2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Responses of Japanese Scholars of English and American Literature to the atomic bombing of Nagasaki
Project/Area Number |
18K00406
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
齋藤 一 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20302341)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 長崎 / Edmund Blunden / イギリス / 英文学 / 核 / 原子爆弾 / G. S. Fraser / 長崎日日新聞 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である令和5(2022)年度の後半になって、2020年春から新型コロナ禍のため利用ができなかった長崎県立図書館郷土資料センターの利用が可能になったため、2022年11月25日から28日にかけて資料調査を行った。すでにこれまでの研究で、イギリスの詩人Edmund Blundenの長崎訪問(1949年)についてはある程度当時の新聞等の記事を収集していたが、今回の調査では、これまでほとんど知られていなかった、ブランデンが長崎市長へ送った詩の日本語訳(後藤武士訳)が『長崎日日新聞』(1949年10月19日2面)に掲載されていたことを見出した。また、イギリス政府から占領下日本へ派遣されたのはブランデンだけではなく、後任として詩人のG. S. Fraser(George Sutherland Fraser, 1915-1980)が来日したことはすでに知られているが、今回の調査でフレーザーが1951年1月27日から30日にかけて長崎市を訪問し、T. S. Eliotや戦後イギリス文学について講演していたことを『長崎日日新聞』の記事で確認した。さらに、フレーザーが、あたかもブランデンに倣ったかのように、長崎市長宛に詩を寄せていたことも確認できた(日本語訳のみ掲載、ただし訳者の名前は不明、『長崎日日新聞』1951年1月30日)。以上、今年度の長崎市での文献調査では、(1)ブランデンの長崎市訪問(1949年)についての新たな事実を見出したこと、(2)フレーザーもブランデンと同様にイギリス政府から派遣されて講演活動を行い、詩も書いていたこと、この2点の発見が本年度の主要な研究成果である。
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