究資源を最大限に活用し、第一次資料を中心とした検証作業を進め研究成果の精度を高めていく予定である。また、現在の状況では研究成果の発表の場は限定されざるを得ないが、研究成果論集を現在準備している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため海外での研究調査ができなかったためである。現在の海外への渡航禁止状況が変わり次第、海外での検証作業を行う計画であり、次年度の海外リサーチの旅費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)