2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K00451
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
植 朗子 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (20611651)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植物民俗学 / ハインリッヒ・マルツェル / グリム兄弟 / 伝承文学 / 民間療法 / 植物療法 / 植物の迷信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植物学者であるハインリッヒ・マルツェルの植物事典が、ヨーロッパ伝承文学研究における「植物」モティーフ解明のための、新たな材料となりうることを示すものである。民間伝承に記載されている植物名称のうち、「正式名称」と、①俗称、②通り名、③方言由来のものについて調査を行った。 植物の別称には、植物の形態的特徴と関連するものがあり、植物の実態と、伝承上の記録を精査することは、「植物の迷信」や植物に関連する習俗について明らかにするために、必要な作業であると考えた。 なお、伝承記録の調査のために、19世紀ドイツ語圏の伝承研究者・グリム兄弟の『グリム童話集』、『ドイツ伝説集』と、兄・ヤーコプの単著『ドイツ神話(学)』に関する「植物」モティーフの整理は、2020年度でほぼ終わった。 植物の実態についての調査は、ヴュルツブルク大学附属植物園、チューリッヒ大学附属植物園、ライプツィッヒ大学附属植物園で行う予定だったが、コロナウィルス蔓延の影響のため、実施できていない。この実地調査を今後どのような形で進めるのかを慎重に検討したい。 植物の薬用効果、毒性については、薬学史、医療史、民間療法史と関連する文献から調査を行っている。現代なお利用されている薬草とそれにちなんだ医療品、化粧品、民間治療薬、健康法などについても取り上げ、使用されている植物が、いつの時代から医療目的で使用されるようになっているのかも検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
植物の実態についての調査が完了できていない。コロナウィルス蔓延の影響により、ドイツ・スイス・オーストリアで実施予定だった調査が延期になっている。とくに、ヴュルツブルク大学附属植物園、チューリッヒ大学附属植物園、ライプツィッヒ大学附属植物園で行う予定だったものができておらず、この予定されていた実地調査を今後どのような形で進めるのかを慎重に検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
植物の実態についての調査は、国内の植物園、薬用植物園で替えることができるものは、それで対応したい。しかし、日本国内でもコロナウィルス対策のため、調査に必要な移動が難しい面もあり、来年度の延長も検討している。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響により、海外調査が実施できなかったため。海外調査時に購入予定だった書籍も未購入である。
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